QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜

□第13楽章
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次の日、レニーからエリとフィナに事情を説明し、そのエルザバーグなる町に行くことにした。
なんでレニーからなのかって言うと、フィナが俺とエリを会わせてくれないからだ。
レニー、早くフィナの誤解解いてくれ。


「また来な。また酒を飲もう」


ジュニーは爽やかな笑顔でそう言ったが、俺としては昨夜の暴れっぷりを見たからには勘弁して欲しい。
エリは笑顔で手を振り、船に向かった。


「一緒に行かないのか?少年」

「ある程度の距離を置かないと死の呪文を唱えられかねないからな」


フィナは今も俺を警戒してる。泣きたくなるんだけど。


「お、そうだ。エリに渡すのを忘れていた。ほれ」


ジュニーは袋からドラゴンと球体が彫ってある真っ赤な石を俺に手渡した。


「何だコレ」

「オーブだ」

「オ、オ!?」

「オルテガから預かったものだ」


その言葉に体が固まった。どういうことだ。


「いずれ娘がオーブを探すときが来るからそれまで預かっていてくれないかってさ。
そんときゃ何の事だかさっぱりだったが・・・」


ジュニーは意味深げな顔をすると、船に戻っているエリを見据えた。


「オルテガは知っていた。娘がロトであると。
なのに何故、自ら魔王を討ちに行ったのか・・・」

「・・・娘に辛い思いをさせたくなかったんじゃないか?普通の女の子でいて欲しいとか。
だから自分ですべてを終わらせようとした」

「結果、その想いがエリをロトにさせてしまった訳か。
オルテガが死ななければエリは魔王討伐の旅に出なくて済んだ。
神は彼女をロトには選ばなかっただろう」


神様ってのは本当に残酷だ。


「でも、エリがロトってのは英雄が死ぬ前に決まってたんだろ。
どっちにしろエリは勇者として旅立ってたんだ」

「なんだ、お前はロト反対派かと思ってたが」

「エリが勇者でないと俺はあいつに逢えなかったんだよ」

「・・・好きなのか?」


やっぱ気付かれてるし。
世界何人居る。俺の気持ちに気付かねぇ奴。


「・・・すべて運命で片付けられると思うか?」

「俺はそう言うの嫌いだね」

「同感だ。さ、もう行った方がいい。置いていかれるぞ」


マジで置いて行かれそうなのでジュニーに別れを告げ、早足で船に向かう事にする。
歩きながら俺は手渡されたオーブをじっくりと見つめた。
不気味に光るそれは、俺に「ロトを守れるのか」と聞いてる様だった。
ふざけんな、ロトなんか知るか。俺が守んのはエリだっつの。
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