☆長

□○鉢屋くんの恋E
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三郎は一人、コンビニに向かっていた。

「ん?・・・あ。」





『鉢屋くんの恋6話』









「祭り?」

「うん。」

「わー、すっかり忘れたね。」

「高校にあがってから行ってないなー。」

「じゃあ、今度4人でいこうよ。」

「4人というのはいつもの4人だよな?」

「他に誰か誘いたいなら言ってね。」

「いーえ、いつもの4人で完璧ですとも!」

「三郎はただ兵助に会いたいだけだもんね。」

「夏休みももうすぐ終わりなんだ、少しくらい夏の思い出ほしいんだよ!」

「じゃ、連絡しよー。」

「おう。」



〜〜〜♪



「あ、俺だ。」





『久々知兵助』





「はい!もしもし!!」

『わっ、びっくりした・・・!』

「あ、悪い。」

『あー、うん、いきなり電話したから驚いた?』

「驚いた。」

『・・・あのさ。』

「うん?」

『今度、祭りあるのしってる?』

「ああ、さっき雷蔵とその話しててさー。」

『!・・・あ、あのさ、それもう誰かといく約束しちゃってるとか・・・?』

「いや?兵助ら誘っていこうかなーって話してた。」

『え・・・。』

「あ、もしかして都合悪いのか?」

『そうじゃなくて・・・実は俺も4人でいけないかなーって・・・。』

「つまり・・・・」

『いかない?祭り。』

「もちろんオッケー!!」

『じゃあ、はっちゃんには連絡しとくから。』

「おう、詳しくはあとでメールでも送るわ。」

『うん。じゃあ、きるね。』

「おう、またな。」

『またね。』







「兵助?」

「おう。」

「祭りのこと?」

「うん。4人でいかないかって。」

「タイミングいいね!・・・それにしても・・・・よかったね、三郎。」

にこにこしている雷蔵。

「なにが?」

「兵助からの電話。はじめてだったんでしょ?」

「驚きでまだどきどきしてるよ。」

「僕じゃなくて三郎にかけてきたのがポイントだよね。
いつの間にそんなに仲良くなったの〜?」

「た、たまたまだろ。」

「たまたまねぇ〜?」

「〜〜〜雷蔵!」

「あはは、ごめんごめん。」

「全く!いっつも雷蔵は兵助のことで・・からかうん・・・だから・・・・・?」

「・・・・・・・・??」

「いや、いつもはしてないよな。・・・・たまに・・・・だよな?」

「・・・・うん・・・。」

「くっそ・・・っ!」

「・・・最近おかしいよね。」

「俺の中に違う奴がいるみたいで気持ち悪い!!・・・こんなの幻覚だ。」

「だと、いいね・・・。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・さてと、宿題・・しよっか?」

「おう・・・。」















祭り当日。



「おーい!三郎、雷蔵!!」



「あ、はっちゃんだ。」

「なんだ、八は浴衣じゃねーのか。」

「それがさー、いざ玄関から出ようってときにうちの犬がとびかかってきて

よだれでベシャベシャにされたんだよ。」

「あらら。」

「ま、思う存分遊べるからいいんだけどな!」

「はっちゃんらしいね。」

「そういうお前らだって甚平かよ。」

「三郎だけね。」

「俺は母さんから逃げられなかっただけだ!!(涙)」

「ものすごく怖かったんだよー。」

「雷蔵は俺を餌に逃げたんだぞ・・・・。」

「雷蔵・・・。」

「いーじゃない、似合うんだから。」

「よ、三郎。男前だな!」

「褒めたってなんもでないからな!」

「・・・ところで兵助は?」

「ああ、もうすぐくるとおもうけど。」



「おーい。」



「ほらな。」



「・・・・・。」

「三郎が放心している。」

「三郎、兵助が不振がるよー。」

「はっ!」





「遅くなった!」

「みんなもさっききたとこだから大丈夫だよ。」

「そっか。」

「浴衣かわいいね、ね?三郎。」

「お、おう。か・・かわ・・・・・・、・・・似合うよ。」

「そ、そっか?」

