QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第6楽章
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砂漠のオアシスと言ったところか。なんもねぇ砂漠に比べてここには水や緑があった。水がありゃ人は住まうもので、古くからありそうな家々が立ち並んでいた。だけど暑さは砂漠と同じだった。
「あっつい・・・」
「炎天下はきついな・・・」
全員その暑さにやられて、真っ先に宿屋に向かった。だけどエリはファブって商人にアッサラームの劇場の座長の手紙を渡さなきゃいけねぇから部屋で一休みしてからエリを呼び出した。
「・・・もう行くの?」
「さっさと行って戻ってこねぇと怪しまれるぞ」
「まぁ・・・ね」
外に出るのは億劫だがエリのためだ。って言うかこの心境でエリと顔合わせて一緒に歩いてるって俺どんだけ図太いんだよ。普通できねぇよ。これはなんだ、愛の力ってやつか?・・・自分で言ってて恥ずかしいが多分そうだ。
イシスのど真ん中の道は露店がたくさん在って、この中からファブってヤツを見つけなければならなかった。もしかしたらこの中にはいねぇかも知れないし。
「おいお〜い!そこのカップル!」
横から声がしたかと思ってそちらを見たら健康的に焼けた肌に薄い羽織を着て、頭にターバンを巻いてる俺やエリと年の変わらない男が営業スマイルでこちらに手で招いてた。カップルって・・・いい目してるじゃねぇか。
「カップルじゃありません」
エリがきっぱりそう言うもんだから嬉しい気持ちが吹っ飛んだ。
「またまた照れちゃって〜さぁさ!買ってってよ!安くしとくからさ〜」
男が自分が広げてる露店の品物をあれこれ見せ始めた。俺がちょっと話を聞いてると、横で腕を少し引っ張られた。
「ねぇ、この人ファブって人知らないかな?」
「ああ・・・ちょっと聞いてみっか」
俺たちが話しててもまだ品物の説明をしている男に話かけた。
「なぁ、あんたファブって商人知らないか?」
「ファブ?あぁそりゃ親方の名前だ。なんだ、親方の知り合いか」
「いや、知り合いじゃねぇけど届けもんだ。アッサラームの劇場の座長から」
「ロードの旦那から?まぁいいや。俺から渡すわけにもいかないから今から案内するよ」
そう言うと男はその場にあったすべての売り物をありえない速さで片付け、肩に担いだ。
「こっちだ」