☆五年@

□●怪我しちゃいました
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夏休み明け。

帰省していた忍たまたちが続々と忍術学園にやってきた。

三郎や雷蔵もそうだった。


「雷蔵、どうしたんだ?なんか暗いぞ」

「実は宿題があまりにも簡単すぎて、これは罠かなにかかと思って悩んで

迷って、結局宿題ができなくて・・・。」

「・・・雷蔵らしいといえばらしいが。」

2人が歩いていると走ってどこかにいこうとする竹谷の姿があった。

「おーい!」

「三郎!雷蔵!」

「久しぶり、はっちゃん。」

「聞いたか?宿題がバラバラに配られたらしいぜ。」

「あーなるほど。雷蔵、多分お前のやつもそうなんじゃないか?」

「そうかも・・・。」

「兵助はどうだったんだろうな。」

三郎がそういうと竹谷は何かを思い出したようだ。

「あー!そうそう兵助だよ!!いそがなきゃ!!」

「どうしたんだい?」

「兵助の奴、今、大怪我で大変だってきいて!それで保健室に・・・」

「大怪我だって?!」

「どうやら六年の課題にあたったらしくてさ、やり遂げたはいいが

背中に矢とか刺さってて大変らしい。」

「僕らも保健室にいく!」

「おう。」

三郎たちは急いで保健室に向かった。











『 怪我しちゃいました 』











「兵助!」





「おや、どうしました?」

「新野先生、久々知兵助は!?」

「彼ならそこで寝ていますよ。矢の傷がすごくてね・・・。」

久々知の上半身のほとんどが包帯だった。

「うわ・・・、こりゃひどいな」

「でも・・・ちゃんと課題をクリアして、・・・偉いね。」

雷蔵は優しく兵助の髪を撫でる。

「・・・馬鹿野郎・・・無理してんなよ。」

「本当にね。起きたら説教しなきゃ。」

「まぁまぁ、無事なだけよかったじゃん?」

「・・・・だな。」



「・・・んん・・・?」



「兵助!?」

「・・・あ、れ?」

「おはよ、気分悪くないか?」

「ここ・・・・。」

「忍術学園だよ。兵助すごい怪我だったんだから。」

「ああ・・・そっか・・・宿題で・・。」



「久々知君、目を覚ましましたか?」



「新野先生・・・。」

「ひどい怪我ですよ。君にはしばらくは保健室にいてもらうことになります。」

「はい・・。」

「私は少し出かけますが、安静にしていてください。」

「はい。」

「すまないけど少しの間だけ誰か留守番しててもらえませんか?」

「では、私達が。」

「そうですか、よろしくお願いします。」

新野先生はそういうと保健室から出て行った。

兵助は半身をゆっくりおこす。



「・・・・心配、したんだよ?兵助。」

「そーだぞ、なんでそう真面目なんだ!無理な宿題くらいわかるだろ!」

「・・・・ごめん・・・。」

「今回は課題もクリアしたからいいものの、・・・・死んでたかもしれないんだぞ・・・。」

「・・・うん。」

「俺さ、ちょっと怖かった。」

竹谷は兵助を抱きしめた。

「はっちゃん・・・・?」

「お前の怪我みてびっくりした。予想以上じゃん・・・なんだよそれぇ・・・・。」

「はっちゃ・・っ・・・。」

「こんな想い・・もうごめんだぜ・・・?」

「・・・・ごめ・・っ・なさい・・!!」

兵助も竹谷にしがみつくように抱きしめた。

「私もこんなのはもう嫌だな。」

「僕も。・・・・こんなに背筋が冷えたのははじめてだったんだからね。」

雷蔵も三郎も少し涙ぐんでいるようにみえた。

「雷蔵・・・三郎・・・。」

「無理なときは私達も手伝ってやるから。・・・・もう無茶はしないでくれ。」

「僕達、友達でしょ?兵助のわがままなんていくらでもきいちゃうんだよ?」

「で、でも宿題だったし・・・。」

「バレなきゃいいんだよ、この優等生ちゃんめ。」

「怒られるときは僕達も一緒に怒られてあげるから・・・ね?」

「・・・・うん・・・。」

「俺を泣かせた罰として今度団子をおごること!」

「・・・はは、うん・・・わかったよ。」

「へへ・・・。」







「ところでさ・・・。」

「三郎?」

「お前いつまで兵助とに抱きついてるつもりなの?」

三郎の眉毛がピクピクと動いている。

「えー!いいじゃんかー。」

「でもはっちゃん?兵助を寝かしてあげなきゃ。」

雷蔵も気になっていたらしく竹谷を剥がそうとする。

「やだ。まだ兵助を抱きしめてるー。俺がどれだけ心配したかをわからせてやる!」

「意味わかんねーよ!だったら私も!!」

「わ!三郎〜・・・・。」

三郎は兵助を後ろから抱きしめる。

「なにしてんの2人とも!!」

雷蔵は2人を兵助から剥がそうとする。

「いた!いたたたた・・・っ!!」

兵助が痛がっているが、周りは気づかない。

「三郎!はっちゃん!!」

「「もうちょっとー!」」

「ちょ・・・っ!みんな・・・・!!」









「こらーー!!」







突然の声にびっくりし、一瞬隙ができた三人は

