QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第3楽章
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「お前があの女の言うこと聞くなんてな」
その日、村で休んでこのあとどうするかと話をした。エリはあの女の人の言う通りに、エルフの森に行ってみると言った。
「・・・聞いちゃ悪いわけ?」
「で、でも意外だったかも・・・エリが全然知らない人の言うこと聞くなんて・・・」
フィナまで言うもんだからエリは黙ってしまった。フィナは機嫌悪くしてしまったかと思ってものすごく謝っていたが、エリはいつものように笑って大丈夫と言った。あー・・・チクショウ・・・かわいい・・・
「私はあの村を助けたいだけよ。そしたらあの人が言ったことはアドバイスじゃない。だから怒ったわけじゃないからね?」
「う、うん・・・」
フィナは今にも泣きそうな声だした。それに気づいたのか、レニーがフィナに何か話しかけていた。
「で?どの辺にエルフの住む森のがあるわけ?」
「西って言ってたんだから西でしょ」
・・・なんかしんねぇけど今すげぇツンツンした言い方だったんだけど。結構傷つくんだよ俺・・・
「エリ!!後ろ!!」
俺がレニーの声に気づいてエリの後ろを見たときには灰色の雲みたいな魔物がエリに攻撃していた。
「伏せろエリ!!」
俺は鞭を魔物に向かって攻撃した。だけど魔物はヒョイっと避けて俺をバカにしたようにせせら笑った。くぁ〜ムカツク!!!
「レニー!!そっち行ったぞ!!」
「っ・・・!!待ちなさいよ!!!」
「お、おいエリ!」
エリは頭を抑えながら剣を抜いて魔物を追いかけた。レニーは剣を抜いて待ち構えたが、魔物はレニーとフィナの上を通り過ぎて行った。
「エリ!!待ちなさい!!そんな追いかけなくても・・・」
エリはレニーの話を聞こうともしないで魔物を追いかけた。
「〜〜〜っ!!フィナ!!そこでヴェスと待ってなさい!!」
「ちょっ!!レニー!!俺が・・・」
行こうとしたのに・・・。レニーはエリを追いかけて行ってしまった。いや、俺も行きてぇけどフィナを1人置いていくのはやっぱまずいだろ。
「ご、ごめんね・・・」
「あ?何謝ってんだよ」
「だって・・・エリのこと追いかけたいんでしょ?」
今なんかちょっと違和感があったけどなんだ?
「まぁそりゃそうだけど・・・でもお前1人置いて行かれないだろうが。あ〜ったく!あいつの負けず嫌いには困るよなぁ」
「ふふっそうだね。でも・・・そこってエリの良い所だと思うから・・・」
「・・・そう言えば俺フィナと話すなんて初めてか?」
「初めて・・・ではないと思う。でもあまり話さないよね」
「エリが止めるからな。なんであんな過敏になるんだか・・・」
「あ・・・うん。そうだね・・・」
フィナは意味ありげな顔をした。何だか検討つかねぇけど。
「あっねぇいつからエリのこと好きだったの?」
「え?それはあれだよ・・・初めて会ったそん・・・と・・・き・・・」
・・・・・・ん?
「・・・・・・知ってんのか!!!!!!!」
「えっ?え、あ、う、うん・・・」
「いつ!!!!」
「えっと・・・4,5年くらい前からかな?だってヴェス君・・・エリを見ると顔赤くなるから・・・」
フィナにまでバレてるし・・・どーりでさっき違和感したと思ったよ・・・
「まさか・・・今もエリと話すとき顔赤くなってるか?」
「あっううん。今は大丈夫」
はぁ〜・・・俺って分かりやすいのか?レニーはともかくフィナにまで・・・だったら本人も気づいてるか?でもそんな素振りないし・・・
「ねぇ・・・エリたち遅くない?」
「まぁな。でも怪我してるとは言えレニーもいるんだし・・・怪我もあいつホイミ使えるだろ?」
「うん。心配なのはそのことじゃなくて・・・」
「じゃなくて?」
「その・・・迷ってたりしてたら・・・」
「・・・もしかして・・・」
「「はぐれた?」」