Mischievous of fate
□The 12th story
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『情報を聞くには酒場が1番いい』
ファイのその言葉を思い出し、カザーブに着いてすぐ酒場に向かった。
カランカランと鳴るドアを開けると、昼間だから人は少ないけど酒場は営業中だった。
「いらっしゃいお嬢さん。なにかご用事で?」
「あ、あの!ジンさんを知りませんか?」
私の言葉にマスターさんは目を見開いて、それから目の前のカウンターの席に座ってるおじいさん見た。
「嬢ちゃん、ジンと知り合いかい?」
「え、あ、はい!」
おじいさんはゆっくり立つと、私の前まで来てじっと目を見た。
「・・・嬢ちゃん、私と一緒に来てくれんかね」
「ゴードンさん!」
「何もしやしないさ・・・安心せい」
マスターさんに目を向けずにそう言ったおじいさんはそのままドアを開けて出てってしまった。
私もすぐに後を追う。
おじいさんに連れて来られたのは教会の横にある墓地だった。
一つだけ、大きなお墓があって、おじいさんはその隣の普通の大きさの墓前に立った。
墓石には“愛しの妻 マリア 愛する我が娘 アリア ここに眠る”と、書いてあった。
「・・・そっちのでっかい墓はな、村の英雄の墓だよ。
私はその英雄に・・・妻を寝取られた」
「ね、と・・・?」
「妻を早くに亡くしてね、娘がまだ幼いので親戚中が無理やり後妻したから・・・愛がなかったわけじゃないが・・・まだ彼女は若かったし、好きにやらしたよ」
「はぁ・・・」
「そしてその連れ子に・・・」
おじいさんは少し笑うと、悲しげな表情で墓石を見た。
「娘を殺された」
「え・・・?」
「いや、殺されたと思いたかったの方が正しいか。
君は・・・ジンとどう言う関係なんだい?」
「あ、ジンさんとは直接関係ないんですけど・・・ディアとは一緒に旅をしてます」
「そうか、アルは元気かね?」
「アル?」
私が首を傾げて聞くと、今度は寂しそうに笑った。
「そうか、ディアと呼ばせているんだね。
娘がね、アル呼んでいたんだ。アル・・・アルくん、とね」