直面した事実から逃げる為の、一番手っ取り早い方法は睡眠。
だけど、それは嫌な夢によって阻まれてしまう。
昨夜、瞳に映ったものは確かに鮮明なリアル。
夢、幻なんかじゃない。
だから何だと言うのだろうか。
ただ彼とディーノが“そういうこと”をしていただけじゃないか。
僕が苛立つ理由も原因も、持ち合わせていない。
それでも確かにざわめく胸も渇きも潤わなく、今までのように性欲処理器に欲望を発散させようとしたのだけれど。
「君じゃ無理」
嗜虐欲も興奮も見い出せない。
反応しない自身は本物。
目の前の名前も知らないキャストから身を離れさせ、そのまま僕のテリトリーから追い出した。
名前も知らないキャストは震えた眼差しと戸惑いの声を上げたけれど、僕の耳には一切入ってこようとはしない。
club vongole 16
無自覚患者のtea time