Mischievous of fate
□The eighth story
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関所を通って北に進むと町があった。ポルトガは港町だってみんなから聞いていたけど、海がこんなに近いとは思わなかった。
「すごーい!ひろーい!」
「ローナは海は初めてですか?」
「ううん!アリアハンのお城から少し見たことある!でもこんな近くで見るのは初めて!」
「いいね〜無邪気で」
「あんたの目はいやらしいのよ」
「なにキシュちゃんヤキモチ?」
「あんたの考えがどうしてそっち向かうのか理解が出来な・・・っくしゅん!」
キシュがかわいいくしゃみをした。少し固まって、それから周りをキョロキョロ見だした。
「なにやってんのよぉおばさん」
「おばさんじゃっくしゅん!・・・ない・・・っくしゅん!」
くしゃみをしながら突然キシュは泣き出した。
「き、キシュ!?」
「は!?ちょっ!おばさんなんていつも言ってるじゃなぁい!今さら泣き出・・・す・・・」
ルーが言葉を止めたのでチラッとルーの方を見た。ルーはキシュの後ろの方を見ていて、笑いながらもその顔は引きつってた。私はキシュを通り越してキシュの後ろを見た。レンが笑ってる。でもいつものようなにっこりじゃなくて・・・ううん、にっこりなんだけど後ろになんか黒いものが見えた気がする。ちょっと寒気がした。
「ルー、いけませんよ?人を泣かせるようなことを言っては・・・」
「ちがっあたしのせいじゃ・・・」
「っくしゅん!レン・・・っくしゅん!違くて私っくしゅん!ローナ!周りに猫いない!?」
「猫?」
周りをちろちろ見てたらファイの足元に子猫がいた。ファイの足に擦り寄ってにゃ〜って鳴いた。
「あっかわいいー」
「あっダメ!」
キシュは急いでレンの後ろに隠れた。
「ごめんろ・・・っくしゅん!ローナ・・・猫をあっちにやってっくしゅん!」
私は言われた通り猫を抱き上げてキシュから離した。キシュの反対方向に降ろしたら、とてとてと走って逃げてしまった。
「キシュちゃんもしかして猫アレルギー?」
「そうよ・・・昔からダメなの・・・あぁ涙が止まらない・・・」
そう言ってキシュはレンの背中に顔を押し付けた。よしよしって背中さすってあげたいけどアレルギーなら猫触った手で触れちゃいけないよね。
「ディア?」
そんなこと考えてたら後ろから声がして、みんな一斉に振り向いた。
「やっぱりアルディアじゃねぇか。久しぶりじゃね?何年ぶり?」
「ジン・・・!」