ゴンキル以外小説
□星空の下で誓う
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801CPお題(甘イチャ編)やってみたー 『ゴンキルで甘甘な創作するならお題は/@髪の毛を指で梳く行為/A満天の星空の下で/B会えない夜の電話での会話 です』 から、前回やれなかった@とAをキルアとアルカで挑戦してみました。
ゴンと世界樹の麓で別れたあとの話し。
キルとアルはCPではありません。
アルカと二人あてのない旅をする。
がんじがらめに縛られてきたオレ達にとって見るもの全てが眩しかった。
街の喧騒。牛が横断するまで動かない汽車。豊穣祈願祭。
こうやって見上げるまばらな星空まで新鮮に映る。
「お兄ちゃん…」
ふいに、寝転んで夜空を眺めるオレをアルカが切なげに見下ろした。
どうした?と起き上がって理由に気付く。
いつの間にか零れた涙がオレの頬を濡らしてたから。
「…わり、何でもない」
手でごしごしと擦ってニッと笑えばぎこちない笑顔が返ってくる。
心から信じたわけではないそれが息苦しくて、オレはもう一度空を見上げた。
目に映るのは世界樹の麓町から見える淡い星空。
でも思い出すのは満天の星。
ゴンと過ごしたくじら島の夜の事。
ざわざわと静かに揺れる森の木々。
狼の遠吠え。
焚き火がパチパチはねる音。
ガキ同士の他愛もない約束。
怖いものなんてもうないと、コイツと一緒なら乗り越えていけると、そう無条件に信じていた優しくて夢見がちな記憶が涙となって零れたのかもしれない。
「はは。格好悪い兄ちゃんでごめんな」
心配そうに両手を膝の上で握り締める妹の頭を軽く撫でると、ぎゅっと首にかじり付いてくる。
温かい体温が心地よくて、片手で背中に腕を回した。
「お兄ちゃんは格好悪くないよ!アルカを連れ出してくれて、ナニカを護ってくれるお兄ちゃんは世界一格好良いよ!」
「逆にお前達を危険な目に合わせるかも知れないのに?」
「それでもいいの。二人きりよりずっといい」
幼い頃に隔離され、ずっとアルカとナニカは二人だけで生きてきた。
兄貴に洗脳されてたとはいえ、そんな状態の妹を放って家を出たオレ。
こうやって連れ出したのだってアルカの為を思っての事だけじゃない。
ゴンを助けたい。その為にナニカの力が必要で、結果的に両方を手にしただけの話だ。
オレはずるい。
今だってこの気持ちを押し隠し、アルカに肯定されて安心を得ようとしている。
ゴンと過ごした懐かしい日々を思って無意識に涙を流したオレは、『お前を利用しただけかもしれないのに?』と訊ねるのがきっと正しい。
後悔なんかしていない。
ゴンを助けたい。アルカを護りたい。ナニカだって利用させない。
その為に選んだ道は最善で、自分はとうに選択した後。
ただ選び取った大切なものを守り通すのが難しく、そのための覚悟を固め切れていないだけで。
だからあの優しい記憶を慕情として思い出してしまったのかもしれない。
(…情けねぇ!)
パン!
「わっ」
勢いよくアルカを戻し、両手で頬をバチンと叩く。大きな音に驚いたアルカが目を丸くした。
痛みでさっきとは違う種類の涙が目尻に溜まったけど、おかげでバッチリ目が覚めた。
「う〜〜!いってぇ〜〜〜!」
「お、お兄ちゃん大丈夫!?」
「ああ。大丈夫だ」
ピッ!とVサインをして見せるとホッとしたアルカが笑ってくれる。
もう側にゴンはいない。
でも経験と知識と少ないけれど仲間がいる。記憶だってある。
決して優しいものばかりじゃないけど、全てがオレを成長させたのは間違いない。
ゴンを助けた。
アルカも連れ出せた。
ナニカだって護ってみせる。
その為には力が必要で、使えるアテは何でも使う。
何だって利用して大切なものは自分で護る。
過ぎた時間は戻らないし、いつまでも懐かしい思い出に後ろ髪を引かれてばかりもいられない。
「アルカ」
「ん?」
「長い旅になるけど、いいか?」
「お兄ちゃんと一緒ならどこでも嬉しい」
「そっか」
「うん!」
ニッコリ笑う妹の長い黒髪を指で梳いて、軽く撫でる。
強くなりたい。
もっともっともっと、大切なものを自分で護れる強さが欲しい。
修行を積んで、心も磨いて、いつかゴンと再開したとき胸を張って久しぶりって言えるように。
貪欲に歩き続ける決意をした。
-オワリ-
自分で選んだ道だけど色々悩んでしまうキルと、心配するアルカ。
ぐだぐだしてるキルでごめんなさい;
でも元々悩める少年だからいっか(開き直り)
キルアにはアテが2つあります。
さてどこでしょうか?^^
さらさらっと書いてしまったので読みにくかったらごめんなさい;
ご来訪ありがとうございます!
2013/11/21 ユキ☆
■ Clap
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