Mischievous of fate
□The eighth story
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ジンと呼ばれた人はディアを少し背を高くして髪を短くしたような人だった。それ以外はみんな同じ・・・あっでもこの人の目はディアみたいな金じゃなくて真っ青だった。目つきも・・・ディアより鋭い。
「こんなとこでなにしてんだよ」
「それはこっちのセリフだ!」
ディアが血相を変えて怒鳴った。こんなディア見るの初めてだ・・・。
「別に?エジンベアからの帰りだよ。でお前は・・・」
ジンって人は私たちを順番に見てまだ涙の止まらないキシュで目を留めた。
「・・・アルディア、女の涙を止めさせる方法教えてやったよなぁ?」
そう言うとジンって人はキシュの顎を掴んで・・・キスをした。
「!?」
「なっ・・・!!」
みんな驚いてその場に固まってしまった。でもいきなり目の前が暗くなった。手で目の前を隠されたみたい。
「う?」
「・・・」
手が外されるともうキシュと男の人は放れてた。私の目を隠してた手の主を見ると、ファイだった。ファイは呆れてるやら驚いてるやら見たいな顔をしてた。
「し、舌・・・!」
キシュが息を切らしたような感じで言った。その瞬間横からものすごい寒気がした。そっちを見るとレンがものすごい黒い雰囲気でにっこりして口を開いた。
「ザ───」
「タンマ!!マジ洒落になんない!!」
ディアが急いでレンの口を塞いだ。その瞬間レンはキシュの前まで行き、手をとってどこかに行ってしまった。
「えっあっ」
「・・・追いかけるな。2人にした方がいい」
ファイが追いかけようとした私を止めた。
「おいディア、あんないい女連れて旅してんのか?お前は不特定多数の女といる方が性に合ってると思うけどな」
「うるさい!なんだよいきなり現れてキシュにキスして!」
「泣いてたから慰めてやったんだろ?お前だっていつもやってたじゃねぇか」
「それは相手の合意を得てからだ!」
「普通の女なら俺らみたいないい男にキスされて喜ばないはずはねぇぜ?あのアリアだって・・・」
その名前を聞いたとたん急にディアの顔が真っ赤になった。そして男の人のむなぐらを掴んだ。
「今度その名前を言ってみろ・・・殺すからな・・・!!」
「・・・まぁだ引きずってんのか?未練がましい男はモテないぜ?」
ディアはいきなり拳を上げてその人に殴りかかった。
「ディア!ダメ!」
ディアは顔寸前で拳を止めた。そしてジンって人を突き飛ばして走ってどこかに行ってしまった。
「あぁもう!どいつもこいつもぉ!」
「ルー・・・行ってやってくれ」
「わかってるわよぉ!」
ルーは急いでディアの後を追った。
「まだまだあいつも子供だな」
男の人はふぅーっとため息をした。
「・・・ローナ、行こう」
「なんだ、俺が誰か聞いていかねぇのか」
「・・・大体分かる」
「ふぅーん・・・」
しばらくの間ファイと男の人はにらみ合った。そして男の人がちょっと目を落として私を見た。
「かわいい子だな。ちょっと俺に貸してくんない?」
「断る」
「あっそ。その子さ、勇者だろ」
「・・・だからなんだ」
「やっぱりそうか。・・・いいな。まだ勇者とは付き合ったことないんだ。ま、5年も経てばいい女になんじゃね?」
「それがどうかしたか」
ファイが私の手を強く握りながら言った。
「・・・ま、いいさ。俺ジンって言うんだ。覚えてといてよ勇者ちゃん。アルディアに言っておいてくれ。いつまでも過去に縛られてないで前を向いて歩けってな」
そう言うと、ジンさんは後ろ向きで手をひらひらと振った。