QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第5楽章
2ページ/6ページ
「これから先どうすんだよ」
あれからやっとの思いで宿屋に着いた。部屋で少し休んでから各自風呂に入ったりした。(混浴でちょっと期待したけど結局1人だった)風呂上がって脱衣所から出ようとしたときに、トイレから出てきたエリとばったり出くわした。アッサラームには城で魔王の手がかりがあるって言われたってレニー達には言っておいた。父親の手がかりって言うとエリが気にすると思ったから。
「・・・その前に上着たら?」
「暑いんだよ。で?どうすんだよ」
「何も考えてない。父さんがきたのは10年以上も前でしょ?誰かに聞くって言うのも・・・」
「まぁここはイシスとかロマリアとかの王国に行くための休憩所みたいになってっからな。長居してるやついなさそうだよな」
「・・・父さんの事ばかり追いかけてもダメだと思うし。なんかちゃんとした理由がなきゃ・・・」
「・・・なんで父親のあと追いかけてんだ?」
「父さんは・・・英雄だから・・・。父さんのあとを行けばなにか魔王を倒すすべが見つかるかなって・・・甘い考え」
「・・・別にいいんじゃね?オルテガのマネしろよ。ただし1人でなんかやって死ぬなよ?」
「ダメよ・・・私は私のやり方で魔王を倒さなきゃ・・・」
「前向きな考えだがなんで今日そんなに弱気なんだ?いつもみたいな勢いねぇぞ?」
「勢い・・・?」
「いつも俺を殴ってるみたいな」
弱気なエリもまたかわいくていいんだが・・・。
「ああ・・・そっか」
そう言うと、エリは思いっきり俺のみぞおちを殴りやがった。
「────っ!!!」
「うん。すっきりした。ありがとう。じゃお休み」
倒れてる俺をその場に残してエリは部屋に戻った。そう言う意味じゃなかったのに・・・
「ヴェス君・・・?」
「何をやっているんだヴェス。新しい遊びか?」
最近聞きなれた声がした。風呂に入りに来たらしいリュイがタオルを持ってこっちに来た。その後ろにはパジャマのフィナがいた。
「リュイ・・・お前確か彼氏いるって言ってたな・・・」
「え、あ、あぁ・・・1人だけだが」
「1人で十分だよ。それで、そのこと詳しく教えろ」
どうすれば好きなやつとうまくいくのか知りたい。
「あ!私も詳しく知りたい!」
「な、何を言っている!これは私とシーアの問題だ!」
「シーアってのか。彼氏」
「な!なんで知っている!!」
「今言ったじゃねぇか・・・」
「だ、ダメだダメだ!お前たちには早すぎる!」
「俺もフィナも成人なんだけど・・・」
「ま、まだ子供だ!」
「そーかよ・・・」
「・・・実は・・・旅の中でその恋人も探しているんだ・・・」
「どうして?」
「私を・・・守るためもっと強くなってみせると言って故郷を飛び出してしまった・・・私は側にいてくれるだけでよかったのに・・・」
リュイはうつむいて哀しい表情を見せた。フィナが気を使ってリュイの肩に手をやった。
「そうだよな・・・好きなら男は強くなりたいよな・・・好きな女にみぞおち殴られたくないもんな・・・」
「エリにやられたの?」
「あぁ・・・」
「なんだ、ヴェスはエリが好きなのか」
「なっんでこんなとこだけわかんだよ!」
普段はぬけてるのに!!
「え、あ、そうなのか?冗談だったんだが」
「冗談なのかよ!!」