無性に声が聞きたくなっても、今まで一度たりともその番号に電話を掛けたことはない。
だけど、今日は。
震える指先を叱咤し、通話ボタンを押した。
数回の呼び出し音の後、電波に乗って声が耳に飛び込んでくる。
「俺だけど」
『おー、隼人か。隼人から電話なんて珍しいな』
どうした?と何喰わぬ声色で尋ねてくる電波の向こうにいる人物。
てっきり、雲雀に振られて落ち込んでいるのかと踏んでいたのだけれど。
その声色から、何やらそれほどまで落ち込んではなさそうだ。
もしかして空元気かもしれないが、それでも元気そうな様子に安堵した。
『もしかして、心配してくれたのか?』
「なっ、そんなんじゃねぇよ」
『はは、サンキュ。だけどさ、』
思わず声が上擦った。
そして、続く跳ね馬の言葉に更に声は上擦ってしまう。
『OK貰ったんだ』
「は…?」
square relations 9
のぞんだ指先