QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜

□第13楽章
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海賊のアジトに着いた俺達はとりあえずジュニーに謝り、レニー達を紹介した。
「飲む仲間が増えた」と快く迎えてくれたが、いやいや、あんたエリと英雄の話すんじゃねぇのか。
そう発言するのは遅かったようで、既にジュニーは出来上がっている。


「驚いたよ。遂に告白したのかと」


酔って暴れまくっている女船長を下っ端たちがなだめているのを傍観しながら俺はレニーにさっきの出来事を話した。


「邪魔したのはお前らだっての」

「でも進歩だよ。エリはヴェスに心許したってことだし」

「そうなのかねぇ・・・」


にしちゃさっきから俺と目も合わせてくんねぇんだけど。


「エリは俺やフィナにも一線引いてる所があるからね。高所恐怖症の言い訳がいい例だ」

「知ってたのか。本当のこと」

「知ってるも何も、気絶したエリを抱えて医者に見せに行ったのは俺だよ。
目が覚めて俺を見た瞬間、階段から落ちたなんて言うからそのままにしといたけど」


レニーはエリをなんとも言えない表情で見つめ、溜息を吐いた。


「心配させないようにしてるのが余計に心配なんだよね。不器用だから隠しきれてないし。
ヴェスが居て良かったよ。お兄ちゃんは安心」

「お兄ちゃん、ね」

「もしかして疑ってる?大丈夫だよ。エリは妹みたいなもんだよ。
エリだって俺の事兄貴ぐらいにしか思ってないよ」


まぁその辺は心配してないが、これからどうするかだ。今まで通りエリと話せりゃいいんだけど。
ちらっとエリを見ると、フィナに睨まれ、ぷいっと顔を背けてしまった。
完全に誤解してやがる。しょうがない、レニーにフォローしてもらうか。


「おやおや、もっと飲みたまえレニー!銀髪くんも!」


酒瓶片手にシーアが現れた。唾を飛ばすな。


「そういやお前らオーブは?」

「これと言った情報は手に入らなかったよ。
サマンオサでの悪政やジパングの生け贄事件ぐらい。そっちは?」

「テドンで手に入りそうだがそれには最後の鍵ってのが必要らしい。シーアは?」

「オーブに関する事ならば期待しないで頂きたいね!ただし!」


シーアは大げさに身振り手振りをしながら話した。


「ただし、なんだよ」

「ある町の情報を手に入れたのさ!」

「町?」

「そうともレニー!スー大陸に新しく出来た町さ!」


そこまで自信満々に言う事かよ。
俺の反応が気に入らなかったのか、シーアはやれやれと言いたげに頭を揺らした。


「町の名前を知りたくはないかい?」

「それが俺達に関係あるのかよ」

「さぁ?聞いてから考えてみてはどうだい?
町の名は、エルザバーグ」


一瞬、時が止まったのではないかと思った。そしてだんだん、血の気が引いてきた。


「嫌な予感してんの・・・俺だけじゃねぇよな・・・?」

「・・・もちろん」


レニーが引きつった笑いをした。
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