QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第7楽章
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「まんまるボタンはふしぎなボタン♪」
「まんまるボタンでとびらがひらく♪」
「ひがしの西から西のひがしへ♪」
「西の西からひがしのひがしへ♪」
「なんだよそれ」
イシスからピラミッドに行く途中カイとテラの兄妹が急に歌を歌い出した。全員なんだなんだと耳をすましてきいていた。
「親方が歌を歌いながら行けって言ったからよ〜。イシスで歌って言うとこの歌なんだよなぁ」
「古くから子供が歌う歌なんですよこれ。特にピラミッドと関係あるような歌じゃないんですけどね」
「あとピラミッドには魔法が使えない場所があるらしいからフィナ、気をつけてな」
「うん。ありがとう」
「ちょっと、気安くフィナに話かけないで。ヴェス!こいつのこと見張っといてよ!」
「こいつってなんだよ!」
「まぁ落ち着け」
俺はカイの腕を引っ張って少しエリと距離をおいた。
「あいつのフィナに対する執着心は半端じゃねぇから気をつけろ」
「でも初対面でこいつって酷くないか!?」
「エリはそう言うヤツなんだよ。我慢しろ」
カイはちょっとため息をしてフィナを名残惜しそうに見た。
「あ〜あ、かわいいなぁ・・・。なぁお前好きな子とかいないの?」
「は?」
「だってさ〜さっきの喧嘩見てるとお前とエリって付き合ってなさそうじゃん。でも好きな子ぐらいいるかなぁって」
「・・・いるよ」
「マジ!?誰!?」
これを言っていいのか悪いのか。別に言ってもいいがこれまでの話上カイのエリに対する第1印象悪いし。ここはあえてフィナって言うか?・・・それに何の意味があるんだよ。バカか俺。
「お〜い?ヴェ〜ス〜?」
「・・・エリだよ」
「え!?」
「俺が好きなのはエリ」
「マジで!?えっじゃあ付き合ってんの!?」
「・・・7年も片思いだよ。悪いか?」
「うわぁ・・・」
カイが・・・なんて言うか哀れんだ目で俺を見た。エリと喧嘩して、いつもと同じ様な形で決着がつくときのレニーやフィナの目と一緒だった。
「って言うかそれ幼なじみってやつ?」
「いや、初めて会ったの10歳ぐらいだし」
「そんな普通に話してていいんですか?エリさんに聞こえますよ」
「うわっ!テラいつの間に!」
「さっきからいたわよ。カイの目がおかしいんじゃない?」
「おーいそこの3人置いてくよー」