☆五年A

□●馬鹿な男だ
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つくづく自分は馬鹿だと思った。







勘違いして







傷つけて







結局、今必死になっている。









兵助・・・・・。













『 馬鹿な男だ 』















「・・・・俺、三郎が好きなんだ。」









周りに誰もいないところで、兵助が言った。

待ち望んだはずの言葉なのに、自分の口からでた言葉はあまりにも正反対。

「・・・・悪い。」

「そっか・・・。」

「へいす・・・・」

「あぁ、いいんだ。俺の一方的な気持ちだし!」

泣きそうな表情。

必死で笑っている兵助。

「だから・・・いいんだ。」



抱きしめたい、と思った。

その気持ちを抑えるかのように三郎はぎゅっと拳をつくる。

「そんな早くにはふっきれないけど、しばらくしたらまた友達だからな。」

「・・・・・。」

「と、友達・・・も・・・だめ、か・・・。」

「いや・・・・友達だ。」

「よかった・・・・。」

「・・・・。」

「じゃあ・・・俺、いくわ。」

「おう・・・。」

「また・・・明日な!」

「・・・・。」

手をふる兵助に手を振り返す三郎。

そのまま三郎はしばらくその場を動かなかった。













「・・・・・・・。」

「・・・兵助?」

兵助が長屋の廊下をゆっくり歩いていると、後ろから聞きなれた声がした。

正直、今は誰にも会いたくなどなかったのに。

「・・・・はっちゃん。」

「・・・・。」

「・・・・・。」

「・・・・ひどい顔。」

「そう?」

「なんかあったのか?」

「いや・・・。」

竹谷は兵助の両頬をむにっとつかむ。

「ひゃっひゃん・・・・!」

「ははは。」

竹谷はすぐ離す。

「いたた・・・。」

「・・・そんなに痛かったか?」

ぼろぼろ涙を流す兵助。

頬のせいではないことくらい竹谷にもわかっている。

「・・・・・痛い・・・。」

「そうか。」

「痛い・・・・・・んだ・・・っ。」

「・・・・・。」

竹谷はそっと兵助を抱きしめてやる。




「・・・・・・・最初から望みなんてないのはわかってたのに・・・っ。」

その言葉にあやすように背中をたたいていた竹谷の手が止まった。

「・・・・・・・。」

「・・・・・っ・・・・・ぅ・・・ふ・・・。」

大声をだすわけでもなくただ泣く兵助。

「・・・・俺じゃ・・・だめなんだろうな・・・・。」

「・・・え?」

「なんでもない。・・・ほら、これで鼻かめ。顔がぐちゃぐちゃだぞー。」

「ん。」

「ほーんと、ひでぇ顔だな!」

「わるかったな!」

「・・・・・・・・ほんと、ひでぇな。」

「はっちゃん?」

「んー。ちょっと元気でたみたいだな。」

「・・・はは。」

「一人で部屋までいけるか?」

「ば、馬鹿にすんな!」

「よし、それだけ元気あれば大丈夫だな。」

「・・・・。」

「あとでうまいものもってってやるから。」

「おう。」

「じゃあな。またあとで。」

「うん。」



「・・・・・・・・あの野郎・・っ。」

竹谷は兵助の姿を見送ると、すぐさま走り出した。

いらいらが募る。

こんなに怒りが込み上げたのは久しぶりだ。



















三郎は雷蔵に声をかけられるまでその場に立っていた。

「三郎、ずっとここにいたの?」

「ん、まぁな。」

「変なの。」

「そこは鉢屋三郎ってことで。」

「なにそれ。」





「あ、はっちゃんだ。」

「なんかもの凄く機嫌悪くないか、あいつ。」

「うん。」





「三郎!!」

「へ?」



ガッ!!!



