☆五年@

□●嫉妬
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「・・・三郎、嫌い。」





それが朝一番に聞いた最愛の恋人からの言葉だった。





「・・・・・・・・・え。」





「へっ兵助?」











『 嫉妬 』









固まる三郎。

雷蔵もわけもわからず兵助を見送る。

「な・・・なんでー?!」

「三郎、一体兵助になにしたの?」

「なっっんもしてないよ!」

「・・・ふーん。」

「本当だって!」

食堂についても久々知は

三郎とは会話しなかった。

「兵助ぇ、私なんかした?」

「・・・。」

「謝るからさー!」

「・・・。」

「兵助さーん?」

「・・・。」

「あー!もういいよ!わかった、そんなに私が嫌いならそういえばいーだろ!」

三郎はそういうと食堂からでていった。







「・・・そんな泣きそうな顔するくらいなら、無視しなきゃいいのに。」

「雷蔵・・・」

雷蔵が兵助の髪をやさしくなでる。

「・・・・・・・・三郎んとこいってくる。」

「うん、いっといで。」

兵助は食事を終えるとすぐ食堂からでていった。

「朝から大変だな。」

「まぁね。それにあんなに怒ってる兵助は珍しいから」

「そーなんだよなー。」

「ま、事情は二人が仲直りしたら聞き出そう。」

「そだな。」

雷蔵と竹谷は頷きあうと食堂をでていった。







「三郎・・・!」

「・・・・。」

いつもなら兵助が呼ぶと犬のように駆け寄ってくる三郎だが

よほど怒っているのか、兵助を無視する。

「あの・・さっきはごめん。」

「・・・・・。」

三郎はどんどん先を歩いていき、とまる気配もない。

「ほんとは・・三郎が悪いんじゃなくて・・・・!ただ・・・」

兵助も必死で三郎のあとを追う。

「ただの俺のわがままなんだ・・・・・。」



「だから・・・・三郎が嫌いなんじゃないんだ・・・・・。」



先に進む三郎、追いつけないとわかって足をとめた兵助。

三郎の姿が見えなくなった。

目からぼろぼろ涙がこぼれていく。



「さ・・・三郎ぉ・・・っ。」









「あれ?久々知先輩ですか?」



「綾部・・・・。」

久々知は綾部のほうをみると、あわてて涙を拭いた。

「泣いてらっしゃったんですか・・・。」

「・・・・。」

「鉢屋先輩ですか?」

綾部は表情を変えず言った。

「・・・・ちがっ・・」

「違いませんよね?だってその名前だけであなたはそんな顔をする。」

「・・・綾部・・・。」

「そんな泣きそうな顔・・・しないでください。」

綾部の表情が少し歪む。

「私なら・・・・」

綾部の手が兵助に伸びる。

「綾部・・・?」







「・・・触るな。」







綾部の手が兵助に触れることはなかった。

その代わり、兵助の前に三郎がたっていた。



「さ・・・三郎・・・?」





「おや、残念・・・。では失礼しますね。久々知先輩。」

「え?」

「寂しいときは私のところに来てくださいね。いつでも大歓迎ですから。」

「・・・早くいけ。」

「はいはい。」

綾部はそう言うと、ささっといってしまった。

残った二人の空気はなんとも重い。



「さっ三郎っ・・・。」

「・・・泣いた?」

三郎は兵助の頬を軽く撫でる。

「・・・・。」

兵助が黙っていると、三郎は兵助を抱きしめた。

「ごめん、無視なんかして・・・。」

「違う!俺が一番悪かったんだ!!」

「・・・・・うん。」

「俺、三郎の事・・嫌いじゃないから!」

「うん、さっきも言ってたな。」

「俺の・・わがままで・・・・・・・・・。」

「そう、そのわがままってなに?」

「あー・・・・・・・。」

「兵助のわがままなんてめずらしいからなんでも言って。」

「あの・・・・恥ずかしいんだけど・・・。」

「うん。」

「三郎・・・かっこいいじゃんか・・・。」

「は?」

「・・・成績もいいし、なんだかんだで下級生に人気だし・・・・。」

「で?」

「くの一からも人気で・・デレデレしてるし・・・・。」

「そぉかぁ??」

「そしたら・・・なんかイライラしちゃって・・・・・・・ごめん・・・。」

兵助が謝ると、三郎は大きなため息をはいた。

「馬鹿だなぁ、私が兵助にどれだけデレデレしてると思ってんの?そんなに心配なら雷蔵にでも聞いてみればいいよ!」

「や、それも恥ずかしいよ。」

「嫉妬してくれるのはうれしいけど、私にちゃんと言ってほしい。今日みたいなのは

もう勘弁してほしいから。」

「うん・・・俺も今回で懲りた。三郎に無視されるとすっごい辛い。」

「・・・あと私の知らないとこで泣くな。兵助の泣き顔も笑った顔も全部ぜーんぶ!

私のものだ。誰にも見せたくない・・・。」

「三郎と喧嘩しきゃ大丈夫だよ・・・。」

「じゃあもう大丈夫だよな。」

「・・・多分ね。」

「絶対、だ。」

「・・・うん。」



















「・・・・ということだったんだ。ごめんね、雷蔵。」

「いいよ。兵助が笑うなら。」

「えへへー、雷蔵好き。」

「僕も兵助好きだよ。」

「雷蔵〜!」

雷蔵の言葉が嬉しくて、兵助は雷蔵に抱きついた。

雷蔵も嬉しそうに兵助を抱きしめ、頭を撫でてやる。

「かわいいな〜v兵助は。」



アハハハ・・・・・v

ウフフフフ・・・・v









兵助の部屋の前に二つの影。



「なっなんで雷蔵にはあんなに甘えるんだ!」

「まぁ、雷蔵だしね。」

「好きだって!兵助あっさり雷蔵には、いっちゃってるよ!」

「まぁ、雷蔵だしね。」

「なんであんなにラブラブなの!?」

「まぁ、雷蔵の特権だよな。」

「さっきからお前はなんなんだ!!そんなに雷蔵が好きか!」

「まぁ、三郎よりは。」

「ちくしょーー!!!」

「冗談だって!お〜い!!いっちゃったよ・・。」





「兵助は三郎好き?」

「うん・・・・大好き、だよ。」





「あーあ、三郎・・・(泣)」





部屋の中の幸せな言葉を三郎がきくことはなかった。

竹谷は心底三郎を憐れだとおもったとか思わなかったとか。













― end ―











― コメント ―





ベタ・・・だね。

ただ綾部からめていろいろしたかったんだよ。

雷蔵のポジションになりたい。ものすごく。

 

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