とある科学の超電磁砲

□とある組織の請負人
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「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」


 薄暗い路地裏で男は全力で走る。
 よく見れば肩で息をしている為、相当な距離を走ってきたことが分かる。


「クソッ! まさか“請負人”に目ぇ付けられると『不運だよな。だが自業自得だ』!?」


 男の目の前にはいつの間にか一人の男が現れて道を塞いでいた。


「チッ、こうなったらヤケだ! くらえ!!」


 男は拳に炎を纏わせ、目の前の男に殴りかかる。しかし、目の前の男に避ける気配は感じられず――


『ッ…』


 炎を纏った拳は頬に当たり、殴られた衝撃で男はよろめく。その頬は火傷していた。


「…ハ、ハハッ、なんだ、顔の割にたいしたことねーな。…丁度良い、このままぶっ殺してやるよ!」


 調子に乗った男は再び殴り掛かる。が


『…【覚えた】』
「なッ――むぐっ!?」


 その拳は手首を掴むことで止められ、口の中にもう片方の手を捩込まれる。


『【劣化再現・発火能力】』


 男がそう言った瞬間、捩込んだ手は炎に包まれた。


――――――
――――
――



『依頼完遂。さて、報告するか』


 そう呟き、男は携帯を取り出してどこかに電話をかけた。


『――あ、俺。今依頼終わった』


〔お疲れ様。怪我はしてない?〕


『頬を火傷しただけ』


〔そう…流石に大能力者(LEVEL4)相手に無傷は無理だったようね〕


『いや、無傷も可能だったけど【発火能力】が欲しくて、つい』


〔ついって…心配する身にもなりなさい
よ。…それで? 収穫は有ったの?〕


『おう。ギリギリLEVEL4相当の【発火能力】を“覚えた”』


〔そう、なら良いわ。後始末はしておくから帰って来なさい〕


『了解。じゃ――プツン』


 男は通話を終えた後、路地裏から街灯に照らされた道路へと姿を現し、どこかへと向かう。光に照らされた男の頬から火傷の跡は消えていた。





 男の名は朝桐 卿弥(アサギリ キョウヤ)。
 職業:請負人 能力【劣化再現】
 特記事項:大能力者(LEVEL4)相手に無傷で渡り合える程の実力を持つ。
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