Mischievous of fate
□The 11th story
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「ごめんなさい!タケシが何かしましたか?大丈夫ですか?」
女の子は慌てて私達に駆け寄って、心配そうに言った。
「あら、何もしていないわ?」
「そうですか・・・。タケシ!ガイジンさんが来るたび突っかかるの辞めなさい!」
女の子が男の子に怒った。男の子は何も言えない感じで、押し黙っていた。
「なんであんたはいっつもいっつも!!もう私も居なくなるんだから──」
「居なくなるとか言うな!!」
男の子は急に癇癪を起こしたように怒鳴った。その後、泣きそうだった。
「何か訳ありですか?」
レンがにっこりと聞いた。
「あ、いえ・・・あの・・・」
「やまたのおろちなの」
「あたまがいっぱいなの」
「いけにえをださないとむらがおそわれるの」
「ヤヨイはいけにえなの」
「あのおっきいおやまにいるの」
小さい子達が順に話し始めた。
「お前ら!!ヒミコ様がよそ者には何も言うなと言われただろ!!」
男の子が小さい子達を怒鳴ってから、私達をキッと睨みつけた。
「出てけよ。この村に関わるな」
「もしこの子が勇者で、ヤマタノオロチを倒せるとしても?」
レンが私の肩に手を置いて笑って言った。
「ゆうしゃ?」
「ヤヨイーゆうしゃってなにー?」
「勇者って言うのは魔王を倒す為に選ばれた人の事よ・・・」
「バッカじゃねぇの!?こんなチビなガキが勇者なわけねぇじゃん!!」
「ちっ・・・ちっちゃいのは認めるけどガキじゃないもん!!もうすぐ17歳だもん!!」
「でもチビじゃねぇか!!」
「君だってあんまり変わんないじゃん!!」
「んだとっ!?」
そう言うと男の子は私のほっぺを両方つねってきた。
「いひゃいいひゃい!!」
「・・・辞めろ」
ファイが男の子と私を引き離し、男の子をじろっと睨みつけた。
「・・・大丈夫?」
私の方を向いてファイは優しく聞いてきた。そして両手で私のほっぺをつつみこんで、優しく笑った。
「え、あ、うん!ありがとう」
「・・・ローナが他の男に触られるのって・・・ムカつく」
「それって・・・」
言いかけて・・・口を押さえた。こんなの、自惚れかも知れない。
「何?」
「う、ううん!なんでもない!」
「言って」
ファイは顔をグッと近づけた。ファイの瞳に私の顔が映る。恥ずかしくって目を瞑った。
さっきから熱かった顔がますます赤くなっちゃった。
「え・・・と・・・それって・・・妬きもちかな・・・って・・・」
そーっと目を開けて恐る恐るファイを見た。
一瞬、キョトンとしてから、ちょっと、なんて言うか・・・幸せそうに?笑った。
「お〜ふた〜りさ〜ん。俺たちの存在忘れてませんか〜?」
ディアが真横に来て呆れた口調で言った。
私はさらに顔が熱くなったけど、ファイはディアを睨みつけた。
「・・・邪魔すんなよ」
「やだな〜そんな見つめられちゃローナみたいに顔真っ赤になっちゃうじゃないか〜」
「とりあえず」
レンがファイとディアの間に割って入ってにっこりしながら話し始めた。
「まずはそのヒミコ様とやらにご挨拶に行きましょうか。案内願えますか?」
レンが男の子に向き直って言った。私とファイをぼーっと見てた男の子は、何か言いたげに口を開きかけたけど・・・
「意義は、ありませんね?」
にっこりと笑ったその笑顔に、ポルトガで見たあの黒いものがあった。
男の子は黙って歩き始めた。