☆五年@

□●風邪パニック★
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『 風邪パニック? 』








「・・・・・・雷蔵。」

「うん?」

「私は納得がいかない。」

「なにが?あ、はっちゃん、そこ間違えてる。」

「ええ!?」

「いや、おかしいだろ。」

「どこが?」

「雷蔵これでどー?」

「うん、できてるよ。」

「ところで三郎はなにしてんの?」

「お前・・・わざとか?」

「いやー宿題に夢中で!で、なに一人で縄に縛られてんの?趣味か?」



そう、三郎は今まさに縄で縛られ、正座させられているのだ。

「趣味なわけないだろ!おい!雷蔵!!」

「だって三郎おとなしくしてられないでしょ?」

「う・・・。」

「今日くらいはおとなしくしてなさい。」

「ま、しゃーねーよな。だって兵助は・・・・





風邪ひいて寝込んでるし。」







「一日ゆっくりさせてあげなきゃ治りがおそくなるんだから、ね?三郎。」

「う〜〜!私の中の兵助パワーがぁぁ!!補充しなきゃ死ぬ〜〜。」

そういうと三郎はバタバタ暴れだした。

「三郎?」

「・・・おとなしくしてまぁ〜す・・・。」

「そういえばそろそろ飯くいにいこうぜ?」

「ああ、もうそんな時間だね。兵助にももっていかなきゃ。」

「はい!私がもっていく!」

「・・・・・・三郎が?」

「まぁまぁ、これくらいいいじゃないか雷蔵。」

「・・・お昼の間だけだからね?」

「やったー!」

雷蔵はしぶしぶ三郎の縄をほどいてやる。

「私、食堂いってくる!」

縄をほどくとすぐさま、食堂へと走っていった。

「犬みたいだな!」

「あーいうときだけね。」

「さてと、俺らもさっさと食堂いこうぜ!」

「・・・・ふぅ、そうだね。いこう、はっちゃん。」

















「兵助、お粥もってきたぞー。」



三郎が呼んでも返事はない。

「ああ、まだ寝てるのか。」

三郎は部屋にはいっておかゆを床におく。

兵助はぐっすり寝ている。



「う〜ん、まだ熱はあるかな。」

兵助の額に手をあててみるが、あまり熱はさがっていないようだ。

「・・・早く元気になれー。」

兵助に布団をかけなおした後、兵助の頬を軽く撫でる。



「長いつきあいだけど、兵助が一番風邪ひいてるよな。」



「一年のときなんて私と雷蔵、泣きながらお前の傍を離れなくて、

先生困らせたの覚えてるか?」



『こら!鉢屋に不破!!』

『『いやだーー!!』』

『布団をはなせ!』

『兵助と一緒にいるんだ!』

『そうです!』

『このままじゃ風邪うつるだろう!!』

『うっ・・ふうっ・・・・!』

『へいすけ〜・・・。』

『泣くほどのことか!?』

『『・・・・。』』

『あー・・・もう何歳だよお前達・・・(汗)。わかったよ、負けた!

