QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第4楽章
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シャンパーニの塔ってのはかなり遠くにあった。ったく。疲れてるってのに。
「おっきねぇ・・・」
「少なくともナジミの塔よりは高いね」
そうレニーが言うとエリとフィナはぶるっと震えた。うまい具合にエリが俺にしがみつかねぇかなぁって期待してたけど。まぁ塔に入ってすぐそんなことありえねぇって思った。例のごとくエリとフィナはレニーにべったりだった。リュイは不思議そうにエリたちを見ていた。
「エリは・・・高い所が苦手なのか?」
「に、苦手って言うかトラウマ!」
エリは震えながら言った。
「すっごく小さい頃にと、父さんに高い高いしてもらって手が滑っておと、落とされたの!なんか知んないけどすごくよく覚えてる!」
「・・・英雄がなにやってんだよ」
「こ、ここは特に・・・なんで壁がないのよ!!」
エリは俺の方を向いて怒鳴った。
「知るかよ。ここに住んでる盗賊に会ったら聞けばいいだろ」
「盗賊が考えそうなこと考えなさいよバカ!!」
「理屈がわかんねぇよ!!人のことすぐバカバカ言うけどおま・・・え・・・だ・・・」
怒鳴り返そうとしたんだが・・・その・・・涙目で・・・(こいつのことだから泣かないけど)なんか必死こいてる顔が・・・マジかわいい・・・。
「なによー・・・」
「い、いや・・・」
やっべ・・・顔アッツイ・・・。俺が目を背けてると、急に重たいものが伸しかかってきた。
「え?」
「きゃ!」
エリが俺の胸に飛び込んでき・・・あー・・・倒れてきたとこを俺が支えた。エリの後ろを見るとレニーがエリの背中を押したらしい。手がそのままの状態だった。
「ごめんエリ。フィナもリュイといて。今何か向こうで音がしたのを見てくる」
そう言ってレニーは行ったが、あれ多分うそだ。気使ってくれた。・・・なんてイイヤツだ!
「・・・さっさと離れて」
「は?」
「さっさと離れなさいよ!!」
そう言いながらもエリは手を俺の背中に回し、服をつかんで、俺の肩に顔をうずめていた。あぁ・・・幸せ・・・。このまま抱きしめてみたりしたいけど・・・フィナとリュイの視線が痛い。特にフィナは笑ってやがる。俺と目が合うと親指を立てた。俺も小さくそれに答えた。
「さっさと離れてってば!!」
「離れたいなら自分で離れろよ!」
俺離れたくねぇもん!
「なっ!バカ!」
エリは顔を上げて言った。あぁもういっぱいいっぱいの顔がめちゃくちゃかわいい・・・
「ごめんごめん。あっちに階段があった。これからは静かにした方がいいね。人の気配がするから」
レニーが戻ってきてそう言うとエリはすぐにレニーの腕に抱きついた。フィナはリュイとで大丈夫と言った。レニーにくっつく前、エリは俺にすばやく蹴りを入れやがった。少し笑ったレニーと目が合った瞬間俺は感謝の眼差しをめちゃくちゃ送った。・・・つもり。あとでちゃんとお礼言おう。