QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第3楽章
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重い体を起こして村中を見て回った。エリの言う通り村人は誰1人起きているヤツはいなかった。あ〜あ〜そんな地べたに寝ちゃって・・・
「どうすんだよこれ。これじゃなんで村人全員寝ちまってるのかわかんねぇじゃねぇか」
「そんなこと言ったってどうにも出来ないでしょ」
「僧侶の呪文で睡眠を覚ますやつなかったっけ?」
「あっ・・・ごめんまだ覚えてない・・・」
「しょうがないわよ。気にしなくていいよ」
にしてもどうすんだこれ。これじゃ魔王の仕業かどうかもわかんねぇよ。
「お前たちそこでなにをしている」
声がした方を向くと、そこには紫のふわふわした髪をポニーテールにした女が立っていた。ごつい銀色の鎧を着て、腰には自分の身長ぐらいあるようなでっかい剣があった。なるほどね、勇ましい女戦士ってやつか。
「なにをしているかと聞いている」
「この村の噂を聞いて来たただの旅人です。あなたは?」
「・・・私もただの旅人だ。お前は・・・どこかの国の王宮兵士か?」
レニーを見ながら女は言った。まぁレニーのこの格好を見ればすぐわかるよな。鎧じゃなくて制服っての?戦士より騎士って感じで。肩の所からマントもあるし。
「えぇアリアハン城の王族直属の兵士です」
「アリアハン?・・・いや・・・アリアハンには・・・」
女はなにかを考え込むように腕を組んだ。
「もし・・・もし旅の途中で赤髪の青年に会ったら・・・いや・・・なんでもない」
なにかを言いかけて辞められるのは気になってしょうがない。でも深入りはよくねぇよな・・・
「すまない、引き止めてしまったな。・・・この村を救いたいと思うならここから西にエルフの森がある。そこに行ってみるといい」
「・・・あなたは?」
今まで黙っていたエリが聞いた。
「私はもうこの村には用はない」
そう言うと女はくるっと後ろを向き、村の外に出て行った。