Mischievous of fate
□The tenth story
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何度も何度も夢見てた。
私の心を奪ってく運命の王子様。
兵士長には散々笑われたけど、私は信じてた。
いつか必ずお父さんとお母さんみたいな運命の出会いをするって。
「目・・・覚めた?」
気が付くと私はベットの上にいて目の前にはファイの顔があった。あれ?私、なにしてたんだっけ?
「覚えてる?」
「え?」
「さっき・・・俺が言ったこと」
さっきファイが言ったこと?なんだったっけ・・・?・・・あ、そうだ私・・・ファイに・・・。うわぁ、思い出したら顔が・・・
「・・・思い出した?」
私は黙って頷いた。ファイと・・・目があわせられない・・・。
「返事・・・聞きたい」
「ふぇ・・・」
「自惚れてる訳じゃないけど・・・ローナの気持ちは知ってる・・・でもちゃんとローナの気持ちが知りたい」
ゆっくりと顔を上げた私をじっと見ながらファイはそう言った。
駄目だ。頭がくらくらする。とても話せる状態じゃない。
「口で言うのが恥ずかしいなら・・・」
ファイはそっと私の手を握った。
「・・・この手を握り返してくれるだけでいいから」
ますます顔が赤くなるのがわかった。でも・・・ちゃんと気持ちを伝えなきゃ。私は覚悟を決めてファイの手をぎゅうっと握った。
「・・・よかった」
ファイが・・・なんだろう、いつもと違う笑い方をした。なんて言うか・・・柔らかい、幸せそうな笑顔を・・・。もう心臓が・・・ドキドキしすぎて苦しい。それを知ってか知らずか、ファイは手を伸ばしてきて私の頭に手を置いて、私を引き寄せた。
「え、あ、ふぁふぁふぁふぁふぁファイ・・・」
ファイは私をぎゅーっと抱きしめた。もうダメ・・・心臓が爆発する・・・。
「ファイ?ローナの具合ど・・・」
ノックもせずに行き成りキシュが入ってきた。ファイはキシュが入って来てもこの体勢を崩さなかった。キシュは今の状況を見て、表情が固まった。
「き、キシュ?」
ファイの腕の中からそっと顔を出した。するとキシュはスローモーションでその場にへたり込んだ。
「い、いつかはこうなるとは思ってたけど・・・実際そうなると・・・ショックが・・・」
「・・・あんたもあいつといつもやってるだろ」
「こ、これとそれは話が違うわ!って言うかローナが倒れたのってあんたのせいね!?過労とか言っておいて!」
「・・・どうでもいいからもう出てけよ」
「何よ偉そうに!それ以上のことをしたら許さないから!いい、ローナ!ファイに何かされたら大声あげて私を呼ぶのよ!?」
「う、うん」
キシュが勢い良くドアを閉めると、ファイはやっと私を解放した。
「き、キシュは私を心配してくれたんだよ?ファイのこと嫌いなわけじゃないからね?」
「・・・わかってる」
そう言うと、ファイはまた私を抱きしめた。