☆五年@

□●華やかに
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『 華やかに 』







学園長の思いつき、









それはいつも突然はじまる行事である。













「なぁ、三郎。」

「んん?」

「俺ね、たまに学園長に抗議したくなるんだ。」

「今日はまだましな思いつきだとおもうけどねー。」

「でも・・・・『女装大会』だなんて・・・。」

「そーだよなー、三郎はどうとでもなるけど、ほとんどのやつらは女装苦手だもんな。」

竹谷は文句をいいながら着替えている。

三郎はもう身支度を終えている。

「ねー雷蔵。」

「なんだい兵助。」

雷蔵も着替え終えている。というか三郎と同じだ。

同じということは、三郎は優勝なんてねらってないようだ。

「あのさ、どの着物がいいのかわかんなくって・・・・!」

竹谷も化粧が終わっているというのに、兵助はまだ着物を選んでいた。

「兵助ぜんぜん着替えてないじゃんか?!」

女装に苦手意識があるだけに着替えも手間取っている兵助。

「さぶろー・・・、着物・・・。」

すがるように三郎の着物を引っ張る兵助。

「っ!・・しょーがない。兵助に似合う色かぁ〜・・・」

「僕は黄色かな?どう、これ?」

「や、水色とかどう?あ、白とかは!?」

「兵助に赤はなー。」

いろんな色の着物をだされるが、三人の意見は食い違い、兵助を困らせた。

「えーと・・・う〜ん・・・。」

「じゃあ、桃色は?兵助によく似合うんじゃないかな。」

雷蔵は淡い桃色の着物を兵助に差し出す。

「そーだな、桃がいいかも。」

「よし!着替えだ、兵助。」

「おう。」











「ど、どう?」

「可愛い〜!兵助かわいいよ。」

雷蔵は我が子のように嬉しそうだ。

「兵助の女装ってあんまり見たことないけど、やっぱり似合うな。」

竹谷の素直な意見にちょっぴり複雑な気分。

「いやー!兵助をみんなに見せるのが嫌すぎる!!」

「はいはい、駄々こねないでいくよ。」

「いやー!お母さん!兵助をつれていかないでぇ!」

「誰がお母さんだよ。」

「お父さんもいってやって!」

三郎は竹谷のほうをみる。

「俺がお父さんでー雷蔵がお母さんで、兵助が子供?三郎は?」

「俺は兵助の恋人!」

「「「なんで!!?」」」

「とにかく!兵助を人前にだしたくなーい。」

三郎が折れないため、雷蔵が兵助に耳打ちする。

「えー・・・。」

「サボったら課題がどっさりでるよ?」

「うー・・・・。」

兵助は顔を赤くすると、三郎のもとへ近づいた。

「・・・なんていったの?」

「見てればわかるよ。絶対三郎は落ちる。」

「落とすのか?」







「三郎。」

「兵助、俺はいやだかんな!」

「そこまでいやかな・・・?課題のがよっぽどいやだよ。」

「でもなー・・・。」

「三郎。」

「なに?」

「そんなにいやなら三郎がずっとそばにいればいいじゃん。な?」

「むむ〜〜!」

「・・・しょーがない!」

「へ?」



チュッ



「・・・いこ?」

「いく・・・。」







「雷蔵さん?あれ・・・。」

「ちゅーして悦にひたっているうちにつれてこいっていったんだよ。」

「あとが怖そうだけど、まぁ、課題の心配は消えたな!」

「これで一安心。さ、いこうか。」



5年生、なんとか参加。課題免除である。









六年生はすでに着替えおえて、広場にいた。

いつもの男ばかりでなく、全員女装しているため、なんとも妙な光景である。





「あ!あそこなんか面白いよ!」

小平太が指差すさきには髪結いこと編入生のタカ丸。

なにか叫んでいるようだ。



「土井先生!きり丸はもっと華やかな髪型のが似合いますって!」

「これくらい地味でいいんだ!遊郭じゃないんだぞ!」

