QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第8楽章
1ページ/10ページ
「海だー!」
テラとフィナが走り出した。
エリがアッサラームの劇場の座長にファブから預かった手紙を渡して、魔法のカギを見せたところ、ポルトガに行けと言われたらしい。言われた通りにカギで関所を通り現在に至る、と。
ポルトガは貿易で国が栄えてる港町だ。よって海がある。カイとテラは砂漠育ちだから海は始めてらしい。俺もこんな近くで見たのは始めてだ。
「エリたちもおいでよ!気持ちいいよ!」
すでに靴を脱いでバシャバシャと遊んでるフィナが言った。テラもカイももう靴を脱いでいた。
「ごめんフィナ!私ポルトガ王に面会しなきゃ!」
「なんでだよ」
「船よ。いつまでも陸地を旅してても魔王なんて倒せないでしょ?ポルトガなら造船所があるからって座長さんに言われたのよ」
「・・・それをこんな大勢で頼みに行くのか?」
エリは俺たち全員をゆっくりと見回した。
旅立った当初は4人だったが、今は8人と大家族パーティになっていた。
「俺とエリで行って来るよ。みんなはここで待ってて」
「私はちょっと寄る場所がある。宿屋で落ち合おう」
リュイはそう言って城の反対方向に行ってしまった。
「なんだ?あいつ」
「リュイはこの町出身だから色々あるんじゃない?」
「ねぇ〜あたし先に宿とって休んでていい?ここ紫外線強いし潮風が気持ち悪いしー」
「じゃあお願いするよ。ヴェスはここにいるよね?」
「あの3人だけじゃ心配だからな」
俺たちの話を聞いてるんだかそうじゃないのかフィナ、カイ、テラの3人は海ではしゃぎまくってた。
「すぐ終わらせて戻ってくるよ」
「フィナに変なことしないでよ」
「そう言うことはカイに言え」
エリはカイをちらっと見てからレニーと一緒にポルトガ城に向かった。エルザは髪がバリバリになるー!と潮風に文句をいいながら宿屋に向かった。俺は砂浜に行ってでかい流木の上に座って3人を眺めてた。しばらくしてはしゃぎ疲れたのか、3人がこちらに向かってきた。
「ヴェス君もくれば良かったのに!」
「俺の靴脱ぐの面倒だし荷物そのままだと危ねぇし」
「ヴェスさんて大人ですよね。カイと同い年に思えませんよ」
「カイじゃなくてお兄ちゃん!それに年齢は関係ないの!性格の問題」
「カイ君は無邪気ってこと?」
「そうそう。純粋な子供の心を持ったオレと、年寄り臭いヴェス」
「んだとコラ」
いいな。なんかこう言うほのぼのした感じ。レーべにいた頃を思い出す。エリともこんな風に普通に話せたらいいよなぁ。・・・目標低いな・・・俺。
「そうだヴェス、エリを笑わせ隊のことなんだけどよ〜」
「ちょっとまて、お前なんでそのこと知ってんだよ」
「あのね、人数は多い方がいいかと思ってカイ君とテラちゃんも誘ったの」
「あ・・・そう」
別にいいけどその名前が他の奴らに知られるのってちょっと嫌だな。別に俺が考えたんじゃねぇけど。
「ところでこのエリさんを笑わせ隊って誰が考えたんですか?」
「フィナ」
「さっすがフィナvナイスネーミング!」
いくら好きだからってなんでも誉めりゃいいってもんじゃねぇと思うのは俺だけか?
「そうそうフィナはレニー兄さんの好きな人知ってる?」
「え・・・?」