☆五年@

□●みんなと自分
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『 みんなと自分 』




休み時間にあまりに天気がいいもんだからぼーっと外を眺めてた。

「いい天気だなぁー・・・。」

ぼへーっと空を眺めてる俺をクラスメイトは不思議そうにみている。



「あ、雷蔵と竹谷と・・・三郎。」



実習だったのか、ろ組の生徒はボロボロだった。

じゃれあっている三人をみてなんだかもやもやしてる俺がいる。



いつも4人でいるから?



俺だけあそこにいないから?



「ちぇー・・・。」



なんだか淋しい。



そんな淋しさをよそに竹谷はきっと綾部が掘ったであろう穴に落ちている。



「あは!なにやってんだか。」



穴に落ちた竹谷を大笑いしている三郎と心配そうに覗いている雷蔵。

竹谷は文句をいいながら穴から上がってきた。

三人の周りにろ組のクラスメートが集まって、さらに騒がしくなった。



ああ、楽しそう・・・。



いつも見れないクラスでの顔を三人ともしてる。



「・・・・。」



俺といるときもあんなに楽しそうにしてくれてるのかな?



てか、俺といてみんな楽しい?



雷蔵は優しいし頭もいい、竹谷は一途でいい奴。



三郎は頼れるし・・・



人が集まって当然だよな。



「あ・・・。」



三郎が雷蔵たち以外のやつとじゃれてる・・・



めずらしい・・・。



でも、なんか・・・・・・



「・・・・嫌だな・・。」



あー、見てられない。



俺はもやもやしながら三郎たちから視線をはずして空をみた。









「あ、みてみて!あれ兵助じゃない?」

「本当だー。」

「なんかぼーっとしてるね・・・。」

雷蔵と竹谷は窓から空を見上げている兵助をみつけた。

「・・・なんか」

「うん、なんだか兵助・・・・泣きそう?」

「なんでだろ?」

「う〜ん・・・」

雷蔵は三郎のほうをみる。



「さぶろーー。」



「おー?」



クラスメートとの話がおわったのか、三郎は雷蔵たちのところにやってきた。



「どうした。」

「あれ、兵助がねー。」

竹谷が指差す方向にはもう何もなかった。

「ありゃ・・。」

「??なんだ。兵助がなに!?」

「あーさっきまで兵助がいたんだけどねー。」

竹谷がそういうと三郎はものすごい形相で竹谷の胸倉をつかんだ。

「そーいうことはもっと早くいってくれなきゃ!!!」

「俺らだってさっき気づいたんだよ!」

「お前が知ってて私の知らない兵助がいるのが腹立たしい!」

「なんで俺だけに怒るの?!雷蔵も!!」

「あー・・・まぁ、あれだ。雷蔵はいいんだよ。」

「なんで。」

竹谷の言葉に三郎はチラッと雷蔵をみた。

「なに?三郎。」

「はは、なーーんも・・ないよ。」

「それよりも三郎、兵助のことなんだけど。」

「そうそう。」

竹谷は三郎の手をはらうと、うなづいた。

「なにか悩みがあるとかきいたことない?」

「悩み?」

「うん。」

「悩みがあったら絶対私じゃなくて雷蔵にいいそうなんだけど・・・。」

「だよねー。」

悪意のない竹谷の返事に三郎は頬をつまんだ。

「いひゃ!」

「あー、話が進まないからその辺にしてよ。」

「そうだぞ!兵助じゃなくって俺が泣きそうだよ。」

「え、兵助が・・泣きそう?」

「そうそう、なんだかぼーとして泣きそうに顔ゆがめてて・・・・三郎?」

「あっあれ?!瞬間移動!!?」

「たぶん兵助のとこだとおもうけど・・・。」



















そのころ兵助は教室でクラスメートと談話中。



「兵助。」

「うわ!?三郎!!?なんで?!」

「ちょっと失礼。」

「え・・ってうわうわーー!!」



鉢屋三郎、久々知兵助の拉致に成功。







三郎は兵助を今は誰もいない長屋の自分の部屋のつれてきた。

