詩歌

□二人
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穏やかに聞こえる寝息に
思わず笑みが零れる

微かに手のひらを繋いだまま
眠ってしまった年上の恋人は
こんなとき酷く幼く見えるから不思議だ

「…」


彼の癖の強い髪に指を絡ませ
時折、頬に触れてみる



こんな時
感じる愛しさに
零れる笑みを抑えきれない




「…」

困った、と思うのに

それ以上に
ただ、この人だけを思う時間が
嬉しい


「…」


年上のこの人の事を
可愛い、なんて


「…あぁ、本当に…」



よぎるのは

寝ぼけ眼の彼が呟いた言葉

「…世界に、貴方と私だけのようですね」



そんなこと
あるわけないと分かっていても




「ねぇ、友雅殿?」

答えは
ないけれど




それでも





貴方さえいれば




【了】
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