☆他
□●馬鹿ですから
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いつ気がついたのかよく覚えてない
そのまっすぐさや負けず嫌いなとこにいつのまにか目がいって
たまらなく胸が苦しくなった。
『 馬鹿ですから 』
「ね、久作。」
「ん?」
「今僕、恋してるんだ。」
「へぇー。」
「知ってたでしょ?」
「うん。」
「へはは〜、久作はすご〜い。」
「うん、俺すごい。」
久作が自信満々にそういうと四郎兵衛はやわらかく微笑んだ。
「・・・で?もう限界なのか?」
「何が?」
「モヤモヤして分けわかんなくてはっちゃけてしまいそうかってこと。シロはわかりやすそうで、わかりにくいよな。」
「そう、かな?」
「俺、すごくない?」
「うん、最高だね。」
「わかればよし。で、どうしたい?」
「うーん・・・、どうかしたいけどどうにもできない気がする。」
「そーかそーか。」
「でも三郎次はまっすぐだから。」
「・・・。」
「そのまっすぐさにどうやっても勝てないんだ。」
「・・・でも勝ちたいだろ?」
「うん。」
「ほー。」
「・・・僕は久々知先輩を・・・超えたいんだ。」
「・・・んー・・・なんか違うかも。」
「へ?」
「勝ちたいのは三郎次に、だろ?」
「?」
久作の言葉に四郎兵衛は首をかしげる。
「三郎次のまっすぐさを歪めて、自分をいれたいんでしょ?」
「うーん?」
「久々知先輩なんか関係ねぇんだよ。
恋なんて結局は相手に自分を意識してもらわなきゃ意味ねぇの、
敵は相手の視線の先じゃなくて、自分の視線の先なんだよ。」
「・・・きゅー、かっこいい〜。」
「伊達に図書室の恋愛コーナー読破してないぜ。」
「久作は、恋、してるの?」
「・・・してる、かもしれないな。」
「だれ?」
「さぁて?」
「こらぁー。」
「シロの恋が実ったら・・・・教えてやるよ。」
その言葉に四郎兵衛はキョトンとした顔をする。
そのすぐあとに腹を抱えて大笑い。
「それって教える気なーい!」
「ないねー。」
「あはは、もーいーよーっだ!」
「・・・がんばってみたら?」
「・・・・・。」
「な?」
「うん。」
「お前はいけると思うけど?長期戦の覚悟があれば、だけど。」
「それはしょーちのすけ〜。」
「だろうな。」
「でもどうしたらいいと思う?」
「一日一回愛の囁き大作戦。」
「ほー?」
「三郎次は鈍いから直球に言わなきゃわかんないと思う。馬鹿だから。
冗談ととられようがなんだろうが、このほうが着実にいいと思う。」
「ニブニブだからねー。」
「なにもしないよりはずーーーっとまし!」
「そうだね。」
「最初はまず、相手の目を見る。まじめな顔で迫り、まず耳元で愛をささやく。」
「ふんふん。」
「次は耳をふさいで、“好きだ”ということ。」
「え?耳ふさぐの?」
「忍者の力を利用するんだ。耳を塞がれたら自然に相手の視線なんて目と口のどっちかだよ。口が動けば唇の動きを咄嗟に読んじゃうでしょ?」
「読唇術・・・?」
「ん。そしたら耳から手を離してその場を去る。以上!」
「ふんふん〜。」
「これでよし。」
「へー。」
「その次の日からは一日一回告白でいいんじゃないか?」
「わくわくしてきた。」
「どうせあきらめ方なんて知らないんだ。思う存分愛を叫べ!」
「おおー!」
「忘れないうちにさっそくいっといで!」
「いってきます!」
そういうと四郎兵衛は嬉しそうに部屋を飛び出していった。
その背中をみつめて久作は笑いながら見送る。
「ま、もう半分くらい忘れてんだろうけどな!今後の展開に期待しよう。」
久作は部屋に大の字で寝転ぶ。
「ふぁぁ〜〜・・・・青春はぁ、まってはくれないぞぉー・・・・・・・・ぐぅ・・・・。」
パタパタ・・・
三郎次の居場所など大体の見当はついている。
焔硝倉、長屋・・・・それと・・・・図書室。
直感が図書室だと告げている。
自慢じゃないがあまり直感がはずれたことはない。
ガラ・・・
いた。
真剣に本と向きあってる。
「・・・三郎次。」
「・・・・。」
きこえてない。
「・・・・。」
君は・・・勉強好きだもんね。
早く、久々知先輩に追いつきたいんだよね?
