☆五年@
□●綺麗だ
1ページ/1ページ
孫兵の毒虫がまた逃げ出したって聞いて俺を含め、
生物委員はいつものように探索に駆り出された。
委員長がいるのかいないのかわからない生物委員だから
五年である自分がしっかりみんなの面倒をみなくてはならない。
まぁ、みんな弟みたいで楽しいけどな!
『 綺麗だ 』
「ん?・・・へぇー。」
毒虫探しに茂みをかき分けると、小さな花がさいていた。
俺の頭に浮かぶ一瞬の映像。
黒に・・・白。
俺はそれを土ごと掘り起こし毒虫のことなど忘れて、とある人物の元へ走った。
「あれ?はっちゃんだ。」
「なんかもってるぞ?」
「・・・花?」
・・・いた。
いつも三人一緒だからすぐ見つかる。
「兵助!」
「え?」
「手ぇ出せ。両手」
「?」
兵助は素直に両手をだした。
俺はさっき掘り起こした花をのせる。
「…へへ。」
「はっちゃん?」
「あ。これはオマケ。」
俺があまりに早く走ったため、一本折れてしまった花を兵助の髪に飾る。
「うん、やっぱり似合う。思った通り、綺麗だ。」
兵助の黒い髪に俺の白い花がよく映えている。
一目みて、これは兵助に似合うと思った。
黒と白。
予想以上にそれは似合って・・・綺麗だった。
「・・・花、サンキュー。」
兵助は笑ってくれた。
頬が赤くなっているけど・・・風邪か?
「おう。残りはどっかに植えなおすか!」
「そうだな。」
なんかさっきから三郎から痛い視線が送られてきてるような気がするけど、まぁ、気にしないでおこう。
兵助が嬉しそうだから、俺もなんか嬉しい!
「ところで、委員会おわったの?」
あ。
忘れてた。
「そーだった!兵助と花で頭一杯だったからすっげー忘れてた!」
「・・・。」
「今からいってくる!兵助、花は後でな!」
「うん、わかった。」
笑顔の兵助に見送られ俺は毒虫のいる茂みへ再び入っていったのであった。
「雷蔵、三郎、この花綺麗だね。」
「うん、たしかに兵助によく似合うよ」
「・・・なんかめちゃくちゃ悔しい!しかもあいつ絶対天然タラシだよ。」
「たしかに恥ずかしかったけど、嬉しかったな。」
「・・・私もなんか送ろうかな・・・。」
「僕も。」
「花どうしよ。」
「取り敢えずはっちゃんがもどるまで適当なとこに埋めておこっか。」
「そうだな。」
兵助は適当な鉢にそれを植え、部屋の机に置いておいた。
それは一週間ももたなかったけれど
その花は竹谷が見つけたあの場所で新しい花を咲かせていた。
「あの花がなくても兵助は十分綺麗だよ。」
「うわっ!いきなり恥ずかしいこというなよ!」
「俺はおもったことをそのまま言っただけだ!」
「・・・はっちゃんはやっぱり天然たらしだね。」
「ストレートほど恥ずかしいものはないからな。」
「兵助もある意味そうだけどね。」
「・・・・・・・。」
「「天然。」」