ゴンキル小説

□おかしくなりそう
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140文字で書くSSお題 『ごんきるさんは『おかしくなりそう』をお題に、140字でSSを書いてください。』 をお借りしました。


ゴン→←キル。キルア視点・好きだって認められない。










子供の頃からいつでも気を張っていた。
いつか心底気を許せる相手に出会えたら、オレはそいつを裏切らないし一生大事にしてみせる。そう決めていた。

その感情は友情であり、憧れであり、慕情。
優しい気持ちはオレを満たし、きっと幸せに導いてくれる。そう無条件に信じていた。


でも実際に大切な人が出来たオレはそんな穏やかな気持ちとは無縁の、それこそ気が狂いそうな嫉妬と戦っている。

ゴンは、誰にでも優しい。人を惹きつけ照らす光のような存在で、オレみたいに寂しい奴からレオリオみたいなダチに困らなそうな奴までゴンに掛かったら骨抜きになる。
そんなゴンが、友達の一人もいなかった、ずっと暗殺の修行しかしてこなかったオレに言うんだ。


「キルアが好きだよ」


少し照れた、真っ直ぐな笑顔が眩しすぎて直視できない。
大好きなゴンの言葉が嬉しくてたまらないのに、オレは素直に頷けなくていつも必死に茶化して知らん顔を決め込むんだ。

だってそんなの無理に決まってんじゃん。
認めたら今よりもっとお前を縛り付けて、他のヤツと線を引いて、お前以外いらないからオレだけを見てよって言っちゃうし。
それにお前にはオレなんかより世間を知っていて常識もあって嫉妬深くない、優しいイイ奴が似合ってる。

でもゴンは、そんなオレが好きだよって、キルアは優しくて純粋で、真っ白な子猫みたいだねって笑ってオレを真っ赤にさせるんだ。


ゴン、お前といるとオレはおかしくなりそうだよ。

お前の気持ちが嬉しくて怖くて満たされて枯渇して、自分が自分じゃいられなくなるんだ。
一人ぼっちの時はいつだってつまんなかったけど、こんな風に誰かに振り回されて取り乱すこともなかったのにな。

…でも、それでも、昔には戻りたくない。
こんなに苦しいのに、知らなかった頃より幸せだって思えるから。


「ゴン」
「なにー?」


眩しい笑顔でゴンが笑う。

ああ、ゴンが好きだ。伝えられないけど、認められないけど、それでもゴンの側で、ゴンと笑って、ゴンの力にオレはなりたい。
だからオレなりに精一杯の気持ちを込めて、今日も「好き」の代わりに名前を呼ぶんだ。


オレが嫉妬に狂うのが先か、思っていたような優しい気持ちになれるのが先か解らねぇけども。








-オワリ-








最後までお読み頂きありがとうございます!

2013/10/9 ユキ☆

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