少しでも距離が縮まればって・・・。
それがたとえ報われなくとも。
「・・・・!・・・四郎兵衛?」
「うん、僕。」
「みればわかるさ。」
そう微笑む君。
「・・・。」
「四郎兵衛?」
今日の図書当番は誰だろう?誰もいない。
これは幸運というべきか。
「おい・・・?」
ゆっくり三郎次に近づく。
久作の言葉を思い出す。
目を見て、耳をふさいで・・・・・。
「四郎・・・・っ」
『 』
そっと・・・愛を囁く。
ええっと、あとなんだったっけ・・・
三郎次の驚いた顔が目の前にある。
やっぱり君は気づいてくれた。
ちゃんと唇読んでくれた。
耳からゆっくり手を離す。
「三郎次、僕は馬鹿だからあきらめるってことしらないよ。」
満面の笑みでいってやった。
後悔なんて微塵もない。むしろすっきりした。
ぽかんとしてる君を背に僕は図書室を出ようとする。
「じゃーね。」
・・・呼び止める声もなし。
キシキシと音のなる廊下を歩く。
「四郎兵衛!」
「んー?」
「俺は・・・・・。」
「いったでしょー?あきらめることしらないの。」
「でも・・・。」
「いいんだよ。後で後悔するのは三郎次だからさ。」
「四郎兵衛・・・。」
「ね、三郎次。ちょっとはドキッとしちゃった?」
「・・・・・。」
「しなかった、か。」
「・・・・・・・・ほんの、少しだけ。」
「・・・・え?」
「・・・・っ。」
「・・・・なら、僕、がんばる。もっともっとがんばるから!」
「っがんばんなくていい。」
「ううん!せめて僕の気持ちが治まるまでは頑張らせて!いいでしょ?」
「・・・・。」
「いーよね!うん。いーんだよ!」
「勝手に肯定すんな!」
「えへへ。」
「・・・全く。」
「三郎次。」
「?」
「・・・ありがとね。」
「あ、ああ。」
「じゃ、僕もういくよ。」
「おう。」
「じゃーね!あいしてるよー!!」
そういい逃げして僕は三郎次の傍を離れた。
あのときのポカンとした顔の三郎次はいままでの中で一番傑作だった。
次の日から・・・・
「おはよう、三郎次。愛してるよ?」
「おやすみ三郎次、抱きしめていい?」
「今日も元気だね、大好きだよ。」
一日一回愛の囁き。
まわりからは当然、妙な視線を送られる。
毎日毎日愛の告白。
まわりのほうがうんざりしているのに・・・・。
「悪い・・・。俺、今は久々知先輩しか考えられない。」
毎回毎回同じ返答。
真面目な君がいとおしい。
馬鹿みたいなこんな行動に文句ひとつ言わない。
この思いが冗談じゃないって知ってるから、だから真面目に返してくれる。
誠実な男だってのはずっと前から知ってたけど、これはなかなか嬉しいね。
あきらめなくてごめんね?
「じゃ、明日もまた挑戦するからね!」
そういうと君は優しく笑ってくれる。
ありがと。
僕馬鹿だから、あきらめかたなんて知らないし、知っていてもあきらめないよ。
だってあきらめられるほどこの思いは小さいものじゃない。
この体いっぱいの力でも足りない。
大きな大きな感情をあきらめるのはそれこそ馬鹿なんだ。
僕は馬鹿だけど、そこだけは間違えないよ。
いつかこの気持ちが積み重なって、君の中で大きくなっていくまで・・・
僕は待つよ。
そのときは僕を何度も振ったことに後悔してね?
「シロ。」
「きゅー?」
「今日も振られたな。」
「いーんだよー。」
「うん、がんばれ。」
「うっす!もちろん!」
僕のしつこさ、甘く見ないでよね?
「やっほ、三郎次!今日も大好きだよ!!」
僕は馬鹿なりにやっていくよ。
だって僕は馬鹿だからね!
文句、ありますか?
― おわっとけ ―
― コメント ―
はは、しろろじ。マイナーすぎるvv
片思い。
勢いだけの話なのでそんなにいいとはいえないかも^^;
こんなしろろじでいかがでしょうか?
久作がかっこよすぎてうけますね!!(酷っ)
オチに困ったというのは小説書きのお約束ですね(違っ・・・;
申し訳ないのでもうちょっと2年の勉強します!!