ゴンキル小説

□独占欲はお互い様
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恋人にいわれったー 『恋人「キルア=ゾルディックの好きなところ:きれいな瞳・恥ずかしいと目をそらすところ、キルア=ゾルディックへの要望:髪を乾かしてから寝ないと風邪ひくよ」』をお借りしました。


学パロです(全然学生してませんが(汗))

ゴン、キル、レツ(緋色の幻影より)は同じ学校で全員寮生。
ゴンとキルは同部屋で恋人同士です。

ラブラブごんきるゴン視点。













キルアは風呂から上るとすぐにベッドに転がり込む。
気持ち良さそうなのはいいんだけど、ゲームしながら寝ちゃったりするもんだから心配になるよ。


「ねー。髪の毛乾かさないと風邪引くよー?」
「もう殆ど乾いてるしって、ゴン?」


ゲーム中のキルアに覆いかぶさるように近付くときょとんと大きな目で見上げてくる。
そのまま少し湿った髪に口付けるとキルアがサッと頬を赤らめた。
キスだってそれ以上だってしてるのに、これぐらいで照れるキルアは可愛いね。


「お前、臆面なさすぎ!」
「キルアが照れ屋なだけでしょ」


ずい、とベッドに膝を乗せる。
濡れたせいで少し濃い色の銀髪を指で梳くとシャンプーの甘い香りがした。

こういうちょっと色っぽい雰囲気が苦手なキルアが耐えられない!と言わんばかりにオレの身体を押しのける。


「〜〜!見えねーからどけよ!」
「ヤだよ。わざとだもん」
「おま、この隠し財宝見っけるまで何時間掛かったと思ってんだよ!」
「その時間分、キルアにくっつきたいのを我慢してたんですけど?」
「うっ」


頬を膨らませての抗議にキルアがたじろいだ。その隙に素早くコントローラーを取り上げれば「ぎゃー!」なんて死にそうな悲鳴が上がる。


「わー!頼むからセーブさせてくれ!」
「まったく…。土下座する程の事なの?」


大げさな、と思いつつゲーム好きにはとんでもない痛手なのかもと可哀想になって返してやれば、慌てて何やら操作を繰り返していた。
そのうち終了画面になって、キルアがコントローラーを床に転がす。


「終わりましたか?」
「…ハイハイ!終わりましたよ!」


ぶちぶち文句が続きそうな唇をすかさず塞ぐ。
オレとキルアの間の最大の障害物(ゲーム)を取り除いた今、イチャイチャしない理由はないよねっ。


なのに、ああ、カミサマ!
オレは天罰が下るほど悪いことをしたのでしょうか?



ドンドンドンドン!


「キルア起きてる!?新作の参考にしたいから、目ぇ見せて〜?」


今年ウチの学校に特待生として編入してきたレツがドアの外で叫んでいる。
人形師としての将来性を買われて入って来たとはいえ、何もこんな時間に創作しなくてもいいんじゃないかな…。

消灯時間後に出歩いていることがバレれば罰則は避けられないのに、たまにレツは女子寮から忍んでくる。
で、オレ達の部屋に平気で泊まっていくから心配になるよ。

そりゃあオレとキルアがレツに何かするわけないんだけど、でも変な噂が立ったらどうするのさ?
でもまぁ…オレ達が仲間なのは皆知ってることだから、そういう変なことにはならないんだけど。


「おーい!キールーアー!ゴーン!」
「ばっか騒ぐな!」
「あははっ。こんばんはー」


慌てたキルアがオレの下から這い出してドアを開ける。急いでレツを引きずり込むと廊下を素早く確認しドアを閉めた。
まさかの障害その2の登場に少し泣きたくなるけど今日の所は諦めるしかないみたい。ゲームなら排除するけど友達相手にそうはいかないもんね。


「だから!消灯時間過ぎた後にくんなっつってるだろ!見つかったらどうすんだよ!」
「消灯時間前ならいいの?」
「…いや、男子寮自体立ち入り禁止だ」
「あーあ、ボクも男に生まれたかったな〜」


ぼすんとベッドに身体を投げてレツが口を尖らせる。そんなこといってもキミ、11年前から女の子でしょ?
苦笑するオレの前でレツがキルアを手招きした。
早速目を見せてもらうつもりなんだと思うけど、目の前でくっつくんじゃないかってぐらい顔を寄せ合う2人を見るのはやっぱりツライ。
レツは大事な友達だけど、オレにとってキルアは特別な人だから。


「オレ、歯磨いてくるね!」
「へ?さっき磨いたじゃん」
「いいの!」
「はーい。いってらっしゃーい」
「おい、ゴン!」


明るいレツに見送られると胸が痛い。でもごめん、ちょっとだけ見逃してね。


「あーもう、レツ、さっさと見ろ!でもってさっさと帰れ!」
「ちょっと、女の子に対してヒドイんじゃない?」
「そう思うなら男の部屋に来んなよ。明日の朝だって大して変わらないだろ?」
「変わるよ!インスピレーションが湧いた時に一気に作らないとあの子達は死んじゃうんだよ!」
「知るか!…ほら、」


