QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第5楽章
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アッサラームの名物はベリーダンスだって姉ちゃんから聞いたことある。いつか自分はアッサラームで1番の売れっ妓になるんだって言ってた気がする。お前には無理だって言ったら蹴られた。まぁエリはなれるかも。でもあんな露出度の高い服は着せらんねぇ。
「お兄さ〜んv寄ってかな〜い?」
「もてるなレニー」
「不本意だけどね」
でっかい劇場の他に如何わしい店がたくさんあった。女の肩に手をやって歩くオヤジや呼び込みやってる女がいっぱいいた。エリとフィナはお互いにくっ付き合って回りに気をつけながら歩いていた。
「それは歩きにくくないのか?」
「・・・リュイだって女でしょ?危ないとか思わないの?」
「アッサラームの夜はいつもこうだ。仕方がない」
「せめて昼間に着けばよかったね。ごめん」
「お兄さんたち旅の方〜?」
ぬっとレニーの目の前に女が現れた。
「ねぇねぇ劇場寄ってかな〜い?これからビビアンのダンスだから〜」
「いえ、俺たちは結構です」
「えぇ〜?ビビアンは1番人気の踊り子よ〜?」
「いや、興味ねぇし」
「興味ないなんて嘘つきなさいよ!」
後ろから声がしたので全員が後ろを見た。金髪にウサギの耳をつけた・・・いわいる“バニー”の格好をしているレニーよりも年上に見える女が酒を片手にふらふらしながら立っていた。
「発情期の男子がベリーダンスに興味がないなんて嘘よぉ!!」
顔赤いし目の焦点あってねぇしただの酔っ払いじゃねぇか。ってか発情期はねぇだろ。せめて年頃とかさ・・・。
「エルザさんまた飲んでるんですか〜?」
「ちょっとぉお客の前で本名やめてよぉ。私ビビアンよ!ビ・ビ・ア・ン!!」
「はいはい。もうすぐビビアンの出番ですよ〜?そんなんで踊れるんですか〜?」
「・・・わかったわよ。辞めればいいんでしょぉ?」
そう言って酒を女の方に押し付けた。そして俺の方に向き直って睨みつけた。
「勃起してんじゃねーぞ童貞が」
「は!!!!????」
なに言ってだこいつ!!信じらんねぇ!!
「してねぇし!!ってそんなこと初対面で言うことじゃねぇだろ!!」
バニーの女は俺の言葉を無視してそそくさと行ってしまった。あんのやろぉ・・・!!
「えっと・・・どう言う意味?」
「フィナは聞かなかったことにしといて」
「うん・・・?」
「してねぇからな!?俺してねぇからな!?」
「そうなのか?」
「そう言うことにしておく」
「レニー!!お前だけは信じてくれ!!」
「最低」
「だからしてねぇって!!」