Mischievous of fate
□The 12th story
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ノアニールに着けば、最初に来たときに比べて村は賑わってた。
そりゃそうだよね、最初に来たのは村中がエルフさんの魔法で眠らされてたんだもんね。
「いるかな・・・」
探す人はただ1人。
ディアそっくりな顔立ちだけどディアよりちょっと背が高くて、目も鋭い。
そして・・・海みたいな真っ青な瞳。
───君の弱さはいつか仲間を傷つけつるよ
そう言った張本人。ディアのお兄さんのジンさん。
カンダタさんにノアニールにいるって言ってたけど・・・多分、あれは私に言ったんだ。
こうなることが分かってたんだ。私が・・・強くなろうとすることが。
でもさっきから探してるのに全然それらしき人に出会わない。
「あの・・・ジンさんって言う男の人知りませんか?」
近くにいた女の人に声をかけた。
ディアのお兄さんだからきっとジンさんも女の人が好きなはずだから。
「ジン?あ、えーっと・・・あっそうそう、
『アディの世話になってるから、お前が来れるものなら来てみろ』って伝えとけって言われたわ」
意味が分からなかった。アディって誰?
女の人はそう言うとさっさと行ってしまった。
頼れる人・・・ジンさんしか居ないのに・・・。
いつもはこんな時、レンがアイディアを出して、キシュが同意して、カルアがちょっと文句言って、ディアとルーがからかって、私の隣にはファイがいるのに・・・。
「カザーブ・・・行ってみようかな」
出てくる涙を拭いながら呟いた。
あそこはディアの故郷だ。だからジンさんの故郷でもあるはずだ。
なにか手がかりがあるかも知れない。
泣いてなんかいられない。
強くならなきゃ。みんなの為に。世界の為に。