club vongole
□club vongole 17
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不本意な用事が入ってしまったせいで、時間に追われていた。
といっても、喫茶店を出た時点で時計の針は営業時間をさしていたわけで、どんなに急いでも遅刻には変わりないのだけど。
それでも俺は急いで、club vongoleへと足を進めた。
先ほどのベルとの契約の件が頭をよぎったけれど、今はそれより急ぐことが先決だ。
だからベルとの件はいったん保留して、頭の隅に置いておこうと決め込んで。
club vongole 17
揺れ始めるモノ
「遅刻者にはそれ相応な罰が必要だな」
「リボーンさん、これには理由があって…」
遅刻者である俺を待ち構えていたのは、シルクハットが印象的なリボーンさん。
言い訳をしようとした俺にリボーンさんは有無を言わさない眼差しで「それとも罰金にするか?高くつくけどな」と、意地の悪いことを言って退けた。
結局為す術のない俺は、どんな罰が下るのかと肩を落とすことしかできない。
「まぁ俺も鬼じゃねぇ。理由によりけり罰は軽くしてやるぞ」
それで、どうして遅刻したんだ?
そう告げるリボーンさんに、俺は視線を泳がすことしかできなかった。
もちろん罰は軽くして欲しいが、果たしてそれがベルと逢瀬していたからという理由で軽くなるだろうか。
もっと罰は重くなりそうだし、俺がそれを言ったところで根掘り葉掘り突っ込まれるのは面倒だ。
だから俺は何て言っていいのか分からないでいた。
そんな俺の様子を暫し沈黙を宿して見ていたリボーンさんは「まぁ、いい」と言ってくれて、この話はここで終了した。
なぜかシニカルな笑みを宿していることが気に掛かったけれど。