いつのまにか廊下に放り投げられていた。

「あ・・・。」

「小松田さん・・・。」

「新野先生に言われてみにきてみたら・・・!もう、なにやってるんだい?」

「す、すいません・・・。」

「だめじゃない、けが人なんだよ?痛がってたよ、久々知くん。」

小松田の言葉にみんなはっとして、兵助をみると痛そうに顔をゆがめていた。

「あ・・・。」

「ご、ごめん・・・。」

傷が一部ひらいたのか包帯が少し血に滲んでいる。

「わー!傷口が・・・!」

竹谷が保健室に入ろうとすると、小松田さんが止める。

「君たちは新野先生を探してきて。これは罰だよ。」

「「「はい・・・。」」」

そういうと三人は急いで新野先生を探しにいった。

「大丈夫?」

優しく微笑む小松田にほっとする久々知。

「はい・・・、ありがとうございます。」

「とにかく横になったほうがいいね。本当はおきるのもつらかったんじゃない?」

「どうしてわかったんですか?」

「僕もよく怪我するしね(笑)」

「はは、でもさっきの小松田さんにはびっくりです。」

「あはは、これでも事務員ですから!」

「関係ないような・・・・。」

「本当は包帯も取り替えてあげたいけど・・・僕あんまり器用じゃないからね。」

申し訳なさそうにそういう小松田。

「いえ・・・、小松田さんはいてくれるだけで癒されます。」

「そう?ならいいけど。」

「はい。」

なんだかすごく心地いい空気に久々知はすこし眠くなってきた。

「眠いなら寝ていいよ。がんばったから身体が疲れてるんだよ。」

「はい・・・。」



小松田の声が子守唄にきこえる。



優しい声だ。



兵助はゆっくり目を閉じる。



「難しい宿題だったんだってね?・・・・えらい、えらい・・。」



優しく頭をなでてくれる。

雷蔵もしてくれるけど、何かが少し違う。

懐かしいなにかを思い出す。



「おやすみ・・・・。」



この言葉と同時に兵助は眠りに落ちた。

落ちたあとに小松田はあやすように胸の上で一定のリズムをやさしくたたいていた。









「僕達・・・兵助に無理させちゃってたんだね。」

「反省・・・。」

「俺も・・・。」

「小松田くんをよんでおいて正解でしたね。彼にはなぜかみんな素直なんです。」

新野先生はそういうと保健室の戸をあけた。

「あ、新野先生。」

「ありがとう、小松田君。久々知君は寝たようだね。」

「はい、つい先ほど。」

「後は私がみるから君は事務に戻ってください。不破くんたちもいきなさい。

学園長が集合をかけていたよ。」

「はい。」

4人は保健室をでる。



「小松田さん、兵助のことありがとうございます。」

「何のこと?・・・それに私の責任もあるから。」

「え?」

「宿題がバラバラになったの僕のせいだからね。」

「ええ!!?」

「だから本当は僕が怒られなくちゃいけないんだよ。」

「どういうことですか?」

「宿題をつめてるときに来訪者がきたり、事件がおきたりしちゃって、僕が

みんなの宿題をつめてたんだけど・・・。」

「バラバラにしちゃってわからなくなったと?」

「うん。」

「じゃあやっぱり僕の宿題も違うものだったのかも。」

「ごめんねー。」

「まぁ、もうすぎたことだし・・・。」

「それにこれで兵助も俺たちを頼ってくれるかもしれないもんな!」

竹谷の言葉にうなづく2人。

「怒らないの?」

「兵助が死んでたら怒るどころじゃなかったでしょうけど、幸いなことに生きてる。」

「それがあったからこそ言えたこともあったので・・・まぁ、いいです。」

「多分兵助も気にしてないと思うし!」

「みんな優しいんだね。久々知くんも幸せだね!」

小松田がそういうとみんな照れたように笑った。



「それじゃ僕達集合かかってるので・・・。」

「うん、またねー。」









その後、雷蔵は先発チームとして、オーマガトキ城へと向かったのであった。

みんなが帰ってくる間に怪我はほぼ完治し、歩けるようになった兵助は

小松田と一緒に事務仕事したり忍者修行に付き合ったりして時間をつぶしていた。





「みんな早く帰ってくるといいね。」

「はい。」

「今日はいい天気だし、おばちゃんに言って外で食べよっか!」

「あ、いいですねー。」





ちょっぴり小松田と仲良くなった久々知なのであった。















― おわり ―

















― こめんと ―



37巻のネタばれ小説。

友情ですかね。

ほんとは小松田さんはタカ丸さんでした。

でも37巻ってまだ登場してないし!

でてたらきっとタカくくになってたし、話もだいぶ変ってたかも。

でも小松田さんで満足です。

竹谷も鉢屋も学校にいる気がするのですが、あえて行ってもらいました。
後に久々知と仲良くなったであろう小松田さんに5年は軽い嫉妬すればいいさ。

 

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