☆長A

□○はちみつが苦いA
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この気持ちの裏側はまだ秘密







あいつは兵助が嫌いでも







俺は大好きだから


















『 はちみつが苦いA 勘右衛門→久々知・三郎 』



















久々知兵助とは友達で、もちろんその友達の竹谷や不破とも友達だ。

三郎とは不破を通して知り合った。

会えばたわいもない話もする。

冗談交えた会話はおもしろく、勉強もきっと俺よりできる男だ。

でも俺はずっと気づいていた。

三郎は決して自分から兵助には話しかけないということに。

兵助は兵助で必要なこと以外は三郎と話をすることはなかった。

でもこの2人の間には不破や竹谷や俺が必ずいたし、

それを不快になんてかんじていなかったからあまり気にしないようにしてた。

「よ、勘右衛門。なにつったってるんだ?」

「よぉ、鉢屋。いやちょっと考え事をな。」

思えばこうやって2人で話すのははじめてかもしれない。

彼はいつも不破といたし、俺も兵助といた。

「珍しいな、雷蔵と一緒じゃないなんて。」

「・・・・そういうときもあるさ。」

「ところで兵助みなかった?」

俺がそういうと三郎は自分では気づいてないと思うけど眉間に皺をよせた。

「さぁな。」

「・・・・・あ、そ。」

「そーいえば勘右衛門もよく久々知といるな。仲良しでなにより。」

「ん、ああ。仲良しだぞ!兵助大好きだし、俺。」

「・・・・ふーん。」

「鉢屋ってさ、もしかして兵助のこと苦手なの?」

俺がそういうと三郎は一瞬目を見開いたけどすぐにいつもの雷蔵を真似た表情をつくった。

「苦手・・・・ああ、ちょっと違うな。」

「?」

「正直私は久々知が・・・・・嫌いだよ。」

その言葉はなんとなく予想できてた。

三郎が兵助のこと嫌いなのなんとなくわかってたから。

でも・・・・俺は、それとは別のなにかもかんじていた。

「・・・・・兵助はいい奴だよ。」

「おどろかないんだな。・・・いい奴だから好きになるなんてことはありえないぞ?

むしろ、いい奴だと思うから嫌いなのかもしれない。」

「・・・。」

「成績優秀で、文武両道、人柄もいい、お綺麗な顔にいい友人、いい仲間。」

三郎は冗談めかして話し出す。

「すごくないか?世の中こんなになんでもできる奴がいたなんて。」

「・・・・兵助は・・・・」

「みんなの憧れの君、久々知兵助くーん!私も彼のようになりたーい。」

そう笑っていう三郎だが、目が全然わらってない。

「・・・・ふ、ざけんな!!兵助は・・・・っ!」

「努力してるからそうなれたって?」

「・・・っ。」

「なんもしらないくせに、とかいっちゃうの勘右衛門は。はは、友情ごっこのはじまりか。」

「この野郎・・・っ!」

「・・・・いいじゃん、友情ごっこ。せいぜいそうやってあいつのこと甘やかせばいいんだ勘右衛門は。

だって久々知が大好きなんだろう?」

嫌な笑顔の三郎にイライラが募る。

「・・・・私が久々知のどこが嫌いなのか教えてやろうか。」

「え?」

「笑ったとこだよ。」

「・・・・。」

「あぁ、でも・・・・・・・いや、なんでもない。」

「・・・・?」

「さて、んじゃ私は雷蔵んとこいくから。・・・・またな。」

三郎はそういうと手をひらひらさせながら歩いていった。



「あ、そうそう勘右衛門。」

「?」

「久々知なら・・・・・・・多分校舎裏あたりにいるかもね。」

「なんで・・・・・。」

「じゃ。」

俺はそのまましばらくその場を動けなかった。

三郎のことがますますわからなくなった。

いや、そもそも俺は三郎のことなどたいして知りはしない。

知ろうともしていなかった。

兵助のことみたいに三郎のことなんてみたことがない。



三郎が兵助のことを悪くいって俺が怒ったのは兵助のことをよくしっていているからだ。

あいつがどんな奴か、どんなに努力してるかしってるからだ。

でも三郎も兵助のことをある程度わかった上で言っている。

一体なにが気に入らないんだ。

知っているなら嫌えるわけがないのに。

それに笑った顔ってなんだよ。

そもそも兵助はお前に微笑んだことなんて・・・・・・・・

ない・・・・・?

「え・・・・・・・?」



なんだ

なんだ、これ

兵助は兵助で三郎が?

いや、そんなことはないだろう

だって・・・・・・・

一度だけ兵助が三郎を褒めているのをきいたんだ。

内容は忘れたけど、その声色は絶対嫌ってなんかいないと思わせる声色だった。

ああ、なんだか頭がぐちゃぐちゃだ・・・・

とりあえず俺の中のまとめとしてひとつだけわかったことがある。









俺は三郎がすこし苦手になった。









「へーすけー?どこだー?」

三郎にいわれたとおり校舎裏あたりにきてみた。

でもまわりをみても誰もいない。

「へーすけー?」

「・・・・・・・・観ちゃん?」

「あれ、どこ?」

「上だよ。」

ガサッという音とともに兵助が木の上から降りてきた。

「探したぞ、兵助。」

「ごめん、ちょっと野暮用で。」

「こんなとこに野暮用ねぇ?」

「あはは。」

そう笑う兵助の表情は若干固い。

「・・・なんかあった?」

「なんにも?」

「そ?」

「うん。」

「そうそう、さっきさ食堂のおばちゃんにお饅頭もらったんだ!部屋でたべよ!」

「おばちゃんからなら期待大だな。」

「はやくいこ!」

「はは、まってよ、勘ちゃん!」

なにかあったのかもしれないけど、でも俺は兵助の笑顔が曇るのがいやでなにもいわなかった。

笑っててほしいんだ。

だって友達だもん。親友だもん。

悲しいのって俺嫌いなんだ。

俺は三郎とは逆で、兵助の悲しい顔は嫌いなんだ。

傍にいてあげるから、俺が笑わせてあげるから・・・・・

俺が君の甘えどころになってあげたい。

いつも自分に厳しい君に少しでも安らぎを。



大好きだよ、兵助。







いっそ、友情の殻から抜け出せればいいのにね













でも殻が固くて













未だに俺は殻の中
























― つづく ―











― コメント ―



短くですいません。

勘ちゃん視点。

勘ちゃんは三郎のことは普通に友達です。

普通に話すぶんにはいいんだけどたまに苦手。

心のつかみ所がないのかあるのか真意がいまいちわからない感じが嫌?なのかも。

でも普通の関係です。

兵助のことは好き。今は友情。実は恋心でもあるけど踏み出せない。



最初この連載考えたときは勘右衛門は久々知のこと嫌い設定でした;

予定通りいかないもんですね^^


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