QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第4楽章
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「私の名はリュイ。戦士だ」
そんなもん見りゃわかる。でなきゃ全身を覆う銀の鎧と腰にあるでっかい剣はなんのためにあるんだ。
「リュイ・・・さん・・・。えっと・・・勇者の旅の意味わかってます?」
「もちろんだ。私も魔王を倒す必要があるんだ」
「良かったら聞かせてくれませんか?聞かないことには・・・」
「いいだろう・・・。私の兄とその恋人は・・・魔王に呪いをかけられた」
「なんの・・・呪いですか?」
「・・・兄は馬に。そして恋人は猫の姿に変えられてしまった」
「原因はなんだかしってんのか?」
「多分・・・兄達は魔王を打ち滅ぼす武器を作っていたからだ。兄は剣士で恋人は魔法使いだったから・・・」
その後はリュイってヤツが言葉を詰まらせたので何も聞けなかった。俺はちらっとエリを見た。あー・・・なんか嫌な予感する・・・。
「・・・わかりました」
「一緒に行って・・・構わないのか?」
「はい」
やっぱり。エリはちょっと真剣な顔をするときはいつもこれだ。別にいても構わねぇけどさぁ・・・。
「えっと、私はエリです。この子がフィナで、その隣がレニー。で・・・」
エリは俺を見た瞬間あからさまに嫌な顔をした。どーせ俺の名前を言いたくねぇんだろ。
「あー・・・ヴェスです。よろしく」
「よろしく。タメ口で構わない。‘さん’付けじゃなくてリュイでいい」
そう言ってリュイはにっこり笑った。まぁ綺麗な顔立ちはしてるな。なんでも出来そうな完璧な感じが近寄りがたいが。
「そう言えばリュイはなんであんな森の中を歩いてたの?」
「あぁ道に迷ってしまってな。来た道を戻ろうと後ろ歩いていたんだがどうも同じような所をうろうろしてしまったようで・・・よく分からないんだが」
「目印つけておけばよかったじゃねぇか」
「・・・あぁ!そうか!」
・・・あれ?なんでやけに納得してんだ?
「そんなこと思いつかなかった。お前・・・天才か?」
・・・こいつ天然だ。