どうやら土井先生と言い合いをしているようだ。

土井先生の後ろには女装のきり丸。

元がいいのと、慣れているのか完璧に女の子みたいだ。

「素材がいいのにもったいないー。」

「これ以上美人になったらこの子に変な虫がつく!」

「せんせー・・・変な虫って。」

「すでに目の前にいる。」

「タカ丸さん?」

「他にもいるぞ。上級生は気をつけろ。お前の尊敬する中在家・不破も狼さんだからな!」

「やだなー先生。俺男っすよぉ?」

無邪気なきり丸にがっくり方を落とす土井先生。

「お父さん!きり丸を嫁に・・・ぐは!」

「やらーん!!」

「だから、俺は男ですってばぁ!!」

全員が女装なので言葉だけならいいけれど、その光景は異様だ。







「ものすごい光景だな。」

「長次、いいのか参加してこなくて。」

「・・・・・。」

仙蔵がニヤニヤしながら言うと、長次は首をふった。

「え?もっと落ち着いたら話にいく?」

「わぁ、でもいくんだねー。」



「おーい。」

「あ、留じゃん。いさっくんは?」

「あー・・・。」

食満はなんだかいいにくそう。

「女装した小松田さんでもみて鼻血ふいたのか?」

「いや、それもあるけど、そうじゃなくて・・・。」

「あ!あれこまちゃんだよね!」





さすが小松田さんというべきか、可愛い。

色気はないが、美人だ。

「こまちゃん、似合うね!」

「僕よりもみんなのが似合うよ。さすが六年生だね。」

「ところで隣の人は誰です?」

仙蔵はわかっていながら聞く。

「いい性格だな、立花くん。」

「やだなー、一応聞いたんですよ。利吉さん。」

「伊作くんと食満くんとこっちにくる予定だったんだけど、たまたま利吉さんが

やってきたんだー。」

「女装がお嫌いそうにみえたのですがねぁ・・・。」

「君だけがおいしい思いするなんて嫌でねぇ、善法寺くん?」

「伊作くんと利吉さんは仲がいいんだねー。」



「こまちゃんは完全に間違えてる・・・。」

「そこがあの人の魅力のひとつだろ。」

「・・・・・・・・そうだな。」

「そういえば、向こうに1年は組がいたぞ。」

「ああ、きり丸の付近だよね?」

「そろそろ落ち着いたかもしれないし、長次、いってみたら?」

「(こくん)」

「じゃーみんなでいこう〜。」



こうして和気藹々とした空気が学園を取り巻いていったのである。







そして一年は組。

上級生たちとたのしく談話している。

割と、委員会にわかれているようにもみえる。

そんな中、乱太郎としんべエはお団子をたべながら周りの様子をみていた。

「やっぱり上級生は女装うまいね。」

「うん、みんな綺麗だよねー。」

「一年のエースはきり丸だね。」

「うん、土井先生大変だねー」

「すっかりお父さんしてるよね。あ、五年生だ。」

「多分鉢屋先輩だとおもうけど、威嚇してるねー?」

「なんでだろ?あは、久々知先輩可愛いー。」

「本当だ〜。五年のエースだね。」

「だね〜。」



「観察かい?」

「あ、庄左ヱ門。」

庄左ヱ門は乱太郎の隣に腰掛ける。

「見てみろよ、金吾。喜三太にメロメロ。」

「あはは!あいかわらずだよねー。」

「うんうん。」

「あいかわらずといえば、小松田さんもそうだよねー。」

「ああ、利吉さんと善法寺先輩ね。」

「2人とも黙ってればもてるのに〜。」

「ねー。」

「「「あははは!」」」





「あ、なんかやるみたいだよ!」

「いこー。」

「うん!」









― おわっとけ ―







― こめんと ―

お・・・オチなんかねぇぞ!!(汗)

女装がやりたかったわけなんですが・・・
なんかいろいろだしたいという欲がこんな話にしてしまった。

う〜ん。もっとラブラブにしちゃえばよかった。

 

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