「さ、三郎?!なになに?どーいうこと!?」

「それはこっちのセリフ。」

「は?」

「雷蔵たちが兵助が泣きそうだったって。」

「うぁえ!?」

兵助は見られていたという事実に恥ずかしくなった。

「なんか悩みでもあんの?」

「いや、ない・・。」

「本当に?」

「うん。」

「じゃあなんで・・・。」

三郎がそう問うと、兵助はなんだかいいにくそうだった。

「言わないと・・・」

「っ!」

三郎は兵助の両頬に優しく手を添えて、額に口付ける。

「ほら、早く・・・」

今度は頬に。

「兵助。」

唇に。

「ん・・っは・・・。」

兵助は力が抜け、三郎にもたれかかる。

「・・・泣いちゃった理由は?」

「・・っは、泣いて・ねぇよ!」

「でも泣きそうになったんだろ?」


「う・・・。」

「なぁなぁー。」

「・・・ただ」

「うん?」

「たださ、もやもやしちゃって。」


「もやもや?」

いまいちよくわからない三郎に兵助は頷く。

「ろ組がうらやましいなーとか。」

「そうかぁ?」

「だって雷蔵も三郎も竹谷も・・・ろ組だもん。」

「(だもん・・って可愛いな。)・・・まぁ、たしかに。」

「あと、俺といてみんな楽しいのかな・・って。」

「少なくとも私は兵助といて楽しいよ。ほかのやつらだって一緒だって。」

「・・・ありがと、三郎。」

ちょっとテレながら微笑んだ兵助に三郎はドキッとする。

「泣きそうになった理由はそれだけ?」

テレながらも兵助は首をふる。

「?」

「えっと・・・三郎が・・」

「私?」

「他のやつらとじゃれてんのみて・・・なんか、いっ嫌だなって・・・・うー・・・。」

「へ・・?」

照れている兵助と予想外のことに戸惑う三郎さん。

「それってやきもち!?」

「いや・・なんていうか・・・・・・・そうかな?」

兵助は、恥ずかしさを隠すように三郎の胸に顔を当てる。

「うわー・・うわー!!」

三郎は嬉しそうに兵助を抱きしめる。

「なんかもうめっちゃくちゃ嬉しいんですけど!」

「・・・・嬉しいのか?」

「いや、嬉しいよ!!兵助が私のこと好きってことだもんな。」

「うっ・・・。」

「ヤキモチなんて大歓迎!私なんていっつも妬いてるぞ。」

「へ?」

「それこそ数えきれないくらいに。」

三郎は兵助に上を向かせると、すばやく口付ける。

「それくらい兵助が好きってこと。」

「・・・俺も三郎が好きだよ。」

「今日は素直だなv」

「・・・たまには。」

「毎日言ってくれたらもっと嬉しい。」

「それは無理!」

「えー・・・。」





「えー、じゃないよ。三郎。」

「お前ら授業さぼっていちゃつくなよ!」




「雷蔵!?竹谷!?」

「あー!授業!!」

三郎は2人の時間を邪魔されて不満そうだが、兵助は授業をサボったことのほうが重要だった。

「もう手遅れ。みんなでサボろう?」

「竹谷のいうとおり。それにもうお茶もいれちゃった。」

団子までも用意してある様子に兵助は苦笑するしかない。



「・・・俺、三郎も雷蔵も竹谷も大好きだな。」

「俺も兵助好きだぞー。」

「僕も好き。」

「私なんて愛してるぞ。」





次々に兵助にじゃれついていく。







お茶をのんで気のあう仲間と談笑する。









―――― 俺って・・









―――― 幸せものだな・・・。









―――― みんな本当に










―――― 大好きだよ。

















― end ―









― コメント ―



五年。(鉢久々)です。オチが・・・(泣)

久々知がみんなのこと大好きだっていうお話ですよ、はい。

久々知こそ愛されてるよ!みんなに。
幸せものだなーv

 

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