ゴンキル小説

□今日がはじめて
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新・140文字で書くお題ったー 『貴方はごんきるで【 今日がはじめて 】をお題にして140字SSを書いてください。』 をお借りしました。


じゃれ合いゴンとキル。友達以上恋人未満ですが、意識し始めたぐらいです(つまりほぼ友達Σ)










ゴンと2人で旅をする。

本気のかくれんぼ、風呂で背中を流しっこ、早食い競争。
1人じゃ出来なかったことを昨日も今日もゴンとする。

こういう何の変哲もない遊びに憧れて、でも1人じゃ出来ないから実家ではずっとゲームをしてた。
そんなオレの気持ちを見透かしたように、一歩前を歩いていたゴンがくるりと振り向く。


「オレね、こんな風に友達と遊びたかったんだ」


屈託のない笑顔にぎゅ、と心が締め付けられて、オレはうまく笑えなくなった。


「キルア?」
「…念願叶って良かったな」
「うん!」


何でここで「オレも」って言えないのか逆に不思議。

隠すようなことじゃない。
ウチの家族を見ればオレだって経験ないのは言うまでもないし。

なのに素直に頷けなくてオレは帽子を深く被った。


「キルアはさ、」
「…ん?」
「執事さん達と遊んでたの?」
「まさか。そんなこと許すと思うか?あのゴトーが」
「あは、確かに」
「だろ?」


真面目一辺倒なゴトーはオレを大切にしてくれるけど執事の枠から出ようとしない。
それは他の使用人達も同様で、遊び相手になってくれたヤツは一人もいなかった。


「でも訓練相手にはなってたぜ」
「そうなんだ」
「兄貴と親父が留守の時とかな」
「へぇ〜」
「…だから、」
「うん?」


言葉を切ったオレをゴンの黒い瞳が真っ直ぐ捉えた。

多分ゴンは気付いてる。
オレも友達が欲しかったこと。温かな関係に憧れていたこと。
気付いているけど踏み込まない。

友達というのは、こうやって何も言わずに受け止めてくれる存在なのかもしれない。

でもゴンは自分の気持ちを伝えてくれるから。
オレと出会えて良かった。なんて恥ずかしげもなく言ってくれるから、オレは安心してお前の側にいることが出来る。

だから、そんなゴンに甘えずに、オレなりにお前と向き合うべきだと思えるようになったんだ。


「オレもさ、ずっとダチと遊びたかった」
「うん!」
「〜〜〜べ、別に誰でも良かったんだけどなっ」


嬉しそうに笑ったゴンの笑顔に一気に恥ずかしさが襲ってきて、結局オレは憎まれ口で逃げてしまった。
そんなオレにぷーっと頬を膨らませたゴンが抗議する。


「もぉ!どうしてキルアはそういう可愛くないこと言うのかなぁ?」
「うっせぇ!んな恥ずい事言えっかよ!」
「素直じゃなーい」


自己嫌悪に陥りそうになったものの、ゴンがけらけら笑ってくれたので救われる。
いつも助けてくれる友達に今は顔を見られたくなくて、背中に回り込んで飛び乗った。


「わ、キルア軽すぎ!もうちょっと食べた方がいいよ?」
「食ってるし、体質だし!それよかお前、少し太ったんじゃね?」
「そんなことないよ!今度はオレね!」
「やーだね。まずはオレ!次はジャンケンで負けたほうがおんぶでダッシュな!」


下ろされまいとゴンの首に噛り付けば、ピタリと動きを止めたゴンが「ふふふ」と怪しく笑って振り向いた。


「いいよ?言っとくけど次の街までオレは一歩も歩かないから」
「お、言ったな?その発言すぐに後悔させてやんぜ」


回した腕を緩めればゴンが落ちないようにオレの足を腕で挟む。
「行くよ!」と一声掛けられた途端ぎゅんと後ろに重力が掛かってゴンが風を切って走り出した。


「あの丘の上で交代ね!」
「おう、望むところだ!」


先に小さく見える樹の麓まで揺られながら、気持ち良い風になぶられる。

今日は快晴。明日はどうなるか解らないけど、どんな天気でもきっと楽しい。
コイツといれば雨でもなんでも新しい発見を楽しむことが出来るだろうし。

…そういえば、ジャンケン勝負もおんぶの罰ゲームも今日がはじめてだな、なんてこの時はのん気に考えていた………。







―――それから。


「なぁ…」
「ん?」
「次の街…まだ着かないのかよ…」
「うーん。あと100キロぐらいかなぁ」
「マジで!?」
「うん、頑張って走ってねー」
「ち、ちくしょぉぉッ!」


キルアがゴンの強さの秘密を知るのはもう少し先のこと。








-オワリ-






アンケートにコメントを頂いてから大分経ってしまいましたが、ようやく書けました。
『友達以上恋人未満なゴンキル』です。

やや友達色が濃いですが、ゴンを意識しだした辺りということで…。
思ってたのと違いましたら申し訳ありません;

仲良しゴンキル大好き!


最後までお読み頂きありがとうございます!

2014/1/8 ユキ☆

  Clap
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