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□虫けら
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―とうさまはきっと四郎たちを嫌ってる。
いや、ぜったいにそうだとおもう。
そうでなければ、四郎たちに向かって
『虫けら』などといわないだろうから…

元就の四男・少輔四郎は、今日自分の父親に呼び出され、
言われたことを思い出して、泣きたくなった。
少輔四郎は、父親に呼び出され、
異母弟の面倒を見るようにいわれた。
なぜならば、少輔四郎が側室腹で一番年上だからだ。

―四郎は、ただ『そくしつ』と
呼ばれる人たちが産んだ子供のなかで、
一番年が上なだけで…
なんで四郎がやらなくちゃいけないのか?
どうしていつも四郎ばかりが、
いやなことをひきうけなければならないの?

少輔四郎は、父親に言われたことが嫌で泣き始めた。
庭の誰もいないところでうずまって、静かに一人で泣いていた。
すると、目の前から聞き覚えのある声がした。
 
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