QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第12楽章
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「お、おい!どうしたんだよ!」
腕が離れてしまったのがかーなり寂しくて。
半ば怒ってるような口調をしてしまったが、今のエリには気にならないらしい。
エリはいきなり止まり、辺りをキョロキョロと見渡した。
俺はふと後ろを見た。
少し遠くにごく普通の村の姿がある。レーベと変わらない。
損壊していた家々はちゃんと人が住める状態になっていることに今気がついた。
益々訳分からん。
「ヴェス!」
「ぅあ?」
未だに名前で呼ばれることに慣れない。いつもの如く変な返事をしてエリを見ると・・・今度は手を繋いできやがった。
え、これって誘ってんの?
「エ、」
「あった!」
「は?おわっ!」
急に俺を引っ張って右に移動した。
そこには石造りのこじんまりとした牢獄があった。牢獄・・・だよな?鉄格子があるし。
エリは俺から手を離し、鉄格子に近づいた。
すると牢獄の中から男がぬっと顔を出した。
とっさにエリを鉄格子から離し、小刀を鉄格子の隙間から男の喉にあてがった。
「ひっ・・・」
「ちょっと!何すんのよ!」
無理に引き離したもんだからエリは尻餅をついた。
さすがに悪いと思って男から小刀を離し、エリに手を差し伸べた。
「悪い、つい・・・」
「ついじゃないわよ!びっくりするじゃない!」
「あぁ・・・やっぱりロトだ・・・」
エリの言葉に言い返そうとした瞬間、男が喋ったもんだから言葉を飲み込んだ。
俺とエリは男の方に振り向いた。
鉄格子に掴まってこちら、と言うよりエリを恍惚の眼差しで見つめている。
・・・んな目で見てんじゃねぇよ
「ロトさま・・・申し訳ありません。私はグリーンオーブしか手に入れられず・・・。
あぁでも他のオーブの場所なら少なからず情報が・・・」
「ちょっと待て。あんた何でオーブのこと知ってんだ?
そもそもロトってなんだ」
俺がそう言うと、男は少し目を見開き、そして困ったように笑った。
「そうか・・・まだ・・・。
では貴方方は最後の鍵をお持ちではないですね?」
「最後の鍵?」
「マネマネ銀と言う特別な金属で作られた鍵です。
それがないとここは開かない・・・オーブも渡せない・・・」
「・・・あなたは一体何者?」
「そうですね、もう一度ロト様がここへ入らしたとき教えましょう。
その時には鍵を手に入れてるでしょうから」
男は目を伏せ、牢獄の奥へと引っ込んでしまった。
「おい、何がなんだかわかんないだろ!
ロトって何だよ!オーブだって・・・」
「ヴェス、戻ろう・・・」
エリが俯いてそう言うと、黙ったまま歩き出してしまった。