QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜

□第12楽章
6ページ/9ページ

「ありゃ、お取り込み中ですかい?」


ニハハと笑った男を見て、女はため息を出し、剣を鞘に収めた。


「見たところ、オーブを売りに出すような商人には見えない。
ここに来た理由を言え。
理由次第では逃がしてやる」


逃がすって・・・どんだけ自分の腕に自身あるんだよ。
女は腰に手を当て、見下すように俺たちを見てきた。
どうしたらいいもんか。


「父の手がかりを探しに来ました」


俺が戸惑ってると、エリは女を見据えてはっきりと言った。


「父?アンタこの村に知り合いでも?」

「いえ。でもここに来たと聞きました」

「・・・父親の名は?」

「・・・オルテガ」


その名を聞いた瞬間、女は目を見開き、そして静かに笑った。


「どーりで懐かしい目をしてると思った。
ついて来な。渡したいものがある」



女は花束を牢獄の前に置いてから踵を返し、スタスタと歩き始めた。
エリがその後についていったので俺も後を追った。


「あたしの名はジュニー。これでも海賊の頭やってんだ」

「エリです。こっちは仲間のヴェス」


軽く自己紹介を終えると、ジュニーは海岸に向かった。
着くとそこには俺たちの船より数倍デカイ船が。


「頭ー!もういいんですかー?」

「あぁ!すぐに出航する!」


ジュニーがハシゴを俺に渡したので、従って上り始めた。
甲板に足をつけると、いかつい海賊たちがギロリと俺を睨んだ。
俺も負けじとにらみ返したが意味も無く。


「そう睨むな。こいつらは客人だ」


登ってきたジュニーが男たちに笑いながら言ったが、あまり効果ない。


「こっちだ」


ジュニーに船長室まで案内された。
ジュニーは椅子に座ると、足を机に掻け、俺らに椅子に座るよう促した。


「アンタらびっくりしたろ。村の夜と昼との相違点を」

「・・・なんなんだあれ」

「さぁ・・・あたしにも分からない。
村人の怨念か・・・それとも神のお導きか・・・。
ただ、彼らは自分たちが死んでることは知らないらしい」

「なんで貴女はそこにいたんですか」

「昔の男がね・・・いたんだよ」


ジュニーは少し寂しそうに笑うと、煙草に火をつけた。
深く聞いていいもんだろうか・・・。


「あの・・・!聞きたいことがあるんです!」


隣のエリが俯いて膝の上で拳を握った。


「ロトってなんですか。ロトの存在ってなんなんですか」


ジュニーの眉がぴくりと動いたのを見逃さなかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