本当は素直にかわいいと言えればいいのだが、いえない自分が情けなくなった三郎。

「・・・へたれか。」

ぼそっと雷蔵に呟かれた言葉は胸に深くささった。

「じゃ、いこうぜ!人ごみすごいから気をつけないとなー。」

「うん。」

そういうと、祭りでにぎやかな中へと歩く4人。

「お腹すいてるんだ、何か食べたい。」

「僕もー。」

「あ、あそこでたこ焼きうってるぞー。」

「やきそばとかもあるね?どうしようか。」

「全部かえばいいじゃん!」

「そうだね、みんなで食べようか。」

どんどん先にいく竹谷と雷蔵。

「ちょ、お前らまてって!」

「わっ!」

「兵助!」

人にぶつかりこけそうになる兵助。

「大丈夫か?」

「なんとか。」

「まったく、いくらすぐそこの屋台だからっておいてくなよなーあいつら。」

「あ、もう買ってる・・・。」

「いそぐか。」

「うん。」

「・・・・・ほれ。」

「なに?」

「さっきみたいにこけたりしてると迷子になるだろ。」

三郎は恥ずかしそうに手を差し出している。

「・・・いや、でも・・・。」

「俺が前を歩くから、後ろから歩けば大丈夫。」

「・・・ごめん、ありがと。」

「なんのなんの。」

兵助が手を握り返す。

「・・・・いくか。」

「・・・うん。」





三郎は兵助にあわせてゆっくり歩く。

通りやすいように人ごみの中を歩いていった。



「・・・・。」



なんか、歩きやすい・・・。

三郎ってこういうことになれてんのかな?



・・・・・・ふーん。







「兵助、大丈夫か?」

「・・・・うん。」

「?どうしたんだ?」

「な、なんでもない・・・。」

「人ごみで疲れたのならちょっと道はずれるか?」

「大丈夫だって!ほら、雷蔵たちもまってるし!!」

「わ、おい!兵助!?」

兵助は三郎をぐいぐいひっぱる。

「・・・・・。」



このもやもやはきっと人ごみのせいなんだ・・・。











「あ、やっときた!」

「置いていくなよ!」

「ごめんごめん、ほら、たこ焼き。僕らのおごりで許してよ。」

「う、うん。」

「兵助?」

「ん?」

「どうしたの?疲れた?」

「ううん。大丈夫。」

「三郎なんかしたの〜?」

「なんもしてない!」


「本当になんでもないんだよ、雷蔵。」

「そう?」

「うん。」

「あ、リンゴ飴!!」

「あ、はっちゃん!」

「まーた、あいつは・・・。」


「・・・。」

みんなが竹谷のもとへ向かう。

三郎の後ろを兵助は歩いていた。

「・・・・?」

三郎が振り向いた。

「兵助。」

また手を差し出す三郎。

「え?」

「人ごみに変わりないし、迷子なんていやだろ?」

「ありがと・・・。」

兵助がその手をつかむと、三郎は嬉しそうに笑った。

「三郎?」

「ん・・・いくか。」



さっき雷蔵たちに追いついたとき、すぐに手を離した三郎に

すごく寂しさを感じたんだ・・・。



もう一回っておもった・・・。



今、なんだかすごくドキドキして落ち着かないんだ。



これってもしかして・・・・・。







「・・・・。」



なんだかさっきから兵助の様子がおかしい気がする。

ぼーっとしてるし、目を逸らされた気さえする。

雷蔵と合流したとき、ほっとしてなかったか?



もしかして兵助・・・・・・・







「・・・・。」







お互いに無言になる。










「あれ?」

「?」

「雷蔵たちがいない・・・!」

「本当だ・・・いつのまに・・・。」

「多分八がちょろちょろしたんだろうな・・・。」

「あー・・・。」

「ま、雷蔵は多分一緒だとおもうし、携帯もある。」

「うん。」

「そーなると下手に動くのはあれだしなー・・・。」

「どうする?」

「あ、そうだ。いい場所がある!」

「いい場所?」

「昔、雷蔵たちと遊んでるときに見つけた場所なんだ。」

「へー。」

「まじでいいとこ。」

兵助は三郎の手にひかれるままついていった。

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