☆五年@

□●あの頃の僕ら
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『 あの頃の僕ら 』





「なぁ雷蔵。」

「ん?」

「兵助と私が会ったときのこと覚えてる?」

「たしか一年のときで・・・・」











「三郎、また僕の顔でいたずらしたでしょ!」

「あはは、悪い悪い。」

「笑い事じゃないよ!もう。」

「私と雷蔵を見分けられない奴が悪いんだよ。」

「僕らまだ一年だよ?見分けられるわけがないじゃない。」

「雷蔵はわかるじゃん。」

「僕は三郎のことよく知ってるからね。」

「それでいいじゃんか。」

「そーじゃなくて!」

「わかったよ、後で謝りにいくから。」

「全く・・・。あ、そろそろ一年合同演習だよ。いかなきゃ。」

「マラソンだったよな・・・。」

「サボりはだめ!」

「はーい・・・。」











先生の掛け声と共にマラソンが始まった。

雷蔵と三郎はちょうど真ん中あたりの位置をキープしながら走っていた。

「はぁ・・・かったるい・・・。」

「マラソンはたしかにしんどいよね。」

「それにしてもけっこう罠もあるな。」

「うん、でも僕らの前を走っていった人たちがほとんど罠にかかっちゃってるねー。」

「落とし穴が多いな。」

「うん、ボコボコ。」



いつのまにか三郎と雷蔵は先頭にまできていた。

「あはは、みんなだらしないよなー。」

「僕も三郎がいなきゃ多分落ちてたよ。」

「もう私らの前に人いないんじゃないか?」

「うーん。どうだろう。・・・・うわ!」

「雷蔵!?」

「あいたたた・・・。」

「あーあ・・・こりゃだめだ。」

「ごめん、三郎。もうちょっとで終わりなのに・・・。」

雷蔵は足をひねってしまったようで、三郎に肩をかりて立ち上がった。

「うーん、雷蔵ひとり抱えてゴールできるかなー。」

上級生だったらともかく、まだ小さな身体の一年生。







「なぁ、大丈夫?」







「あー久々知だ。」

「不破、もしかして足ひねっちゃったの?」

「うん。」

迷いもなく雷蔵に話しかける少年。

「あ、俺、久々知兵助。君は鉢屋三郎だろ?」

「お、おう。」

「もうすぐゴールだから俺も手伝ってやるよ。」

「ごめんー。久々知は僕らよりも前にいたのに。」

「後ろから話し声がして気になって戻ってきたのは俺だから。気にすんな。」

「久々知だっけ?お前、優秀なんだな。罠とおりぬけたんだろ?」

「うん?罠?あったのか?」

「「・・・・・。」」

「天然か。」

「天然な子だよ。」

「え?」

「・・・・ともかく早く雷蔵の手当てしないと。」

「じゃあ、2人で不破を支えようよ。」

「ああ。」







ゴールはすぐだった。

その間たくさんの話をして3人は仲良くなった。



「三郎ってばその後兵助に誰に変装しても見破られてたよね。」

「私のプライドをボロボロにされた記憶がある。」

「でも兵助が見抜いてたのは天然だからだけど。理由なんてないんだよねー。」

「だからこそ、よけいに悔しかった。天然なんか理由になるか!」

「僕さ、兵助にはじめてあった時、女の子かとおもっちゃったんだ。」

「あいつ昔はまじで女顔だったからなー。」

「今も綺麗な顔だよ。」

「だな。睫毛ながいし。」



「昔のことっていうと、あれだね、一年のときの兵助が風邪ひいたときの僕ら、今思うとかなりかわいいよね。」

「・・・そうだな。今の私にゃできないことをしたな。」

「「・・・・泣いたよね(な)。」」













「こら!離れなさい!」

「やだ!」

「僕達もここにいます!」

「馬鹿!風邪がうつったらどうするんだ!!」

「せ、先生も落ち着いて・・・ここには病人が・・・。」

先生と三郎たちが兵助をはさんで言い合いをしている。

三郎と雷蔵は兵助の入っている布団をしっかりつかんではなさない。

「「いやだーーー!!」」

「布団を放せ!」

「兵助と一緒にいるんだ!」

「そうです!」

「このままじゃ風邪がうつるだろうが!」

「ふぅ・・・っ!」

「・・・っ!」

「泣くほどのことか!?」

「へ〜すけ〜・・っ。」

「あー・・・もう。お前ら何歳だよ・・・。あー・・・わかった、負けた。」

「「・・・。」」

「好きなだけいろ。・・・ただし!静かにな。」

「「はーい!」」







先生たちが出ていくと、三郎と雷蔵は兵助をはさんで布団をしいた。

「兵助、今日はずっと一緒だぞ。」

「さ、ぶろ・・・らいぞー・・・。」

「早く元気になって外であそぼーね。」

「・・うん・・・。」

「淋しくないように一緒に寝てやるからな!」

「えへへ・・・ありがと。」

「苦しくなったら言ってね。」

「うん。・・・あのね・・」

「なんだ?」

「怖い夢・・みそうだから手、つないでいい?」

「「うん!」」

「・・・えへへ。」

「じゃ、寝よう?」

「おう。」

「「「おやすみなさーい。」」」











「今おもえば恥ずかしいな。」

「たしかに。でも幸せって感じだよね。」

「純真無垢だったな。」

「それが今ではこんなにやさぐれちゃって・・・。」

「雷蔵なんて黒く・・「なに?」・・・・うん、なんでもない☆今も真っ白だよな!雷蔵は。」

「兵助の天然もあいかわらずだし。」

「無敵だよな。」



「でもそんな兵助を大好きなんだよね僕ら。」

「いくら雷蔵といえど、兵助は譲れないよな。」

「僕も手加減しないよ。」









「雷蔵ー、三郎ー?」







「あ、兵助が呼んでる。」

「我らが姫のお呼びだ、早くいかないとな。」

「だね。」









「「おーい、兵助ー!」」













昔も今も







僕らは君が大好きです。


























・・・・・・













・・・愛しています。















― 終わり ―







― コメント ―



三郎・雷蔵・久々知の一年話。

竹谷は3年からの付き合い設定なのでいません。



最終的に鉢屋VS不破→久々知なのかな。

でもまだ3人でいるのが楽しいので想いは告げず。

友情も大事なのよね。

密かに竹谷→雷蔵きてもいいと思う(殴)不破竹。

 

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