ゴンキル小説

□はじめてのお揃い
1ページ/1ページ



カプ妄想語ったー 『【ゴンキル語り】お揃いのものを一緒に買ったor押し付けられた2人の様子と、その後お揃いのものはどうなるかについて語りましょう。』 をお借りしました。


コミックス10巻より妄想
お揃いのケータイを買って『念でぼろもうけ大作戦』中のゴンとキルア。伝言サイトの情報チェック担当のレオリオはほぼ出てきません。
キルア視点。









オークションに出品すべく掘り出し物を探していると、ポケットの中からまだ聞きなれない着信音が流れてきた。
ぴぴぴ、ぴぴぴ、ぴぴ、ガチャ。


「もしもし」
「…ん?キルアか?ゴンはどうした?」


買い換えたばかりのケータイに仲間の名前を確認し、通話ボタンを押せば間抜けな返答が返ってくる。


「いやいや画面を見てみろよ。オレに掛けてるぜ?」
「…いや、オレは間違っちゃいねぇぞ。お前等がお互いのケータイ持って出ちまったんだろ」


自分のケータイの掛け先を見たのか、一瞬の間を置いてレオリオが言う。
確信を持ったその言葉に今度はこっちが顔をしかめた。


「マジか。…何かストラップでも付けなきゃダメだな」
「おう、そうしろ」


伝言サイトの状況を伝える為に電話してきたレオリオが、キルアのケータイに掛けてみるわ、と言って通話を切る。
手にしたビートルを改めて見ると、レオリオの言う通り朝日と山の待ち受け画面。つまりゴンのケータイだった。

やっちまったな、と肩を竦めポケットに押し込んで歩き出す。
ついさっきゴンとお揃いのケータイを買ったのだが、代わりに設定してやっているうちに入れ替わってしまったらしい。
色違いにすればこんなミスも起こらなかったろうに、とは思うけど間違えるなんて思ってなかったのだから仕方ない。

とりあえず掘り出し物探しの合間にでもストラップを捜しておくか、と手近な店から物色する。


(アレはちょっとデカいかな。邪魔になったら意味ねーし…。コレは地味。あっちのはゴンのイメージじゃねぇよな〜)


オークションに参加する為の資金稼ぎとしてオーラが漂っている品を捜していた筈なのに、本来の目的そっちのけでキョロキョロしているうちにゴンから電話が掛かってきた。


「キルア?」
「おう」
「ごめん、キルアのケータイ持ってっちゃった」
「いや、こっちこそ悪かったな」
「ううん。ところで何か見つかった?」
「…ああ、1、2点あったぜ」
「なぁに?今の間は。ちゃんと捜してる?」


僅かな空白に本来の目的から逸れていたのがバレたらしい。ゴンがくすくす笑って釘を刺す。
ストラップ探しに従事してましたとは言えないので「捜してるっつーの!」と慌てて否定したもの、ゴンが騙されるとは思えなかった。


(やっべ。もうこんな時間かよ!)


探し物をしているとあっという間に時間が過ぎる。
とりあえず集合までの残り時間、ゴン命名の『念でぼろもうけ作戦』を遂行すべく真面目に凝で見回した。





☆ ☆ ☆





「キルア!ここ、ここ!」


待ち合わせ場所に着くとゴンは既に戻っていた。
人が多くてザワザワしている街角とはいえ、ぶんぶん手を振っていれば変に目立つ。


「見えてるって」
「イテ」


こつん、とケータイを頭に載せるとゴンが小さく声を上げる。そのまま手を放せば頭上のケータイをゴンが押さえた。


「で、どうだった?」


勤めて平静に勝敗を訊ねれば、ゴンは自分のケータイをじっと見つめている。
正確には目線の先はケータイじゃない。そこにぶらさがっている、オレが勝手につけた翠の石のストラップだった。


「おい、ゴン?」
「キルア、これ」
「ああ、また間違えたら大変だろ?それだけだよ」


まるで言い訳をするみたいな口調に我ながら驚いた。
取り違い防止なのは確かなのに、これじゃ何だか裏があるみたいに聞こえてしまう。


「言っとくけどサボってたワケじゃねーぞ。掘り出し物と同じ店にあったから買っただけだし」
「……」
「聞いてんのかよ?」
「うん、聞いてるよ。ありがとキルア。大事にするね!」
「…………おう」


オレの言い訳なんか聞いちゃいない笑顔でゴンがケータイを握り締めた。
元々最初の電話で他の何かを探していたのはバレてるわけだし、当たり前っちゃあ当たり前なんだが少し悔しい。

軽くなったポケットに手を突っ込んでぐい、と片手を差し出せば「あ、ごめん」と同じ型のケータイが載せられた。

レオリオお薦めのビートル07型。使えない国がなく、テレビも見られる優れもの。
手の中にはゴンとお揃いの、でも買ったままのオレのケータイ。自分が好きでゴンに選んだだけなのに、そのまま返ってきた事に何だか寂しさを感じてしまう。


(バカじゃねーの?)


内心舌打ってポケットにしまう。
気を取り直し競り落としたお宝を見せようとしたオレに「あ、待って」とゴンが自分のポケットを漁りだした。


「えーと、あれ?…あ、あった!」


探し物を見つけたらしく、笑顔でパッと手を差し出す。
眉を寄せるオレにニコニコしながら手を開くと、ころんと丸いどんぐりが2つ、それぞれに紐がついていた。


「どんぐりの木があったから作ったんだ。キルアがくれたのみたいに格好良くないけどね」
「…何で2つ?」
「オレとキルア。お揃いだよ!」
「…ますますどっちのケータイか解んなくなるじゃん」
「あっ!そっか!」


それは考えてなかったー、とゴンが困り顔で頬を掻く。


「じゃあ両方共キルアにあげるね」


濃い茶色のケータイにゴン手作りのストラップを付けると、ますます虫っぽく見えてきた。
同じ事を考えていたらしいゴンが苦笑する。


「カブトムシはどんぐり食べないけどね」
「まぁいーんじゃね?サンキュな」
「うん!」
「…んじゃ、戦利品の確認といこーぜ!」


オレが動くとポケットに突っ込んだケータイからどんぐりが2つゆらゆら揺れる。
ゴンのポケットからも翠の石が左右に揺れて、取り違えも悪くなかったなと頬が緩んだ。


同じものを買って、同じ事を考えて、お互いの為に何かをする。

初めてのお揃いは、ちょっと照れくさくて胸が弾むものだった。








-オワリ-





素敵な妄想語りが引っかかったのでケータイネタで書いてみました!
初めてのお揃いですってよ!
天使なごんきるちゃんの魅力を引き出せなくて切ないです;妄想ではもっと可愛いかったんだけどな^^;

それからここ数日未更新だったので、ちょっと焦って更新してしまいました;
大きく修正した場合はご報告させて頂きますね!



最後までお読み頂きありがとうございます!

2014/1/17 ユキ☆

  Clap
 ⇒よろしければ一言お願いします。頂けると励みになります!



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