夕暮れの中、点滅される自動販売機。
点滅している自動販売機のボタンを押し、スポーツドリンク二缶を手にしては獄寺を待たせている教室へと急いだ。
square relations 4
覆われる大空
冷たいドリンクの缶を、こうして持っていると頭まで冷やされるような感覚がする。
というか、冷やして欲しい。
咄嗟といえど、獄寺を抱き締めてしまうなんて。
だけどあんな切羽詰まった獄寺を見てしまったら、放っておけななくて。
逃げようとする獄寺を引き留める為もあってか、抱き締めてしまった。
抱き締めた時の温もりが、まだ残っている。
すっぽりと腕の中に収まってしまった華奢な獄寺の感触も。
翡翠の双眼を丸くさせ、驚いたように呆気にとられていた獄寺の表情も。
だけど今は獄寺に酔っている場合じゃない。
急いで教室へ向かわなければ。
抱き締めてしまい気まずさからジュースを買いに購買へと向かったけれど、当の獄寺はいま教室で待っているのだから。
といっても、ここで待ってろと言って教室を後にしてしまったわけだから本当に獄寺が大人しく教室で待っているかは分からない。
切羽詰まった様子だったし、抱き締めてしまったことから怒って帰ってしまった可能性もある。
だから、急いで教室へと辿り着き扉の向こうに大人しく座っている獄寺の姿があったことには正直驚いた。