ゴンキル小説

□君の涙にキスをした
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ベッドの上で丸まって眠るキルアは猫みたい。
邪魔しちゃ可哀想って思いつつ、ついちょっかいを出したくなるのはキルアが可愛いからだと思うんだ。


「…お前なぁ。それがオレの安眠を妨げた理由かよ」

「うん。ごめんね?」


ちっとも悪いと思ってないことはバレてるみたいだけど、キルアはため息一つついただけでオレに背中を預けてくれる。
無防備な背中。でも何かあれば一瞬で臨戦態勢に入る切ないほどに過敏な身体。

いつも冷静で、すぐに暴走しちゃうオレを止めてくれるキルア。
頭が良くて物知りで、オレと一緒に遊んだり特訓したり、無邪気な顔をしてるかと思えば突然冷たい目になったり…何だか妙に悟ってるキルア。

それが哀しい経歴からきてるのは知ってるけど、その全部が今のキルアを作ってるんだよね。

キルアは、はじめて出来た同い年の友達で、今はオレの大切な人。
だからオレは、キルアの全部が愛しいんだ。

2人してベッドに寝転がったまま、オレは背中から回した手にぎゅっと力を込めた。


「キルアを幸せにしたいんだ」

「……何だよそれ、プロポーズかよ」


少し遅れて笑ったキルアに、オレは内心びっくりした。

本当は抱きしめたのも言葉の意味も、そこまで深いものじゃなかった。
これからも一緒にいようね、だからずっと笑っていてね、ってぐらいなもので、それは今だけの関係って意味じゃなく、そもそも離れるつもりもないのに約束するのっておかしいでしょ?

だけどキルアの必死で動揺を隠す姿が可愛くて、キルアが言ったプロポーズって言葉が妙にしっくりくる事に気が付いたんだ。
言われて気が付いたのは格好悪いけど、気持ちは本当だから銀色の髪に口付けたまま頷いた。


「そうだよ」


オレの言葉にキルアがびくりと身体を震わせた。…泣いてるのかな。うれし涙ならいいんだけど。そう願うオレにキルアが憎まれ口を叩いてくる。


「…そんなん出来ねーっつうの。
大体オレ等ガキだし?男同士だし?無理に決まってんじゃん」


ははは、なんて笑っちゃって、語尾が消え入りそうなのは何でなの?ほら、自己嫌悪に陥ってるじゃん。
これ以上変なことを言わないためか、キルアが起き上がって腕を抱く。なんで2人でいるのにそんな寂しそうなんだろうって哀しくなった。

オレはキルアが大好きで、大切で、キルアだってそう思ってくれてるんでしょ?
起き上がったオレを背中で感じて、キルアがまた身体を揺らす。いたたまれなくて、大好きだよって気持ちを込めて抱きしめた。

腕にキルアの涙が落ちてくる。温かな涙を零してるくせに、いてーよ、なんて憎まれ口は相変わらずで。


「いいの。それぐらいじゃなきゃキルアには伝わらないでしょ」


少し強く返したけど、大好きって気持ちは伝わってるみたい。何も言わずに俯くキルアの頭を軽く撫でて、もう一度きちんと口にした。


「キルアを幸せに…ううん、キルアと幸せになりたいんだ」


キルアがどう思ってるのかオーラを探れば解るけど、オレはそうしたくなかった。
ちゃんと顔を見て、声を聴いて、キルアの気持ちを知りたいから。


「何で泣くの?」

「……知らねぇよ」


嘘。この涙のわけをオレは知ってるし、知らないって言うキルアこそ嘘つきだ。
悲しんでるわけじゃないし泣いてるキルアも可愛いとは思うけど、


「っ、」


ちゅ、とキルアの瞼にキスをした。その時舐めた涙に、しょっぱいね、と笑ってみれせばキルアも小さく笑ってくれて。

ああやっぱりオレはキルアの笑顔が大好きだ。と再確認した。






うれしい涙より、うれしい笑顔の方が ずっと いい





-オワリ-






キルア誕生日小説、ゴンVerですv
ゴンは天然タラシだと思うんですよ!

それからこちらのタイトルも確かに恋だったさんからお借りして来ました。いつもありがとうございますv


ご来訪ありがとうございます!

2012/7/7 ユキ☆

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