「・・・ぐっ・・・あ・・・っ!」

「はっちゃん!?」

竹谷が思いっきり三郎の腹に蹴りをいれた。

「はぁ・・・はぁ・・・・。」



「な・・・・っ・・・。」

倒れる三郎の上に跨り、襟をぐっと掴む。

「お前、兵助を泣かすな!!」

「八・・・・・お前・・・。」

「ふざけんな・・・っ!!」

竹谷の言葉に顔を歪ませる三郎。

「ちょ、ちょっと!2人とも・・・!」

雷蔵はなにがなんだかわからない。

「こいつ・・・兵助のこと振ったんだ。」

「え?」

「自分も好きなくせに!!」

「・・・兵助、泣いたって?」

「泣かないとでも、思ったのかよ!!」

「三郎・・・・。」

「私は・・・。」

「僕らも兵助が好きだから?譲った?」

「・・・・。」

「それとも怖かった?」

「・・・雷蔵・・・。」

「そんな友情、僕らがほしいなんて言った?」

「勘違いすんなよな。」

「「その優しさが、苛つくんだよ!!」」

「・・・・・雷蔵・・八・・・・っ。」

竹谷はゆっくり三郎から退く。

「・・・・好きなんだろ?知ってるぞ。」

「いい、んだな?」

そういう三郎の腹に雷蔵も一発いれる。

「・・・・っあぐ!!!」

「・・・・馬鹿な男だよ、三郎は。」

「・・・・・。」

「どうするんだ、三郎。」

「・・・・・は、はははは・・・・。」

「・・・・・。」

「馬鹿だなぁ・・・・本当に。なんで・・・あんなこと言えたんだろ。」

「好きなんだろ?」

「・・・ああ、好きだ・・・・好き、だなぁ。」

「僕らが兵助を奪ってもいい?」

「だめ。」

「そう。」

「・・・もう、馬鹿なことしないでくれよ?」

「ああ・・・。」

三郎はふらつきながら立ち上がる。

「・・・・兵助のとこ、いかなくちゃ・・・・。」

「兵助は自室だよ。」

「ん。」

「「でもその前に。」」

「え?」

両肩をつかまれる三郎。

「僕まだ怒ってるんだ。」

「俺も。泣いてる兵助に手も出さず、三郎のために動いた俺偉いよなー。」

「それは兵助のためだよね?はっちゃん。」

「もちろん。」

「え、ちょ、お前らっ!」

「一発で足りるとおもった?」

「幸せの痛みだと思え!」

「わーーーっ!!!」



バキッ!!

ドカッ!!

・・・・・

















「・・・・はっちゃん、おそいなー。」

兵助は立ち上がり、竹谷のいるであろう食堂へと歩き出した。




「・・・・・あ。」

「・・・・・よ、よぉ。」

廊下に一歩でたところで一番会いたくない三郎にあってしまった。

しかし・・・

「だ、大丈夫か!!?」

痣だらけの三郎をみてびっくりした。

一体なにがあったのだろう。

「ほ、保健室に・・・!」

「や、いいんだ。」

「でもお前・・・。」

「兵助・・・。」

三郎の手が兵助の頬に触れる。

「・・・・っ。」

「・・・・。」

「さ、三郎・・・?」

「・・・・・。」

「・・・・。」

「・・・なぁ。」

「・・・?」

「好きだ・・・って言ったら、どうする?」

「え・・・?」

「俺が、兵助を。」

「じょ、冗談言うなよ・・・。」

「冗談なんかじゃない。」

「・・・・・・・っ。」

「好きだ、兵助。」

兵助は三郎の手を払う。

「・・・・信じられるか!!」

「・・・・・・・っ。」

「も・・・やめてく・・・・・・・っん・・・っ!!」

三郎は兵助を部屋の中へ押し込み、強引に口付ける三郎。




「・・・・私は馬鹿だった。馬鹿でどうしようもなくて、いろんなやつ傷つけた。」

「・・・・。」

「なにが最善とかなにが周りのためとか勘違いして、一番大事なもの傷つけた。」

「さぶろ・・・?」

「兵助・・・・愛してるんだ。」

「・・・・。」

「傷つけて・・・ごめん。」

「さ・・・ぶろ・・・。」

「兵助、まだ私のことがすきか?」

「・・・・・そんなに早く忘れられないよ。」

「こんな私でいい?」

「・・・うん。だってそんな三郎がすきなんだから・・・。」

「ありがとう。」

「・・・・・・っ。」

「・・・ああ、泣くなよ。」

「うるさい・・・・っ今は涙腺が弱いんだ・・・っ。」

「・・・・はは。私のせいだよな。」

「他に誰が俺を泣かせることができるんだよ・・・・!」

「いないねぇ〜。」

三郎は嬉しそうに兵助の涙を拭う。





「・・・う・・・っ。」

突然三郎がその場に跪く。

「三郎!?」

「いってぇ・・・・・っ。」

三郎は上着を脱ぐ。

「うわぉ・・・・。」

「な、なにこれ。すごい痣・・・・。」

「手加減なしだったもんなー。」

「誰にやられたんだ?」

「雷蔵と八。」

「なんで?」

「愛と友情の戦いで得た勲章さ。」

「はぁ??」

「顔も酷いけど・・・集中的に腹ばっかやられたもんなー・・・・はは。」

「喧嘩じゃないんだろ?」

「おう。」

「ふーん?」

「とにかく保健室いくわ。」

「それがいいと思う。」

「もちろん付き添ってくれるだろ?」

「嫌。」

「え。」

「・・・なんてね。」

「・・・。」

「ほら、肩に腕を・・・・っ。」

三郎は兵助にすばやく口づける。

「・・・・んじゃ、肩かりるぞ。」

「・・・・。」

「・・・・・。」

「い、いくぞ。」

照れている兵助を見て三郎は幸せそうに笑う。







「困ったな・・・。」

「?」











「とんでもなくお前がすきだわ。」















どうやら私は本当に馬鹿だったようだ。


















そうさ、私は『兵助』馬鹿。















うん、半分冗談。



















― おわり ―















― コメント ―









中途半端!!!(笑)

あーあ、三郎情けない・・・!!!

でもものすごく楽しかった・・・・vv

こういうのもいいね。


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