QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第8楽章
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フィナの顔が一瞬にして変わったのを俺は見逃さなかった。明らかに動揺してる。
「どうして・・・?誰が言ってたの?」
「え?レニー兄さんが好きな人がいるって言ってたからどんな人か聞いてみたくって」
「あのレニーさんが好きな人ですもんね、とっても素敵な人だと思うんです」
「俺が知らないんだからアリアハンの人だろ?」
「・・・ごめん。言えない」
フィナは俯いてそう言った。
「言う・・・権利とかは私が1番持ってるんだろうけど・・・」
「権利・・・?」
テラが心配そうにフィナを見ながら聞いた。
「・・・前に言ってたエリの好きな人と関係あったりするのか?」
フィナは小さく頷いた。隠し事とかってあんま好きじゃねぇけど人には誰だって1つや2つ抱えてるもんがあると思う。それは自分の中で整理がつかないと人には話せないよな。
「え〜・・・っと、いや、いいんだ!ちょっと聞いてみたかっただけだし!」
「ううん・・・ごめんね?いつか・・・話せると思うから・・・」
「待ってるよ!オレ・・・ずっと・・・」
「・・・ありがとう」
フィナは顔を上げ、にっこり笑った。あーあ。カイの奴顔真っ赤。その気持ち、わからんでもないけど人のを見ると複雑だな。俺もエリの前じゃこうなんだろうか・・・。
「ちょっと!フィナから離れなさい!!近すぎるのよ!!」
面会を終わらせたらしい。エリがこちらに走ってきた。後ろにはレニーもいた。
「今すぐ離れなさいすぐ離れなさい!」
「大丈夫ですよエリさん。あと1cmでも近づいたら回し蹴りいきますから」
「ありがとうテラ」
「なぁヴェス、オレって敵多くない?」
「恋は障害がある方が燃えるって姉ちゃんに聞いたことある」
「でもお前よりはマシだと思う。7年間も片想いはヤダ」
「喧嘩売ってるだろ」
「さっきからなにこそこそ話してるのよ!」