ぎし、とベッドが鳴く音がする。
洗面所の中にまで聞こえた軋んだ音にオレはぎゅ、とパジャマの胸元を握りしめた。
さっきのはレツのいるベッドにキルアが座った音かもしれない。
そうするとこの沈黙は2人が見つめあう時間ってことで…。


(…レツは友達。大事な友達)
(キルアはオレの大切な人)
(二人は創作者とモデル。ただそれだけ)


心の中で何度も言い聞かすオレの足元に、ふいに裸足のつま先が入り込んだ。
顔を上げると困った顔のキルアがいて、思わず細い首にかじり付く。


「わ、っと!」
「きるあ、好き」
「ばか、何だよ急に」
「だって」


言葉を途切れさせたオレの頭をキルアがそっと撫でてくれる。


「ばーか。レツじゃん」
「そうだけど。やっぱりつらいもん」
「なら追い返せば良かっただろ?」
「そんなこと出来ない」


レツは友達で、人形師で、ただ創作の参考としてキルアに会いにきただけなのに、それを見つめ合って欲しくないって理由だけで追い返すなんて勝手すぎる。
そんなオレを抱いたままキルアが小さくため息をついた。


(…あ、)


もしかして、呆れられた?こんなことで嫉妬するオレのこと、嫌になった?

固まったオレの背中をキルアが軽く撫でる。
そして「オレも、」と呟いた。


「え?」
「オレも、逆の立場だったら嫌だ」
「……」
「レツがゴンの目を見に来たらすげー嫌だ」
「…キルア」
「って、レツに限んねーけど!それにオレなら追い返す!」


どうだ!と言わんばかりにキルアが胸を張って言い切った。
2人してとんだヤキモチ焼きで、巻き込まれた人が可哀想なぐらい勝手すぎる。
お互い様なんだ、と思うとおかしくて、(レツ、ごめん)と心の中で謝った。


「キルア、好き」
「うん、オレも」
「…好きって言ってくんないの?」
「ばっ!んなこと簡単に言えっかよ!」
「言ってくれないんだ…」
「なっ、おま、ずるっ!」


項垂れたオレにキルアががぁ!と噛み付いてくる。
真っ赤になった顔が可愛くて、だったらキルアの身体に教えてもらうことに決めた。


「キルア、好き」
「う、んっ」
「すき」
「っ、んん」


赤く染まった頬を両手で包んで、唇を重ね合わせる。
ちゅ、ちゅ、とついばんで、角度を変えて貪って。
腰を抱いて引き寄せれば、華奢な身体がふらりと腕に凭れてきた。

ああもう可愛い。
日頃の悪戯っぽい顔も、勉強してる時の真面目な顔も、怒ってるときのキツイ目も大好きだけど、キスに夢中になってとろんと見上げてくるキルアがたまらなく愛しい。

いくらキルアの目を参考にしても、この顔を再現することは出来ないと思う。
だってこういうキルアを見るのはオレだけだから。

そのまま洗面台の上に細い身体を座らせて、パジャマの胸元に顔を埋めた、


まさにその時。




『がた…』



という、思い掛けない物音を聞いてオレ達は瞬時に振り返った。



「あ…」


そこにはそろそろと部屋から出て行こうとしているレツがいて、ものすごーーく申し訳なさそうに「ご、ごめんね?帽子忘れちゃって…。えっと、また明日!」と両手を合わせ一目散に部屋を飛び出していった。

残されたオレ達は、というと…。
ちら、とキルアを見上げると蒼白の頬がみるみる赤く染まっていく。


「み、みら、見ら……!」
「れたっぽいね…」
「嘘だろ〜〜〜っっ!!!」
「うわ!!?」


これ以上ないぐらい真っ赤になったキルアは飛び降りざまにオレを押しのけると「うわああああ!」と叫びながらベッドにダイビングする。
そして頭まで潜り込むと何やら声にならない叫びをあげながら震えていた。

レツを追い返し急いでオレのところに来てくれたのは嬉しいけど、その時鍵を掛け忘れてしまったらしい。
そこに運悪く忘れ物をしたレツが戻ってきて………。


「……はぁ」


今度こそ、甘い口付けの続きはお預け。
いやむしろ、しばらくチャンスはないかもしれない…。

さすがに続きしよーよとは言えなくて、オレものそのそベッドに潜ったのでした…。









翌日いつも通り元気に現れたレツに少し救われたものの、暫くして完成した人形の艶かしい瞳に再びキルアが撃沈した。









-オワリ-





初めての学パロです♪
洗面台の上から本格的に背後注意な内容にしようか迷ったものの、当初の予定通りレツに見つかる話になりましたw

こちら、設定を考えればシリーズ化しそうな気がします。
でもあまり設定を詰めすぎると満足してしまうのでかるーく考える方が続くんですよね〜(笑)




最後までお読み頂きありがとうございます!

2014/3/19 ユキ☆

  Clap
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