もう好きなだけいろ。ただし、静かにな。』

『『はーい!』』










「3年になって八とお前が仲良くなってんの見て、やっぱり同じクラスがよかった、なんて落ち込んでたことなんて知らないだろ?」





『なんで私たちいつも兵助とクラス違うのかなー。』

『・・・あの人と仲いいね。』

『たしか竹谷はち・・・なんとかってやつだ。』

『なんか寂しいね?』

『お、子離れですか、雷蔵さん?』

『できるとおもう?』

『無理。』

『あ・・・。』

『手振ってるよ・・・プフッ!』

『・・・やっぱり無理だね。僕も三郎も。』

『だな。』









「今5年になって、兵助が好きってこと自覚して、世界がちょっと変ったように見えたんだ。」





『あはは、なにやってんだ、三郎。』



兵助が笑うと私も笑う。



『三郎?』



名前を呼ばれるだけで愛しいと感じる。



「・・・・なぁ、私のこと好きか?」





三郎が話していると、兵助がもぞもぞ動き出した。

「・・兵助?」

三郎が名前を呼ぶと、兵助の目がうっすら開いた。

「さ・・・ぶろ・・・?」

「おはよう、お粥あるぞ、食べるか?」

「たべ・・る。」

兵助は目をこすりながら半身をおこす。

「んー・・・。」

どうやらまだ寝ぼけているようだ。

「食べれるのか?」

「・・・・あれ、三郎だ。」

「今おきたのかよ。」

「あ、お粥。」

「食べれるか?」

「うん。」

「じゃあ、はい。」

「え・・・?」

三郎は満面の笑みでお粥を兵助の口に運ぶ。

「ほら、あーん。」

「い、いやいいよ。自分でたべる。」

「だめ。まだ熱があるみたいだし、おとなしくしてろ。」

「・・・食べるだけじゃないか。」

「いーから!!」

三郎の強気に押され、しぶしぶ兵助は口をあけた。

「うまいか?」

「うん。さすがおばちゃん特製粥。」

「+私の愛。」

「っ!・・ゴホッ・・ガッ!」

「おいおい大丈夫か!?」

「三郎が変なこというからだろ!」

「いや、これは言っておかないと。」

「なんでだよ!」

「それは・・・・」

「もー!やっぱり自分で食う!」

兵助は三郎からお粥を奪うと、冷ましながら食べる。








「・・・なぁ。」

「んん?」

「兵助は私のこと好きか?」

「は・・・?」

「好きか?」

「さ、三郎?それ、そういう・・・」

「兵助は私が愛しいかどうかってこと。」

「愛しいって・・・。」

「・・・・・。」

「さ・・・・三郎・・・」

いきなり言ったのでどうやら兵助は困惑しているとおもった三郎はタメ息をはく。



「・・・・やっぱ、いいや。忘れろ。」

そういって兵助の傍を離れようとする三郎。

「え・・・。」

「じゃあ私も食堂いくから。」

三郎が立ち上がろうとする。





「え・・・・?」

しかし、立ち上がれなかった。

「さ・・・さぶろ・・・っ。」

「へ・・・兵助・・!?」

三郎の手をつかんでいたのは兵助だった。

「ううぅ・・・なんでいっちゃうんだよ・・・ぅぅっ!」

「へぇあ!?ななななんで泣いてんだ?!おおぉい!泣き止んでぇ!!」

ボロボロに涙を流している兵助。

「馬鹿ぁ野郎っ!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!!」

「うわぁ!なになにどーして!?つか馬鹿っていいすぎ!」

「三郎の馬鹿ぁ・・ううっ。」

「ごめん!なにがかわかんないけどマジでごめん!!」

「なんなんだよ・・・お前は!卑怯な聞き方すんなよぉ・・・。」

「・・・?」

「うぅ・・・三郎は・・俺にどう答えさせたいんだよ・・・。」

「ん?」

「さっきの質問なんだよ・・・、三郎はどうなんだよ。」

下を向いて呟くように兵助は言う。

「私は・・・・」

「俺はお前が好きだよ・・・。ああ、愛しいさ!悪いか!!」

顔をあげた兵助の顔は涙が絶えず流れている。

「お、あ、え!?いやいやいや悪くない!!悪くない、むしろ・・・」

「うわぁぁ!うううぅ〜〜!!」

「おお・・・・?!」

まるで子供のようになきまくる兵助に三郎は驚くしかなかった。

「ま、まさか熱があがった!?」

三郎がどうやっても泣き止まない兵助。

「こんなとこ雷蔵になんてみられたら・・・・」









「・・・みられたら?」

「わーー!雷蔵!!」

「あー三郎が兵助泣かしてる!」

「ちっ違う!!」

竹谷は兵助に近づく。

「ありゃまー、こりゃ熱あがってんぞー。」

「やっぱり・・・。」

「よしよし。」

竹谷はお粥を遠くにおくと、兵助の頭を撫でた。

「うぅ・・・・。」

「よーしよしよし、うんうん、疲れたろー?ゆっくりおやすみ〜?」

竹谷が背中をたたきながらそういうと、兵助はゆっくりと瞼をとじていった。

「おお・・・八、やるな・・・。」

「兵助が寝たのはいいけど、熱あげちゃだめじゃない。」

「私のせい・・・・なのか?」

「じゃなかったらなんなの?」

「あー・・・いや、私のせいだわ。」

「やっぱり縛っておこうか。」

「え。」

「今日一日それね。ちなみに飯抜き。」

「・・・・はい(泣)」





兵助の風邪は3日つづいた。

その間、三郎は兵助に近づこうとするたびに雷蔵にエビフライのように縛り上げられた。

そしてその間、看病はほとんど保健委員と竹谷がやっていた。

回復した兵助は三郎との会話をまったく覚えていなかったらしく、

それに気づいた三郎はほっとしたような残念なような複雑な気持ちで一日過ごした。



「結局・・・・・両思い・・・・?・・・え?どーなの?」






― おわっとくか ―











― コメント ―



風邪っぴき兵助。

もとはめっちゃシリアスでやるつもりが・・・ねー?



一年時代のちらりとだした風邪話をいつか小話でだしたいなーっておもいます。

三郎も一年のころはまだ可愛げあったんじゃないかなーって。

竹谷は三年からの付き合い設定です。

最後のセリフは三郎氏。

 

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