☆過去拍手

□○拍手B
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おんにゃのこ兵助な拍手。




― 鉢くく ―





「へーすけー、いるかー?」



ガラッ



「わ!馬鹿!!あけんな!!」

三郎が障子をあけると兵助が胸にさらしをまいているところだった。

「いい眺め〜vv」

「あほ!早く障子をしめろよ!!」

「はいはい。」

兵助は腕で胸を隠している。

「昼間に巻き直すの珍しいな。」

「今日はちょっと緩かったみたいなんだ。」

「ふーん。」

「・・・・・三郎。」

「んー?」

「用事なら後できくからちょっとだけ外でててよ・・・。」

「なんで?」

「なんでって・・・・。」

ニヤニヤしている三郎。

「・・・・わかるだろ?」

「うん。」

「なら・・・・。」

「でも今更・・・だろ?」

「・・・恥ずかしいものは恥ずかしいの!」

「俺が巻いてやるよ。」

「やだ!」

「遠慮しない遠慮しないv」

三郎は兵助に近寄り、胸にある腕をつかむ。

巻いてる途中の包帯が緩む。

「ちょっと・・・・。」

「兵助見た目より胸あるもんな。」

「・・・・・用事、あったんだろ?」

「用事はあとでいーよ。」

首筋に唇を落とす三郎。

「・・・・っ!」

兵助は手を振り解こうとするががっちりつかまれて離れない。

「だめ、だって・・・・三郎。」

「・・・いいじゃん。」

「これから委員会なの・・・!」

「えー・・・。」

「後で・・・じゃ、だめ?」

「・・・いいよ。」

「・・・・・・。」

「そのかわり、覚悟しとけよ。」

「・・・・・。」

三郎が兵助の腕を放す。

「さらし、巻いてやるよ。」

「いいのに・・・。」

「まく。」

「・・・わかった。」

三郎はさらしを丁寧に巻いていく。

「きつくない?」

「うん、丁度いい感じ。」

「もったいないなー・・・。」

「なにが?」

「胸。」

「あほ。」

「でもさー・・・。」

「胸つぶさなきゃ女ってことがばれるだろう。」

「先生と俺と雷蔵と八しかしらないからな・・・。」

「本当は三郎たちにばれた時点で実家に帰らないといけなかったんだけどなー。」

「家族にばれなきゃいいんだよ。」

「・・・ごめんね・・・巻き込んで。」

「巻き込んでくれなかったら、この関係はなかったよ。」

「・・・・でも・・・。」

「だから巻き込んでくれて有難う。・・・後悔させない。」

「三郎・・・。」

さらしを巻き終え、きゅっと締める。

「このまま卒業して、在るがままで忍びの仕事まっとうしてさ、2年くらいしたら・・・。」

「?」

兵助が三郎に向き直る。

それを軽く抱きしめる三郎。

「・・・私と結婚する。」

「・・・・・。」

「してください。」

「・・・・うん・・・・!」

「予約、したぞ。」

「予約、されました。」

「私の子、産んでね。」

「三郎似の子ができたらどうする?」

「変装させる。」

「やっぱり。」

「俺としては兵助似の女の子がほしいんだけど。」

「保障はできないなー。」

「ま、どっちにしろ子供は大事にするよ。私と兵助の子なんだからさ。」

「ありがと・・・。」

三郎は抱きしめていた腕をとく。

「・・・委員会なるべく早く戻ってきてくれよ?今も我慢してるんだから。」

「はは、努力するよ。」

兵助は服をきる。

「途中まで一緒にいこう。」

「・・・うん。」



「兵助。」

「なに?」

「んーん、なんでもない。」

「なにそれ。」

「今は今で幸せだっておもって。」

「・・・・三郎、幸せ?」

「雷蔵や八がいて、兵助がいる。幸せだろ?」

「俺も、そうだよ。」

「未来の花嫁も見つかったし。」

「・・・・うん。」



「「・・・幸せ、だ。」」





今も未来も







幸せでありますように。







「さ、お手をどうぞ、私の花嫁。」







握ったその手を離しはしない。







今も、未来も。












― 雷くく ―






「兵助、ちょっと町へいかない?」

珍しく三郎も委員会で留守でいない、兵助は雷蔵と2人だった。

竹谷も学園長のお使いでいない。

「いいよ、丁度暇だったし。」

「じゃあ、着替えたらここにきてね。」

雷蔵はなにか地図がかかれた紙を兵助に渡す。

「じゃ、まってるから!」

なにやら雷蔵はうきうきと先に出かけてしまった。

「??なんだろ。」







「ここかな?」

兵助が地図通りにきてみると、廃寺があった。

「雷蔵―?」

「あ、中だよー。」

兵助が中に入る。

「雷蔵、町にいくんだよな?」

「いくよ。」

「なんで廃寺?」

「こーれっ!」

雷蔵が兵助の目の前に差し出したのは女物の着物や髪飾り。

「な、なにこれ!?」

「これ着て町にいこ。」

「は?!」

「デート。」

「デートって・・・・!でも俺・・・・。」

「“男”・・・じゃないでしょ?」

「・・・。」

「兵助は女の子だよ。」

「でも・・・。」

「家の事情も知ってるよ?でも僕は一度でいいから”女の子”の兵助と

一緒に歩いてみたかったんだ。」

「雷蔵・・・。」

「・・・たまにくの一の女の子を切なそうに見てたのも知ってたし。」

「!」

「僕といるときは女の子らしくしてていいんだよ?

