“面白いヤツ”だと思っていた。
時期外れなイタリアからの転校生だと聞けば興味も湧くし、逸脱した容姿故に自然と目で追ってしまう。
当人は介入して欲しくなさそうだったけれど、それでも関わっていく内に獄寺のことを分かっていった。
いつも花火を持ち歩いていたり、ツナのことを慕っていたり、そのくせツナ以外には子猫のように毛を逆立てていて。
容姿や雰囲気とは裏腹に、それはとても純粋で無垢な子供のように俺の瞳に映ったのをよく覚えている。
初めて出会ったタイプで単純に“面白いヤツ”、そう思っていた。
だけど、獄寺のことをもっと知っていく内に“面白いヤツ”から、次第に“特別なヤツ”に変わっていった。
素直じゃないところも、すぐにムキになるところも、態度とは裏腹に華奢な四肢も、時折見せる儚げな表情も。
獄寺を取り巻くものに惹かれていって、気付けば俺の中で獄寺は特別となっていたんだ。
そう自覚してしまえば、気持ちはスピードを増し一気に加速していった。
獄寺に笑って欲しい、触れたい、キスしたいと、欲望は収まることを知らない。
それでも俺は自制していたんだ。
確かに一線は越えたいが、まだこのままの関係でいいという気持ちもあるし、それに…。
あんな獄寺の表情を見てしまえば、俺の欲望など二の次だと。
だから今は獄寺に元気になって欲しい、それだけ。
確かにそう思っていたのに。
今はまだ、それでいいと思ってたのに。
─なぁ、どうして獄寺はそいつの隣で楽しそうにしてる?
square relations 6
傷む心の行方