☆他

□●君を生かす力
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『 君を生かす力 』









「・・・・・。」

委員会の帰り道、犬がいた。

その犬はきり丸と目があっただけで突進してきたのだ。

「ええ!!?うわっ!!」

犬はきり丸に乗っかると、ぺろぺろとなめてくる。

「わ!」

アルバイト以外で犬に触れることはないきり丸。

「お前人懐っこいな〜。よしよし。」

「キャン!」





「あー!犬だー。」

「タカ丸さん。」

「これきり丸の犬?」

「違いますよ、たぶん迷い犬ですね。」

「ふ〜ん?そのわりに人慣れしれるねー。」

「そーなんですよ。おかげで離れてくれなくて。」

きり丸はそういうが、その顔は嬉しそうだった。

そんなきり丸の頭を撫でるタカ丸。

「・・・何すか?」

「いや〜、君も可愛いなってこと!」

「わけわかんないっすよ!」

タカ丸はアハハとわらいながら犬を抱き上げる。

「可愛いよなー?」

「ワン!」

「ほら、この子もきり丸可愛いだって〜!」

「犬は話さないですよ!」

「でもわかるんだって。ねー?」

「キュン。」

タカ丸はきり丸に犬を渡す。

「・・・俺よりタカ丸さんのがよっぽど可愛いですよ。」

「あは、ありがと〜。」

タカ丸は笑顔でお礼を言った。

きり丸がため息を吐くのと同時に犬は暴れだし、きり丸たちから離れていった。

「ありゃりゃ。」

「きっと親がきたんすよ。さっき泣き声しましたから。」

「親のところに戻れてよかったよね〜。」

「・・そっすね。」

ちょっと寂しそうにきこえたその言葉。

「あの子は幸せだね。」

「そうですね。」

「もちろんきり丸もしあわせでしょ?」

「え?」

「君にも戻る場所があるじゃない。」

「・・・・ええ、今の俺は幸せです。」

「今だけ?」

「ここにいる間は大事な友達がいて、俺を心配してくれて、たくさん食べて、たくさん遊んで、ぐっすり眠れます。

でもここをでたら?・・・土井先生の家にいるわけにもいかないから帰る家もない。俺は忍者になって金を稼ぐつもりだけど・・・・。」

「・・・だけど?」

「・・・どこにも居場所がない。俺を待ってる人がいなくなるんですよ。」

きり丸は笑ってそういった。

「・・・・だから今のうちに幸せたくさんもらっておいて、死ぬときにいい思い出を思い出して笑って死ねたらいいなぁって。」

「・・・きり丸。」

「俺、絶対はやく死にますよ。未練がないんだもん。」

きり丸がその言葉を言ったとき、タカ丸はきり丸の頭を小突いた。

「タカ丸さん?」

「馬鹿だね、大馬鹿者だ。」

「・・・。」

「君が死んだらたくさんの人が泣くよ?」

「誰が・・・。」

「は組の子は絶対泣くよ。土井先生だって・・・あと僕もね。」

「タカ丸さんも?」

「そーだよー。僕は君が好きだから、絶対泣くよ。」

「好きって・・・。」

「うん?そのまんまの意味だけど?」

「はぁ・・・?」

「帰るとこがなかったら僕のとこに一番においで。むしろ僕が君の帰る場所になるから。」

「タカ丸さんが?」

「うん、僕が君の未練になる。そしたら死ねないでしょ?」

「あんた・・なんでそんなに・・・。」

「さっきもいったけど、好きだから。」

「だからその好きは・・・・」

「愛してる、だよ?」

「・・・・・へ・・?」

「愛する人が死ぬほど、悲しいことはないでしょ?」

「・・・え・・あ・・・。」

「だから僕を悲しませないで。・・・死ぬなんていっちゃだめだよ?」

「は・・い・・。」

タカ丸は優しくきり丸を抱きしめるとあやすように背中をぽんぽんとたたく。

「・・・やっぱりタカ丸さんって年上なんすね。」

「あはは〜、たまには真面目なことも言っちゃうよ。」

「くやしいけど・・・。」

「かっこいいでしょ?」

「・・・・・・・まぁ。」

「ところで、僕、一応告白したんだけど、返事ってもらえるのかな?」

「あ・・・。」

「どう?きり丸の帰る場所に僕はなれそう?」

タカ丸が優しく問うと、きり丸は顔をかくしたまま呟いた。

「・・・・多分ね。」

「そっか・・・。」

「タカ丸さん・・・。」

「なに〜。」

「・・・ありがとう。」

「あはは、・・・やっぱり君は可愛いね。」

タカ丸は抱きしめていた腕をほどく。





「きり丸。」

「はい?」

「君が僕のことを好きになってくれると嬉しいな〜。でも一番はきみの幸せだから、

好きな子ができたら言ってね。応援、するよ。」

「え・・・。」

「じゃ、僕食堂いくけど、きり丸どうする?」

「え・・あ、俺は一度部屋にもどるんで・・・。」

「そっかー。じゃあまたあとでねー!」

タカ丸はそういうと食堂へといってしまった。









「好き、か・・・・。」











「もうけっこう好きなんですけど・・・・。」











タカ丸の行ってしまった方向をみながら、耳を赤くしてそう一人きり丸は呟くのであった。







その話の一部を部屋に戻って話したら、ものすごく乱太郎たちに怒られ、ひっそりきいていたは組の全員に怒られ、

タカ丸に話をきいた土井先生や先輩たちにも怒られた。



その様子をこっそりみていたタカ丸は、心底嬉しそうに笑うきり丸に安心していたのであった。















2人が恋仲になる日はそう遠くはない・・・。

















― end ―











― コメント ―



くっつく手前!。



ちょっとしょっぼいおまけも書いてみたり・・・↓

は組。







「・・・っていうことがあってさー。」



「・・・・本当に大馬鹿者だよ。きりちゃんは!!」

「そーだよ!」

「なんだよ、2人して。」

「タカ丸さんのいう通り、僕らは絶対泣くからね。」

「帰る場所がない?!なにいってるの?そんなのいくらでも私たちがなってあげるよ!!ずっと待ってるよ!こんのっ馬鹿っ!!」

「お、おい・・・。」

「僕ら仲良しでしょ?卒業してもそうだよ。」

「なんでそんな簡単なこともわかんないの?」

「乱太郎・・・しんべエ・・・。」



ガラ!



「馬鹿野郎ぉ!!」

「そーだぞ!馬鹿!!」

「僕らだって泣くからな!!」

「思い出せないくらい幸せで楽しい思い出たくさん作ろう?」

「死ぬなんて思えないくらいにね!!」



「みんな・・いつのまに・・・。」



「きり丸が馬鹿な話しだしたときから。」

「・・・ね、きりちゃん。私もみんなも泣かせないでよ?」

「・・・・・っああ。」



以上。この後、土井先生やら委員会関係で怒られればいいさ!

この会話中、大半のよい子たちは泣きながら叫んでます。

 

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