僕は兵助の恋人でしょ?・・・・甘えてくれなきゃ困るよ。」

「雷蔵・・・。」

「ね、きてくれない?」

「着る・・・・ありがと、雷蔵・・・。」

「着替えたらよんでね。外にいるから。」

「うん。」

雷蔵がでていくと、兵助は着物をぎゅっと抱きしめた。





綺麗な着物。





着てみたかった。





自分の憧れが目の前にあった。





「・・・・雷蔵ぉ・・・・っ。」





ありがとう・・・・





大好き・・・・。











「雷蔵、できたよ。」

「・・・じゃ、最後の仕上げ。」

雷蔵が取り出したのは化粧道具。

「僕が仕上げてあげる。」

「いいよ、自分でする・・・・!」

「今日は兵助をもっと僕の好みにしたいんだv」

「はぁ?」

「僕が兵助を綺麗にしたい。」

「雷蔵・・・。」

兵助は雷蔵にされるがままに化粧をされた。

時々目をうっすら開けると、真剣な顔の雷蔵がいて胸が高鳴った。

「できた。」

「ありがと。」

「さ、でかけよう!」

「雷蔵・・・。」

「なに?」

「ありがと・・・。」

「いいんだよ、僕がやりたかったんだ。」

「本当に嬉しいんだ。」

「うん。」

「雷蔵の隣を、この格好で堂々・・・は無理だけど歩けることがすごく嬉しい。」

「兵助・・・。」

「俺、雷蔵が好きでよかった・・・。」

「僕も兵助が好きだよ、誰にも渡さない。今日はありのままの兵助を独り占めするんだ。」

「・・・うん。」

「さ!時間がないよ!せっかくのデートなんだから、楽しもうね。」

「手・・・つないでいい?」

「どうぞ。」



雷蔵が差し出す手を兵助が握る。





「ね、どこへいこうか?我が姫君。」

「どこでもいいよ。」







あなたと一緒で











この手が離れないのなら・・・

















― 竹くく ―







「ん・・・・。」

兵助が目を開けると天井がみえた。

「ここは・・・。」

「兵助の部屋。」

「・・・・・へ?」

軽く横をみると竹谷が座り込んでいた。

「はっちゃん?」

「ん?」

「ここ、どこ?」

「だから兵助の部屋だって。」

「なんで?」

「兵助、貧血で倒れたんだ。」

「貧血・・・・・。」



ああ、たしか今日は・・・・





「・・・・そっか・・・。」

「女の子って大変だよな。」

「え・・・。」

「あ、一応薬もらってるぞ。」

「は、はっちゃん、俺がなんで倒れたのか知って・・・・っ!?」

「は?あれだろ?せ・・・「わー!!」」

「?」

「言わなくていい!!」

「あ、そう?」

兵助は布団を頭までかぶる。

「どうしたんだよ?」

「なんでもない・・・。」



ちょっと・・・いや、大分恥ずかしいのだ。



「体しんどくないか?」

「・・・今回は大丈夫。」

「今回は?」

「いつもはもっとひどいんだ。いつも薬もらってたし・・・

だから今回もだしてくれたのかも・・・。」

「へー。」

「ところで、なんではっちゃんがいるんだ?」

「いまさらなこと聞くな。お前が倒れるちょうどその時に通りかかったんだ。」

「・・・運んでくれた?」

「もちろん。」

「・・・・重く、なかった?」

「ないよ。むしろぷにぷにでもっと触ってたかったくらい。」

「ぷにぷに・・・・。」

「ん?」

「痩せようかな・・・。」

「なんで!?それ以上やせたら骨だぞ!?」

「だって・・・。」

「いまのままでいいの!!」

「そ、そう?」

「おう!今が最高。」

「・・・。」

「ところで兵助。」

「・・・?」

竹谷の手が兵助の頬にのびる。

「あんま無茶すんなよ?」

「・・・うん。」

「男のふりしたって兵助は女だ。体力差は必ずでてくるんだから・・・。」

「わかってるけど・・・。」

「無理しなきゃいけないことはわかってるけど、せめて体調の悪いときくらいは

おとなしくしとけよ。」

「・・・・・心配した?」

「した。」

「・・・ごめん。」

「いいよ。でも二度目がないといいな。」

「気をつける。」

「けっこう焦ったんだからなー。」

「はっちゃんが?」

「おう。」

「・・・ちょっとみてみたかったな。」

「だめー。兵助には「頼れる男」をみせたいんだ!」

「なにそれ(笑)」

「男はみんな好きな子にカッコイイとこみせたいんだよ。」

「好きな・・・。」

「恋人なんだから、当然兵助のことだぞ?」

「他の子だったら・・・泣く。」

「絶対ない!!」

「うん。」

竹谷は寝ている兵助の頭をなでる。

「気持ちいい・・・。」

「誘ってる?」

「・・・・誘ってません。」

「はは、俺が弱っている女の子になにかする男にみえる?」

「・・・・どうかな。」

「・・・今日は、これだけ。」

竹谷は兵助に軽く口づける。

「・・・今日はゆっくり休めよ。」

「うん・・・ちょっと・・・眠いかも・・・。」

「兵助が寝るまでここにいるよ。」

「・・・・。」

「・・・起きて一番に俺の名前を呼んでくれたら、すぐに駆けつけるよ。」

「本当に?授業中でも?」

「あー・・・。」

「はは、冗談だよ。・・・でも気持ちは嬉しいよ。」

「・・・・兵助。」

「お休み・・・今ならいい夢みれそう。」

兵助はゆっくり目を閉じた。

「お休み・・・、好きだぞ、兵助。」

「は・・・ちゃ・・・・。」

兵助は寝てしまった。

「安心しすぎ・・・。」

竹谷はかすかに微笑みながら兵助の額にキスをする。





「願わくば、夢でも俺を想ってくれますように。」









願わくば、ずっと








君の隣に自分がいますように。


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