ゴンキル以外小説

□腹黒と天然と苦労性
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コミックス22巻より、シャルとノブナガ
(シャルシズをリクエストして頂いたのに、シズクが出てきません;すみません;)








「うおっ」

蟻退治の為流星街に戻った連中と合流した翌日。アジトのたまり場的ソファを中心にどんよりと重い空気が立ち込めていた。
寝起きのボケた頭のまま通りかかったノブナガは、不覚にも先の声を上げてしまい慌ててきびすを返す。

が、

「どこ行くの?ノブナガ」

1人でどんよりを生み出していたシャルナークが、瞬間移動でも会得したのかと思う程の素早さでノブナガの背後を捕る。首の後ろにちくりと刺さる何かは、まさか例のアンテナじゃあるまいな。

「あー…。寝直そうかと思ってよ」

恐る恐る両手を挙げて振り返ると、ほぼ同じ高さに笑っていない緑眼があった。

「まぁまぁ、そんなこと言わずにお茶でも飲んでいきなよ」
「てめぇが淹れてくれんのか?」
「そんなわけないでしょ。オレ、コーヒーね」
「……」

シャルナークは普段温厚(旅団の中では)だが、悩んだり自己嫌悪に陥ると面倒な野郎に豹変する。
今までは、考えていないようで考えているウボォーの奴が強引に外に連れ出したり、パクがただ黙って本を読みながらコーヒーに付き合ったりしていたので良かったが、これからはそうはいかない。
タイミング悪く来てしまった者の勤めか、とノブナガは降参した。

「ほらよ。不味くても文句言うなよ」
「ありがと」

ソファに戻っていたシャルナークの前にコーヒーを置いてやる。隣に座る気はないが、凹んだヤツの顔を正面に見るのも鬱陶しいので、コの字型に置かれたソファの縦部分にどかりと腰を落とした。
自分用の茶を啜って、背もたれに両腕を引っ掛ける。シンとした室内に時計の音がやけに響いて早速嫌になってきた。
大体旅団の参謀ともあろうものが何をグズグズ悩んでいるのか。さっさと行ってチャチャっと済ませてくりゃいいものを。

「オレはね、ノブナガみたいに単純に出来てないの」
「…声に出てたか?」
「ううん、顔に出てた」
「そーかよ」

ちっと舌打つとノブナガは一度天井を仰いだ。しかし言いたい事が伝わっているなら話は早い。
決して小柄とは言えない体でソファに体育座りをしているシャルナークに「だったら、」と続けた。

「シズクに告白でも何でもしてこいよ」
「これからも付き合っていくのにそんな簡単に言えないよ、って………え?」
「最近のお前の悩みっつったらソレだろ?バレバレだっつーの」
「………おかしいなぁ。ポーカーフェイスは得意なんだけど」
「シズクが絡まなきゃな」

うーん、と首を傾げる青年は、旅団一の優男だ。今風に言えばイケメンってヤツに違いない。
人当たりも頭も良い上に、情報・処理担当とはいえ旅団創設からこちら数々の修羅場をくぐり抜けて来ただけの強さもある。多少金に汚くて腹黒いが顔だけ見てれば解らない。
そういう奴でもシンケンなレンアイなんてモンをしちまうとこうなるのか、と面白いものを見る目をしていたノブナガに、シャルナークはあっさりと頷いた。

「そうなんだよね。実は一昨日蟻の巣に入った時もハラハラ苛々しちゃってさ」
「認めたな」
「とぼけても時間の無駄でしょ。それより聞いてよ」

合理的なシャルナークらしい切り返しに苦笑する。ここで嫌だと言えない自分は、今後もコイツの愚痴の捌け口になるのだろうと何となく悟ってしまった。

「自称女王蟻を探しにバラバラになったんだけど、戻った時のシズクがさ、その、」
「あー、イメチェンしてたんだろ」

自分達は別件で出ていたので直接的には知らないが、ちょうど戻った時シズクがフィンクスから借りた上着を返しているところだった。
その『イメチェン』という言葉が気に入らなかったのか、そもそも機嫌が悪いからか、シャルナークの顔が毒々しく変貌する。

「オレだって上着貸してあげたかったよ。でもオレのじゃミニスカートになっちゃうし、でもないよりマシだし、なんて考えてたらフィンクスが先に貸しちゃったんだよ!」
「だったらあられもない格好でいろってのかよ」
「そうじゃないけど!ならフェイタンが戦ってる間に貸せばいいじゃん。何で全部終わってから貸すわけ?」
「…終わってから気がついたんだろ」
「そんなわけないね!絶対チラチラ視てたに決まってる!」
「お前じゃあるめーし」
「大体さ、さっと脱いで『ホラ、着ろよ』なんて格好つけすぎじゃない?あー、また腹立ってきた!」
「…………」

声真似仕種真似までして再びエキサイトしはじめた我等が参謀様に、ノブナガはとうとう何も言えなくなった。
うちのリーダーはクロロだが、細かいところを仕切っているのはシャルナーク。そのシャルナークの中心にいるのはあの天然娘で、なるほど良くも悪くもシズクに関わるとロクな事にならないらしい。
しばらく帰ってこられない仕事ってないかなぁ、などとブツブツ呟きながらノートパソコンを操作し始めたシャルナークをその場に残し、ノブナガはそそくさと退散する。

(悪いなフィンクス。オレじゃシャルを抑えるのは無理そうだ。心置きなくNGLでも東ゴルトーでも行ってこい!)

ご愁傷様、と心の中で合掌し、改めてウボォーギンとパクノダの偉大さに遠い目をするノブナガであった…。







-オワリ-







れんげ様への相互お礼小説です。
初書きのシャルとノブナガでしたが、とーっても楽しく書けました♪

これからもどうぞよろしくお願いいたします^^




2013/3/4 ユキ☆


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