QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第8楽章
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「ヴェスさん、人の髪の毛って結わけます?」
「・・・一応出来るけど」
朝、朝食を終えたあとテラが部屋に入ってきた。
エリとレニーがポルトガ王に造船を頼んだところ、バハラタに黒コショウを取りに行けと言われたらしい。今日はこれからバハラタに向かう為、荷物に整理をしていた。
「ほら、後ろ向け」
「あっこれゴムです」
テラは青いビーズのゴムを俺に渡した。
「てか何でヴェス?」
「みなさん結わけないんですよ。エリさんもフィナさんもエルザさんも。リュイさんは自分が結わけても人のは出来ないみたいです。それでヴェスさんは器用そうだから・・・」
「今までどうしてきたんだ」
「上の姉さんたちにやってもらってました。カイは不器用だし」
「不器用じゃない。器用じゃないだけだ」
「カイ、それを不器用って言うんだよ」
「ほれ、出来たぞ」
昨日と同じ様に高い位置で2つに結ってやった。テラは鏡でそれを確認した。
「わーありがとうございます!」
「毎朝やってやっから」
「はーい」
そう返事をしてテラは部屋を出てった。かわいいよな。あーゆうの。
「で?バハラタってどうやって行くんだ?」
「まずアッサラームまで戻って山の向こう側に行かなきゃなんだ。で、バハラタへ通じる洞窟を管理してるホビットへの手紙をポルトガ王から預かったからそれで通れるはずだよ」
「そのバラバラの行き方なんだが・・・」
開きっぱなしだったドアにリュイが寄り掛かってた。
「バラバラじゃなくてバハラタね」
「行き方がどうかしたか?」
「エリがルーラで行くのか歩いて行くのかどっちなんだと行っている」
「出来ればルーラがいいけど・・・」
「あー俺キメラのつばさ持ってる」
「じゃあそれでいいね。エリにそれ言っておい・・・リュイ?」
「リュイ姉さんどうしたんすか?」
リュイは頭を抱えはぁ〜とため息をした。
「1ヶ月なんだ・・・」
「なにが?」
「もう1ヶ月・・・まだ帰ってきてない」
「だから何がだよ」
「私のことなんか忘れたのかも・・・他の・・・あぁでも・・・」
リュイはブツブツ言いながらふらふらと部屋に戻って行った。俺たちは顔を見合わせたが、結局なんのことだかわからなかった。