ゴンキル以外小説
□旅立ち
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ゾル家で合流してから空港で別れるまでの捏造。
キルア視点・CPなし、メイン4人です。
コミックス見ないで書いてる部分があるので、ちょっとセリフが違うと思いますがお許しを;
執事室に入るなり三人が待つ応接室に飛び込んだ。
「よく来たなゴン!あと、えーとクラピカ!リオレオ!」
「レオリオ!」
「ついでか?」
色々あってハンター試験中に自宅に帰ったオレを迎えに来てくれた皆。
心苦しさを感じつつもいつもの調子で駆け寄ると、変わらぬやり取りでオレを迎え入れてくれてホッとする。
早く親父を探したいだろうに寄り道をしてくれたゴン。
医大の受験勉強をほっぽり出して来てくれたレオリオ。
そして一族の敵を取るという、己に課した重い使命を中断してまで心配してくれるクラピカ。
今朝までの潰されそうに冷えていた心が、皆の顔を見た途端ポカポカ暖まって泣きそうになる。
「とっとと行こうぜ、ここにいたらオフクロがうるせーから」
涙が滲む前に早口で言う。
親父に許可を貰ったとはいえ、あの母親がそう簡単にオレ達を敷地から出すとは思えない。
他の三人を瞬殺してオレを連れ戻すぐらいワケない連中がここにはたくさん揃ってるし、何より親父の気が変わるのが一番怖かった。
「そうだ、ゴトー。オフクロが何言ってもついてくんなよ!」
「承知しました、キルア様」
命令が下れば無駄なことは百も承知で念を押し、オレ達は早々にククルーマウンテンを後にした。
麓に降りるまで安心出来ない、と警戒するオレを他所に何事もなく空港まで辿り着く。
拍子抜けではあるものの何もないにこしたことはない。
…いや、こんな所で捕まえない程度には信用されてると喜ぶべきか、その気になればいつでも連れ戻せると高を括っているせいなのか…。
(まぁ両方。それに今連れ戻してもメリットがねぇってことだろーな)
頼みがあれば取引、意見が違えばインナーミッション。
ウチは家族というより1人1人独立した、いわば同盟のような関係で成り立っている。
誰かの為に損得抜きにして動くようなお人好しはウチにはいないし、痛い目にあっても自分の見通しが甘いせい。
そうやって育てられ、この歳まで生きてきた。
だから親父の言葉を全て鵜呑みにする気はない。
今はまだ手のひらの上だという事も理解してる。
それでも飛び出したい、大切な何かを探したいと思う気持ちだけは止められない。
「では、私はここで失礼する」
背後の話を聞きつつ考え事をしていると、決意を秘めたクラピカの言葉を合図に全員が立ち止まった。
これからクラピカは一族の敵を取るため、過酷な道を歩いていく。それは誰も肩代わりできないし、して欲しくもないはずだ。
家族から逃れたいと思っているオレにはクラピカの気持ちは正直言って理解不能。
でも復讐の鎖に縛られたクラピカは、納得するまで立ち向かわないと自由になれないに違いない。
ならばオレ達はそれを見守る事しか出来ないし、行き過ぎたら止めてやればいいだけだ。
「んじゃオレも」
「えーっ」
ヒソカの居所やヨークシンへの話の後、レオリオが手を上げた。
せっかく4人揃ったのに、と言いたげなゴンは親父さんを捜すという目的をどっかに置いてきちまったらしい。
ったくコイツは時々すげー鋭いかと思いきや変に抜けてるとこもあったりして、やっぱオレがついててやんねーと駄目みてぇだ。
「んじゃ、」
「「「「9月1日、ヨークシンで!」」」」
全員を見渡したレオリオの音頭で声を合わせる。三方向に歩き出してからオレはふと振り返った。
それを感じたのかクラピカとレオリオが足を止め、並んで歩いていたゴンも不思議そうに隣に並ぶ。
オレにとって、本当の第一歩を踏み出させてくれた三人。
家出してハンター試験を受けに行った時とは違う、本当の旅立ちを見守ってくれる仲間たち。
こいつらがいなければオレは今でもイル兄に心を折られたままだった。
別れの前に伝えたい。でも声に出すのは恥ずかし過ぎて出来ねぇから。
(サンキューな!)
それぞれに向かって心の中で感謝すれば、レオリオが照れくさそうににやりと笑い、クラピカの微笑みと太陽みたいなゴンの笑顔がかえってきた。
それを最後に再びそれぞれの道を歩き出す。
ここまでくれば、皆自分の道を行くだけだ。
皆との一時の別れは寂しくもあり、でも目的を持つ仲間の強さがオレを励ましてくれる気がした。
-オワリ-
原作沿い妄想も楽しいです。
勝手に補完してるだけで、ほもでも何でもないですが…^^;
最後までお読み頂きありがとうございます!
2014/5/9 ユキ☆
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